『Mr.ボーイ』#1 薄墨
薄墨と言うのは言葉のあやで、実際は輪郭線と同じ
ドクターマーチンの耐水性インクで塗っている。
通常、私はカラーインクをメインに彩色する。
不透明なリキテックスなどの画材はめったに使わない。
そのため、白黒バランスの計算は最初に行う。
この段階でバランスの取れてない絵は、この後何をやってもダメである。
その代わりこれさえうまく決まれば、半分は成功したも同じである。
あとはその上に透明なカラーを用心深くかぶせていけば良い。
一見回り道に見えてこれが安全確実なのだ。
全くの我流なのだが、調べてみるとイラストレーターや大昔の画家も
同様の方法を行っている人がいっぱいいて、ちょっぴり安心したものだ。
嘘か誠か、かのフェルメールなども(透明画材ではないが 笑)同様に
まず白黒バランスを取ってから彩色を始めたと聞く。
この感覚はモノクロ活版ページでも必要で、背景などを描いてもらう際も
最初に白黒バランスがイメージできないアシスタントの絵は
たいてい時間ばかり無駄にかかって汚らしいマヌケな絵になる。
どこを殴っていいかわからずにパンチを出してるボクサーのようなものだ。
追記(2009年10月27日)
これは、あくまでアナログ手描き時代の手法であり、パソコンを使ったデジタル彩色を行う現在は必ずしも使用してはいません。
ただ、脳内、あるいは下絵段階で別紙にエンピツなどでざっと同じことをしてから彩色にかかります。