正しくはその修正前ヴァージョン。
修正前などと言ってもなんということもない絵であるが、これでも「一般書籍」として売るには問題ありということで修正させられてしまい、アナログ原稿に手を加えたためこの稿はもはやデジタルデータとしてしか残っていない。
もし単行本を買われた方は見比べてみてください。
あらすじ
連絡船に揺られ離れ島の実家へ戻る途中の若者ヒロは、空から降ってきた謎の乙女を海中より助け上げる。彼女は異界の王女パイェであった。パイェとともにこの世へ落ちてきた魔術師パーターピンは、生涯をかけて開発した魔法の首輪を駆使しパイェを意のままにせんとする野望に燃え、ヒロの故郷へ上陸する。エロティックコメディ全一巻。
読んで字の如く「指輪○語」のダジャレから始まったこの企画。
単行本一巻分の連載という始めからの約束で描かれた物。
軽いノリで楽しんでいただければ幸いである。
マメ知識
本作のヒロイン、異界から来た王女パイェの名前は有名なアルフレッド・ベスターのSF小説『虎よ、虎よ!』からとったものである。同作に登場する「思念によって爆発する物質=パイア」がその由来。首輪をはめた人間の煩悩に感応して悶える乙女の役どころにふさわしいと思ったのだ。
本当は連載時の一話目では姫は「パイア」であったのだが、その後、傭兵小僧先生の作品のヒロインにまったく同じ名前があったことに気づき(うっかり者だなオレ)(恥)(ただ傭兵先生のヒロインの名はまったく別の由来だったはず)かといって今更まったく変えるわけにもいかず、悩んだあげく原作のスペル(PyrEだったか??せっかく翻訳家の中村融氏にお伺いして教えていただいたのにメールのプリントアウトをどこかにしまいこんで確認できない。いやスペルは「PYRE」なんですが大文字と小文字のブレンドの具合がベスター独特だったはず)の発音をとって「パイェ」に改めた。単行本では全てこれに統一してある。
なお「pyre」と普通に書くと英語では「火葬用のまき」の意になる。
『虎よ、虎よ!』はSF史上に残る一作であり、日本のSF漫画界に与えた影響は多大なものがある。もっとも有名なものとしてはかの「奥歯の加速装置」。まあ、あの時代はいろんな漫画家が似たようなことやってましたけどね。中学生になって知った時(1970年代初頭)はがっかりしたものでした(だってまんまなんですもん・・・)。