『西遊少女隊・完全版』正誤表

 アスキー版の『西遊少女隊・完全版』には膨大な誤字脱字がある。
 筆者の名誉にもかかわるし著作権(参考文献の出典の欠落など)等の問題もあるため、あえてここに掲載する。刊行当時雑誌に掲載した文章をそのまま画像としてアップした。テキスト形式にすれば軽くなるのだろうが、中国語(簡体字など)表記もあり、あえてそのままスキャンする。
 あまり大きくすると重くなるのとHPの容量を食うので読める限界で留めてみたつもりである。ディスプレィのサイズ等によっては見難い方もおいでだろうが、なんでしたら一度DLしてウィンドウズやフォトショップ等の拡大鏡ツールをお手数ですがお使いいただけませんでしょうか?行き届きませず恐縮です;


正誤表a

正誤表b

 などと言っていたら古い知り合いでBBSの常連の鈴夢S7様が、わざわざテキスト版を作成してくださった。ご本人のお許しを得て下記に転載させていただく。
 鈴夢様、本当にお疲れ様でした。心よりお礼申し上げます。
            2003年 1月1日


『西遊少女隊・完全版(初版)』正誤表

7/22発売の同書ですが幾つか間違いや欠落などがありました。
お詫びとともに訂正します。


その1. 16頁 中央部の注
 
  こぜはざんけん、ゆかいっこう
誤  此是破山剣、唯可一用…
 
 ふりがな全部とる。念のために言うが、このふりがな、私がふった物ではない。(原則としてマンガ家は自分の原稿に"かな"などふらない。特殊な読み方、人名の横に「あいつ」などと書く場合は別だが、この引用文は読んで字の如しということで、私は何もふっていない)あえてふるとすれば「これ、はざんけんなり」等書き下し文にすべきであろう。
 「唯」を「ゆ」とか「用」を「こう」とか、私が無学なのかも知れないが聞いたことがない。ちなみに、このふりがな、アスキーの編集者がつけたのでもない。では誰が!?
 それについては後ほど述べる。

その2. 106頁 左下の注
 
 出典が欠落している。以下の文を加えていただきたい。

中日大辞典 増訂第二版
愛知大学中日大辞典編纂処編
(大修館書店)より

 これは私ではなく編集部のミスである(同じく後述参照)

その3. 166頁 8行め
 
誤  「以系夫妻之定」
正  「以系夫妻之足」
 
 この伝説のこの下り、これまでも何度か単行本等で書いて来たが、わずか6文字にもかかわらず、きちんと間違いなく印刷されたことは、ほとんどない。日本の赤い糸伝説と違い、中国のそれは「足」を「系(つな)ぐ」ようである。
 ついでに言うと、なら・シルクロード博の開催年は、私の方には記録がない。88年でよいのだろうか?

その4. 188頁 上のコマ
 
 文字のふりがなを全部とる。
 その1.と同じく、私のふった物ではない。「清代(しんだい)」を「せいだい」とか、「寧(ねい)」を「てい」とか(デイという漢音はあるようだが)何を考えているのかわからない。犯人も、その1.と同じ…

その5. 189頁 3コマめ
 
  アクア
誤  水肺が…
  アクアラング
正  水肺が…

その6. 195頁 下の注
 
 ふりがな全部とる。
 少くとも「日本列島人(にほんれっとうじん)と魚(さかな)の…」は「日本列島人(にほんれっとうひと)と魚(さかな)の…」だと思う。

その7. 226頁 6行め
 
誤  どうもない。
正  どうももない。

その8. 254頁 一コマめ
 
 三蔵のお経、ふりがな全部とる。
ここは何だかわけのわからん経を読んでいると思っていただければ良いのであり、雑誌掲載時も"かな"はふらなかった。本当は『般若心経』の一節
ぎやてい ぎやてい はらぎやてい はらそうぎやてい ぼうじそわか
羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶
 (『仏教とキリスト教』ひろさちや著・新潮選書より)
が書きたかったのであるが、当時限られた時間内で正確なテキストが捜し出せず、当然"かな"もふらなかった。それを勝手にふった上「掲」を「てい」とするなど、他の箇所と同様ユニークであるが、私としては大迷惑。実際よりもバカに思われ、ちゃんとした所まで読者に信じてもらえなくなりそうだ。(ちなみに現実の三蔵が天竺への往路、このような状況で、このような経を読むかどうかは、また別の問題である)

その9. 316頁 上段14〜15行め
 
誤  清らかな
正  清らな

その10. 359頁 一コマめ
 
誤  やつから
正  やつらから

その11. 367頁 一コマめ
 
  ゆうきゃくりゅう
誤  友脚竜
  うきゃくりゅう
正  右脚竜

ざっと見ただけでも、これだけある。
さて今回このようにミスが多発したのは"わけ"がある。話せば長いことながら     
『西遊少女隊・完全版』は以前、その前半部のみが某社(仮にK社としよう。中には、お持ちの方もおいでかもしれない)より『西遊少女隊(1)』として刊行された。今回アスキー出版局の御好意により、後半部も含めた全編を『完全版』として刊行していただいたわけなのだが、その準備に際し、私はすでにK社版でチェックずみの前半部は枚数等の簡単なチェックに留め、未刊行の後半部の修正、描き足しを重点的に行なった。編集部には事前にK社版の『西遊少女隊(1)』をチェック用テキストとして渡しておいた。ところがである。ここに大きな誤算があった。
単行本の刊行作業について御存じない方のため、少し解説させていただくが、こちらが編集部に原稿を渡し、それが本として完成するまでの間に「青焼き(あおやき)」という段階がある。言うなればチェック用の仮組み版でK社版の刊行時も、私はその「青焼き」をチェックし、当時勝手につけられたとんでもないふりがな等を見つけ出し、修正するよう頼んでおいた。その結果完成したK社版『西遊少女隊(1)』では、その大半が直っていた。
しかしである。直っていたのは印刷物だけだったのだ!!当時の編集者は私の原稿から、指示した誤りの箇所を全く取り除かなかったのである。それが今回そのまんま…!!
ちょっと待て。『完全版』刊行時おまえはチェックしなかったのか!?と読者の方は思われよう。した。しました。だがそれは、K社版の単行本の方をだった。なぜか!?それは原稿の「間違い捜し」がナマ原稿よりも一度機械を通した物の方が、ずっと見つけ易いためである。そのため執筆中もわざわざ、一度コピー機を通して、そのコピーされた物をチェックすることすらある。
原稿や原資料などとつき合わせて文字や図版の誤りを正すことを校正というが(『新明解国語辞典』第四版・金田一京助・柴田武・山田明雄・山田忠雄[主幹]《三省堂》)これは編集部の仕事であり、仮にそのチェックをすり抜けた部分があったとしても、それは「青焼き」で捕えられる。そうタカをくくっていた。
だが私は、その「青焼き」を見せてもらえなかった。気がついた時には完成品の『西遊少女隊・完全版』が、私の元に届いていた。
以上が事の"てんまつ"である。事情はいろいろあるのだが、今さら言っても始まらない。今後は、いかなる場合もしっかりと、ナマ原稿、印刷原稿両方に時間をかけたチェックを行ない、より一層の「品質管理」を目指したい。
ちなみに同書のカバー・装丁等は大いに気に入っている。私の拙い絵を、あのように美しく飾っていただき、デザイナーを始め担当者の方々に感謝している。(それだけに余計中身のミスプリがショックでもあった)
おっと欠落がもう一つ。
166頁の伝説のテキストは

『玄怪録・続玄怪録』〈唐〉牛僧孺,李復言・撰/姜雲,宋平・校注(上海古籍出版社)

である。(K社版時は記載あり)
読者を始め、ご迷惑をおかけした多くの方々に、心よりお詫び申し上げます。
1995年 夏 山本貴嗣
※ルビふりを完全に再現できなかったため、上記『般若心経』引用文には、山本貴嗣氏のオリジナル文章に勝手にスペースを加えてあります。
※点のルビは「"」で囲って文字強調に変えてあります。
※HTML化の責任は鈴夢S7<lingmu@c.email.ne.jp>にあります