戦え!X君(7〜13)

更新 2003 12 12
(このページは下に行くほど新しい記事です)

注) プライバシー保護のため一部名称等を変更してあります


 学生時代 (バトルデビュー)
 高校生になっていじめられっ子返上のため空手部に入部したX君。
 密かに腕を上げていたころ、クラスのいじめっ子がちょっかいを出してきた。
 X君の前でわざと床に鉛筆を落とす。
 からん。
 「ひろえ」
 ダチとパシリの選別である。
 その頃には敵の戦力を見極められるようになり始めていたX君、叩きのめしてやってもいいと思いつつ、あえて黙って従った。床に片膝付いて鉛筆をひろおうとする。その顔面に蹴りがきた。片手でブロック。
 「早くひろえよ」
 拾ってそいつの机に置くと、また、からん。
 「ひろえ」
 椅子にすわったまま偉そうに言う。黙ってひろうX君。その顔面にまた蹴りが、だがX君にはバレバレだった。握った鉛筆を逆手に持って、その蹴り足に突き立てた。
 「わあ!」
 叫ぶそいつのすわった椅子の、脚を掴んで引き倒す。仰向けに転がる男の上に大きく振りかぶった椅子を叩きつけ、あとはボコボコ。
 以来、鉛筆をひろわされる事はなかった。もしひろい続けていたら、高校生活はパシリであった。
 ストリートファイターX君デビューの思い出話である。


補足 2002 10 06
 うっかり「その6」として本来「その7」である「敵をはかる」をこの前のページにアップしてしまいました。移し変えるのが面倒なので、そのままにします。と言うわけで「その6 学生時代(バトルデビュー)」を「その7」に繰り下げます。あしからず〜;


その8 噂の男 2002 10 14
 昔X君がうちのアシスタントだった頃、いろんな出版社へ持ち込みしてた。
 この業界は広いようで狭いので思わぬルートで噂は広まる。彼が徳○書店に持ち込んだとき編集さんが
 「あー、あさり先生の『ワッハ○ン』のモデルの方ですね」
 と言った。
 彼をうちに紹介してくれたのはあさり先生の友人だったし、何度か顔も会わせてるので知らない仲ではないのであるが、このモデルの一件は、あさり先生本人が否定している。つまりは一人歩きした単なるデマなのであるが、そう思われても仕方がないところがX君にあったこともまた否定できない(笑)。
 それにしても、どこからどういう流れで発生したデマなのか興味深いところである。
 蛇足であるが彼がある出版社で
 「山本貴嗣先生のアシスタントしてます」
 と言ったら、原稿見てくれた編集さんが
 「あー、あの先生の所は大変でしょう」
 ときた。
 「こんな事もできないで何年アシスタントやってんだとか先週も言われました」
 とX君が答えると
 「あの先生のアシスタント、務まる人いるんですかねー」
 なにやら私の仕事場について勝手にイメージが一人歩きしているらしい。と言ってももう数年以上昔の話だが。
 いやー私はそんなひどいことや無理難題は言いません。本人が体力ないから完徹なんかもめったにしないし、割と居心地いい職場だと思います(笑)。仕事できない人には冷たいけど。でもそれってこの業界のルールだし、どこへ行っても同じだとおもうなあ・・・。 


その9 X君猫を救う再び 2002 10 27
 X君は正義感が強い。
 趣味は正義という話もある。
 危ない奴だと思われる方もおいでだろうが、そんなことは最初から判っている。

 以前ネコを救うため同僚を雨の川にとび蹴りで叩き込んだ話を書いたが、もう一つあった。
 ある時彼が道を歩いてると、一人の中学生らしき少年がしゃがみ込み、猫をいじっているのにでくわした。苦しそうな声でもがく子猫の口に、せっせとなにやら押し込んでいる。
 ピンピンピンと脳内の安全装置が順送りに解除され、怒り心頭に発したX君。
 勢い良くガキを蹴り飛ばした。
 ぎゃっと言ったかわっと言ったか忘れたが、同僚の時と同じく、いじめていた猫を飛び越え、厨房は離れた地面にころがった。
 「てめ生き物にそーゆー事していいと思ってんのかよお??」
 怒りのあまり何を言ったか詳しいことは記憶にない。おたおたと去ってゆく厨房。
 足元の子猫を拾い上げたX君が見ると、口の中いっぱいにゴミクズが詰め込まれていたという。それを引き出してやりながら
 「泣きたくなっちゃいましたよオレ」
 X君は言った。
 もしあの場で止めに入らなければ、子猫は窒息死していたろう。
 良い功徳を積まれたものである(笑)。

 ここで思い出したのだが、もう一人、猫を救った知り合いがいた。
 歳はX君より少し若いが、同じくすでにおっさんである。仮にO氏としよう。
 彼が学生時代のこと。やはり道端で、猫をいじめている小学生を見つけた。
 つかつかと歩み寄ると無言で襟をつまみあげ、みぞおちに膝蹴り一発。
 「足の裏から地面に戻してやったのに立たないんですよそいつー」
 と困ったように回想していたが、まあ身長185センチ体重100キロを越える大男にそんんな事されりゃ普通立たない、いや立てない。
 まあ自業自得と言うか。非力な命を虐待するような人間は、本人も幼い頃同様の虐待を受けたトラウマによるもので・・・などと被害者扱いする人もいるが、それはあくまで一つの側面であって、事情がどうあれ加害者に回った時点でそいつは加害者なのである。いやいやあなたは心理学というものをご存じないとか言うなかれ。大学ではそれが専修だった私だがあえてそういう主義である。
 「目には目を」の「同害報復」を推奨するつもりはないが、キーパーでもないのにボールを手にして駆け回ってる人間といっしょにサッカーはしないのと同様、他者の命と自由を尊重しない(捕食する場合は除く。それでも無用の苦痛は与えるべきではないと思う)人間は、本人の命と自由も尊重されなくても仕方がない。なにしろそういうルールではいっしょに遊びたくないと本人が言っているわけだから。

補足 「汝の敵を愛せよ」という教えがある。
 けして笑う気はないし、一つの真理とも思う。本当にそのように生きている人はすごいし尊敬もするが、私はそんなに人間ができていない。
 それにこの場合「自分の敵」とは少し違う。
 「魏を見てセざるは(おい、PC・・・)
 「義を見てせざるは勇なきなり」
 と言うやつか。まあ止め方にもいろいろあるが。

追伸 2002 10 28
 X君ともその後に書いた知り合いとも違うのだが、もう一件、動物いじめ退治の話があったのを思い出した。
 昔ある知り合いがやはり道を歩いていて、厨房が犬を虐めているのを見た。
 どこかの家の庭先に繋がれている犬である。
 その虐め方というかアイテムがすごくて、なんと松明(たいまつ)で炙っていたのだそうだ。少し距離があって、止めに行こうかと思った刹那、通りすがりのあんちゃんがその厨房の後ろから膝の裏に思いっきりローキックをキメてぶっ倒した。いい眺めだったそうである。

追伸2 2006 03 19
 この項を書いてからはや4年。私も色々思うところあった。最近は「汝の敵を愛」そうと思うようになった。無論「愛せるようになった」わけではないが、それを目指して日々暮らしています。


その10 X君からの手紙(メール)など  2002 11 24
 いや、たいした話ではないのだが、以前「方言」ネタでBBSが盛り上がってた頃
 「高校時代、横浜から来たって言ったら『横浜はじゃん?語尾にじゃんを付けなきゃダメじゃんじゃん?』
 などとほざいた奴がいたので
 『おまえはどこの星から来たの?バカ星?アホ星?』
 と言い返しました。その後、襲ってきたので勿論シメました」
  との想い出話をメールでくれた。どこまでもビーバップな青春時代を送っていたようである。
 後日そいつの友達ともケンカになって、結局X君が圧勝で楽しくボコっていると、やられながらそいつが
 「わかったよ、おめえは強ええよ」
 ドカッバキッ
 「あーあー強え強え、かなわねーよ」
 ガスッボコッ
 「痛ぇーな!強ええって言ってっだろお!!」
 ボコボコボコ・・・
 最後まで去勢を張り続けるところはあっぱれと言うかバカと言うか、まるで『北斗●拳』でケンシロウに殺されそうになりながら
 「しゃべるから助けろ、いいな」
 とか言って
 「おまえ何か勘違いしてやしないか」
 とか突っ込まれてた悪役のような、愉快な「お友達」だったらしい。
 
 X君にも敗北はあった。
 しかし、きっちりオトシマエはつけた。
 ある日不意打ちをくらってノビたX君、目を覚ますとまっすぐ襲った相手の元へ。
 仲間と話し込んでいた襲撃者、彼の顔を見ると笑って
 「起きたかよ?」
 バカにしたような口調で言った。物も言わずに殴り倒したX君。ころがったそいつを見下ろして聞いた。
 「起きれる?」

 挨拶とケンカがほぼ同義語の学校であった(場所は相模原だったか)。

 しかしX君、最初のほうでも書いたとおり、中学までは弱かった。イジメられっ子の気持ちもわかる。
 そんな彼が最近の格闘技界を賑わす「あの人」をどう見ているのか。メールでこんなことを言っていた。
 「いや、あつじ屋でみんなが●ップ凄い凄いって言うもんで・・・異論はありませんが、あの試合サッ●のテクニックない恵まれた身体に頼ったファイトスタイルをホ●ストに一喝して欲しかった・・・いじめっ子はいつも恵まれた身体を武器にしてましたから。
 X君としては●ップ嫌いですねー」

 なるほど♪


その11 学園マスクマン(X君からのメール再び)  2002 12 15

 BBSで口裂け女の話が出てたら、彼からこんな思い出話が送られてきた(笑)。

 「高校の頃、風邪でも花粉症でもないのにマスクして来る奴が何人もいましたが、その中の一人に“口裂け男”と言ったら襲って来たので腹を殴りました。
倒れてうなるそいつのマスクを引っぱって目の辺りにパチンと当てて
『いない、いない』って言って帰りました。」


その12  続・X君からのメール  2002 12 17
 
 「うちの高校は気の荒い動物が多くて困りましたが、ふいに襲われても、慌てずよく引き付けてから撃ち取りました。
 多少知恵のある種類もいましたが所詮は獣なので、すぐ考えが読めた為ほとんどは難無く捕えました。しかし倒した獲物は脚を踏んでおくか剥ぎ取ったベルトで一箇所は縛っておかないと突然暴れ出すこともあるので大変危険です。
 ただし、上着をはだけることにより腕を拘束し、ズボンを足首まで降ろしてベルトで固定するという手法を用いると学校に来なくなるとう現象が起こるので、自主規制しなくてはなりませんでした。」


その13  レディX(X君外伝)

 X君の彼女は美人である。じかに拝見したことはないのであるが、スタイルも抜群であるらしい。気立てのいいお嬢さんなのだが体能にも優れ、柔軟で股割りもばっちり。少し勢いをつければ二、三歩壁を駆け上がりバク転して立つ。体の硬いX君にはうらやましいような才能の持ち主である。
 仮にレディXと呼ぶ。
 X君、彼女の才能を見込んで、日ごろから己の技の数々を護身のためにもと教え込んでいたようなのだが、最近は自分にも出来ないようなしなやかなハイキックなど出されていささか仰天ぎみらしい。レディX、パンチの才能はからっきしらしいがキックの方はX君はだしとのこと。
 それはおもしろいと、私からも「斧刃脚」と言うか「トウ脚」と言うか、いわゆるカカトを使った前蹴りの習得を薦めたのだが、これもしっかり身につけていいキレになっているらしい。ちなみにこの技、中国武術ではおなじみであるが、一般にはあまり知られていない。普通の人はカカトで前を蹴ろうとするとほとんど斜め下までがせいぜいでそれ以上の高さはうまくいかない。カカトがきちんと当てられないし当たっても威力が出ないのである。尾てい骨の動かし方にコツがあるのだがここでははぶく。慣れれば地面と水平に足を伸ばした角度くらいまでは十分威力が出せるようになる。つま先の前蹴りと違ってつき指の心配も無く、遠慮なくパワーの出せるいい技である。
 敵の出足の向こう脛などを思い切り蹴飛ばしてやると楽しいのだが他にも色々応用はある。

 先日会社帰りに同僚達と飲み会に行っていたレディX(レディXはOLなのだ)。
 トイレの帰りによその席の酔漢にからまれている後輩のOLを発見。コートを掴まれて困っているのだが会社の男ども三人は誰も助けに出ない。
 見かねたレディX。
 つかつかと歩み寄るとからむ酔漢の下っ腹に前述のキックを一撃。
 悶絶する酔漢に、その男の仲間たちからも喝采が上がり(仲間内でどういうポジションにいるのか察しがつくが)「ぼぶ・さっぷに勝てる」などとはやされる中、後輩OLを助け出して席に戻った。救われた後輩は同僚の男ども三人に「役立たねー」と冷たい視線。
 カエルの子はカエルならぬ、X君のパートナーはX嬢というお話でした。

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