岩崎書店の「冒険ファンタジー名作選」
エドガー・R・バローズ=作/亀山龍樹=訳
のカヴァーイラスト
プリンセス(デジャー・ソリス)の衣装の面積が多いほうが市販されるバージョン
少ない方が没になった第一稿(笑)
なお、この原稿は手描きのため、修正前のバージョンはもはや存在しない
念のため少し説明をする
このプリンセスの出で立ちは岩崎書店版の本文の描写に従ったものである
「かわいい少女だった。むらさきいろの、きぬのようなころもを身にまとい、
なみうっている黒く長いかみの上に、黄金のかんむりをつけていた。
はだは、すきとおるようなピンク色をしていた。」
これは創元版の原典によったデジャー・ソリスとは異なっている
創元版(厚木 淳=訳)はこうである
「彼女の顔は面長で、えもいわれぬほど美しく、目鼻だちは一つ一つが彫りが深くて繊細で、つぶらな瞳は輝いている。波打つ漆黒の髪をふんわりと一つにまとめて、風変わりだがよく似合う髪形に結い上げている。肌は赤みがかった銅色で、紅潮した頬と形のよいルビー色の唇が肌の色と対照して輝き、あやしい効果を見せている。
彼女はそばについている緑色人と同様、衣装を身につけていなかった。事実見事な装身具をつけているだけで、あとは裸身だった。その均整の取れた非の打ち所のない肢体は、なまじ衣装をつけていないだけにいっそう美しい。」
まさに匂い立つような描写であるが、このままジュブナイルにするのは確かに無理がある。私としては両方の文章を考慮して、原則としては岩崎版にのっとって描きつつ、可能な限り原典にも反しない折衷案を探したつもりである
下の絵は同書カヴァー表4イラスト
立つのは無論ジョン・カーター
市販バージョンはレイアウトが異なる。私のオリジナルはこれである
蛇足であるがカーターの銃はグリップを前にして普通と逆の下げ方をさせてみた。
かつてアメリカの騎兵隊が左腰にサーベルを吊り右手でサーベルを持つ関係上
左手で銃を抜けるように、こういう携帯の仕方をしたという。
右手で銃を抜くときはトウィステ・ドローと言って手首をひねって抜く。
そういう描写は作中にはないが、南軍の騎兵隊大尉であったカーターにちなんで
作中の挿絵もこれで通してみた。