公式・非公式のデータを合計してWHOが推計した世界各国の成人(15歳以上)の1人当たり純アルコール換算消費量を188カ国について地図で示し、OECD諸国とBRICsについて棒グラフで掲げた。

 OECD諸国とBRICsの対象国では、アルコール消費量の多い順にエストニア、チェコ、ロシア、ハンガリー、スロベニア、アイルランド、韓国、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、英国、フィンランド、ルクセンブルク、フランス、オーストリア、ドイツ、デンマーク、スペイン、スイス、ギリシャ、ベルギー、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ブラジル、ニュージーランド、スウェーデン、オランダ、イタリア、米国、チリ、メキシコ、ノルウェー、日本、アイスランド、中国、トルコ、インド、イスラエルとなっている。

 世界の中ではウガンダは例外として、モルドバ、ベラルーシ、ウクライナ、エストニア、リトアニア、ロシアなど旧ソ連諸国がもっとも多い。これらの国は飲酒好きだから多いというより、アルコール中毒が社会問題となっている点が特徴となっている。次に東欧・西欧諸国の消費量が大きい。ビールの本場チェコ、チェコに影響されたドイツ、ワインのフランスなどビールやワインの本場ではやはりアルコールの消費も多くなっている。

 欧米の中で、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど英語圏諸国はそれほど消費量が多くはない(英国はやや多い)。

 逆に、アルコール消費量の少ない地域は、イスラム圏の諸国、あるいは低所得地域である。アルコール消費を補うかのようにイスラム国の中にはお茶の消費量が多い国がかなりある(図録0476参照)。

 アジアは、概して、アルコール消費は少ない。これはコラムに紹介したようにモンゴロイド系の民族はアルコールに弱いからという側面も無視できない。アジアの中では、韓国が14.82リットルと最も消費量が多くなっているのが目立っている。

【コラム】日本人はお酒に弱い

 遺伝的に日本人をはじめモンゴロイド系の民族はお酒に弱い。

 ALDH(アルデヒド脱水素酵素)にはアセトアルデヒドが低濃度の時に働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」がある。日本人の約半数は、生まれつき「ALDH2」の活性が弱いか欠けており、アルコール分解産物である有害なアセトアルデヒドを速やかに分解できないため、少量のアルコールでも悪酔いしやすい、お酒に「弱い」体質となっている。お酒の「強い」「弱い」は遺伝による生まれつきの体質からくる側面が大きいのである。


 さらに、この点に関する民族ごとの違いについて、キリンのホームページでは次のように述べている。

「はるか昔、人類が三大人種(黒人、白人、黄色人種)に分岐した後、何故かモンゴロイド(蒙古系人種=黄色人種)の中に突然変異的に「ALDH2」の活性をなくしてしまった人が出現し、時代を経るにつれ、モンゴロイド系にはお酒に弱い人種が次第に増えていきました。今日「ALDH2」低活性型(不活性型を含む)の存在はモンゴロイドの特徴となっています。ちなみに黒人、白人には「ALDH2」低活性型はみられません。

ところで、モンゴロイドは昔、陸続きであったベーリング海を渡って、はるかアメリカ大陸にまで大旅行をし、移り住んだといわれます。このことは、アメリカ大陸先住民にモンゴロイド特有の「ALDH2」低活性型(不活性型を含む)が存在することからも裏付けられます。「お酒に強いか弱いか」という何気ないことが、最先端の科学である「遺伝子分析」の手法を通じて、人種のルーツ解明や比較人類学の進歩に役立っているのは興味深いことです。」

 日本人はこのようにお酒に弱いにもかかわらず、世界一酒好きである点については図録1972参照。

(2006年2月14日収録、2014年4月28日更新、コラム追加)


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