骨粗しょう症の患者さんは日本では1,000〜1,200万人といわれ、その70〜80%が女性です。
骨粗しょう症は高齢社会となった現在、多くの方々の注目を集めている疾患です。

 注目されている理由は、
1.骨粗しょう症の患者さんが増えたこと、
2.骨粗しょう症の病態(原因など)が明らかになったこと、
3.骨粗しょう症の予防法と治療法が明らかになったこと、が挙げられます。

でも不十分な知識しかなかったり誤って認識されていることが多いのではないでしょうか。
「骨粗しょう症は歳をとればだれでもかかる病気だ」、
「だから治療しても意味がない」、
「治療しても治らない」それに
「治療薬はとても副作用が強い」など私ども骨粗しょう症治療にあたる医師にとってびっくりするような誤解がまだ残っていることも事実です。
骨粗しょう症はちょっとした動作や転倒で骨折をおこし、内臓の病気を引き起こし、死亡率を確実に押し上げます。また加齢を促進させます。
しかし治療により、骨折予防が可能であり、その結果ADL(日常生活動作)や、QOL(生活の質)の低下を防ぐ事が可能です。

骨粗しょう症の診断と治療は、整形外科、内科、(産)婦人科など診療科の垣根を越えて多くの診療科で行っています。
婦人科医の私が骨粗しょう症の診療を行うことになったのは、
15年ほど前、当時勤務していた東京都多摩老人医療センター(現多摩北部医療センター)で、
骨粗しょう症外来を開くように院長から指示を受けたからでした。

骨粗しょう症は整形外科の病気だと当時思っていた私は、この院長の指示に正直戸惑いました。
しかし考えてみますと、

  (1) 骨粗しょう症は女性に圧倒的に多い。
  (2) 女性ホルモンの減少に強く影響され、そのため中・高齢婦人に発症する。
  (3) 治療薬としての女性ホルモンの使用に婦人科医は慣れている。

という訳で、婦人科医が骨粗しょう症の診療を行うのは極めて自然なことであったのです。

現在では女性ホルモンより優れた骨粗しょう症治療薬が出ており、治療薬の選択の幅が拡がりましたが、
女性の健康を総合的に支えるためにも、狭い意味での婦人科ではなく、
「婦人健康外来」を掲げる赤澤クリニックは骨粗しょう症の診断と治療に携わるのは当然のことと思っています。

以下に骨粗しょう症に関する基本的なことがらを【Q and A】式に表し、赤澤クリニックの骨粗しょう症診療に対する考え方、対応などをお示しします。
自覚症状があればもちろん、無症状ならなおさら一度骨密度を測定したらいかがでしょうか。




      Q 1 骨粗しょう症っていったいどんな病気なの?
      Q 2 骨密度って何ですか?
      Q 3 骨質って何ですか?
      Q 4 骨粗しょう症だと何が困るのですか?
      Q 5 骨粗しょう症治療の目的は何ですか?
      Q 6 骨折したら、もはや骨粗しょう症治療の意味はないのでしょうか?
      Q 7 骨折するとどうなるの?
      Q 8 圧迫骨折があっても痛くないのでは?
       Q 9 脊椎の圧迫骨折は必ずしも痛くないのなら、あまり問題にする必要はないのでは?
      Q 10 内臓の圧迫症状とはどのようなこと?
      Q 11 薬だけで骨粗しょう症は治るの?
       Q 12 市販のカルシウム剤を飲んでいるので骨粗しょう症にはならないのでは?
       Q 13 治療すれば誰でも骨折が予防できますか?
      Q 14 骨粗しょう症の治療薬にはどのようなものがありますか?
      Q 15 どのくらいの患者さんが治療を受けておられるの?
      Q 16 なぜ骨粗しょう症の治療を受ける人は少ないの?
      Q 17 治療を途中で中止する方が多いのはなぜですか?
       Q 18 骨粗しょう症治療薬であごの骨が壊死する!?
      Q 19 骨が丈夫になった事が実感できますか?
       Q 20 骨粗しょう症の治療はどのくらい続ける必要がありますか?
      Q 21 ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)を使うと骨粗しょう症になりやすいと聞いたんですが?
       Q 22 骨密度の測定法にはいろいろあるようですが?
       Q 23 最後に,骨粗しょう症になりやすい人はどのような人ですか?





 Q 1 骨粗しょう症っていったいどんな病気なの?

骨の強度が低下し、骨折しやすくなった状態をいいます。
骨の強度は主に骨密度と骨質で決定されます。
骨粗しょう症で骨折しやすい骨はほぼ決まっており、それらの骨の1か所以上が
交通事故や高所からの墜落・転倒などを除く動作(例えば植木鉢の移動など)で骨折した場合を脆弱(ぜいじゃく)性骨折といいます。
脆弱(ぜいじゃく)性骨折は骨粗しょう症の合併症とみなされ、この場合は当然ながら骨粗しょう症と診断されます。
骨折がないから骨粗しょう症ではないとはいえません。
なお骨の強度は主に骨密度と骨質で決定されます。


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 Q 2 骨密度って何ですか?

骨密度は骨のカルシウム濃度の事で、骨量、骨塩量などどもいいます。
骨の強さの70%程度は骨密度で決まるとされています。残り30%は骨質で規定されます。


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 Q 3 骨質って何ですか?

骨の強さを決定する因子のうち骨密度を除いたものの総称で、これは骨の

  ・ 微細構造
  ・ 骨代謝回転 (骨は絶えず溶かされ、また作られています。このサイクルを骨代謝回転といい、一般に早い骨代謝回転ほど
     骨はもろくなります)
  ・ 微小骨折 (自覚症はなく、またレントゲン写真でも分からないほどの微細な骨折です)
  ・ 骨の石灰化度
  ・ 骨基質蛋白 (骨はコラーゲンなどの蛋白質とカルシウムでできており、両者とも骨強度に強く影響を与えます)

      を指します。

同じ骨密度でも骨の強さに個人差がある事や、治療して骨密度がわずかに改善しただけで、
骨折危険率が大幅に改善されるのは骨質の関与が大きい事を示唆しています。


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 Q 4 骨粗しょう症だと何が困るのですか?

骨粗しょう症があるからといって自覚症状があるというわけではありません。骨折して初めて症状が現れます。
すなわち、骨粗しょう症の合併症である骨折がやっかいな問題を引き起こすのです。
骨粗しょう症であっても骨折がない限り全く困る事はありません。


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 Q 5 骨粗しょう症治療の目的は何ですか?

骨粗しょう症治療の目的は,一言で言えば骨を丈夫にする事によって骨粗しょう症に合併する骨折を予防することです。
これは高血圧の方が血圧を下げることによって,合併症である腎臓病や心臓病を予防することと同じです。
治療により骨折率は明らかに低下します。


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 Q 6 骨折したら、もはや骨粗しょう症治療の意味はないのでしょうか? 

そうではありません。
骨折を予防するために骨粗しょう症の初期の段階から治療する事が理想的(さらにいえば骨粗しょう症になる前の予防がもっと大事)ですが、
骨粗しょう症に基づく骨折があった場合、新しい骨折を予防するためにさら強力に骨粗しょう症の治療をする事が必要なのです。

椎体骨折(背骨の骨折)は一度生じますと、次々に新たな椎体骨折を起こします。
一つも椎体骨折がない人より1個でもある人の方が次に骨折する頻度はおよそ4〜5倍も高いのです。

大腿骨頚部骨折が生じたら、早く骨折の治療(手術など)をして歩行を開始し、再度の骨折予防のためにも
骨粗しょう症の治療が必要なのです。

骨折があればなおさら強力に骨粗しょう症の治療をする事が必要なのです。


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 Q 7 骨折するとどうなるの?

骨粗しょう症に基づく骨折はある程度部位が限定されています。
最も多いのが背骨の圧迫骨折(椎体骨折)で、胸椎の中央よりやや下方から腰椎にかけてよくみられます。
75歳くらいになりますと女性の約半数に圧迫骨折がみられます。

その他、大腿骨近位端(股関節部)や手首の骨折が多くみられます。
大腿骨近位端の骨折は強い痛み、起立・歩行不能など大変辛い症状を生じ、寝たきりの原因のおよそ10%を占めています。

手首の骨折も痛みと運動制限で日常生活の強い制限が生じる事になります。

でもこれらの骨折の殆どは転倒する、転倒を防ごうとして手をつくなど強い外力が働いて生じます。
言い換えれば仮に骨粗しょう症であってもこのような外力が働かない限り,まず骨折しません。

しかし,脊椎の骨折はややそれらとは異なる性格を持っています。
このことを次にお話ししましょう。


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Q 8 圧迫骨折はあっても痛くないのでは?

およそ半数の方は脊椎圧迫骨折があっても強い痛みを感じません。
そのため、いつ骨折したのか全く記憶にない方もいらっしゃいます。

少しずつ椎体が潰れていく場合は痛みを自覚しない方が多いのですが、急速に潰れた場合は痛みのため身動きできず
1ヶ月ほど寝込む事があります。
階段から落ちるなど強い外力が加わって潰れるのはやむを得ないとしても、一寸した日常生活動作(植木鉢の移動、布団をしまうなど)で
急に潰れるとひどい痛みが生じます。

このように通常でしたら問題にならない程度の外力で潰れてしまうのが骨粗しょう症による圧迫骨折の特徴なのです。


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 Q 9 背骨の圧迫骨折は必ずしも痛くないのなら、余り問題にする必要はないのでは?

そうではありません。圧迫骨折が生じたとき必ずしも痛みがあるとは限りませんが、その後の慢性腰背部痛の原因となります。
でもそれがこの疾患の最も大きな問題ではなく、最大の問題は圧迫骨折に伴う内臓の圧迫症状が生じるという事です。


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 Q 10 内臓の圧迫症状とはどのようなこと?

内臓は横隔膜を境に胸腔と腹腔に納められています。これらを楕円形の底面を持つ円柱と思って下さい。
圧迫骨折により円柱の高さが低くなるとそれらの容積はその分少なくなります。
そうなると胸腔内臓器(心臓や肺など)、腹腔内臓器(胃・腸など)は圧迫されてその機能が十分果たせなくなります。

例えば、腹腔容積が縮小した結果、その分お腹が前方に突出する、食事時には胃が膨らみにくくなるためすぐお腹がいっぱいになる、
胃が横隔膜の上に押し上げられるため胃がもたれたり、胃内容物が食道に逆流して胸やけや胸痛を起こす(逆流性食道炎)、
また胸腔容積が縮小すると肺が十分拡張せず息苦しくなる、心臓に負担をかけるといったことが起きます。

これらは不快な症状だけにとどまらず、ひいては内臓障害をもたらし、内臓疾患率を上げ、死亡率を上げる要因となって現れるのです。

脊椎圧迫骨折は大腿骨頸部骨折に比べ、その影響の強さが分かりにくいものですが,QOL(生活の質)を確実に低下させます。


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 Q 11 薬だけ骨粗しょう症は治るの?

食事と運動をおろそかにして,薬だけで骨を丈夫にしようとしてもそれは無理です。
カルシウムを多く摂る食事への改善,適度な運動がベースにあって初めて薬の効果が発揮されます。
糖尿病や高血圧などと同じく生活習慣病の治療の基本は全て文字通り【生活習慣】の改善からです。

逆に食事の改善と運動で骨粗鬆症は治療できるかといいますと,これらだけで骨強度を高め結果として骨折を防ぐことは難しいと
言わざるを得ません。

これらだけで骨強度を高め、結果として骨折率を低下させる事は難しいと言わざるを得ません。

骨粗しょう症予防として食事や運動に留意することはとても重要なことですが、骨粗しょう症と診断されるほどの骨密度の低下があれば
薬物治療を抜きにしては目的は果たせません。


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 Q 12 市販のカルシウム剤を飲んでいるので骨粗しょう症にはならないのでは?

よく、ご自分の判断でカルシウム剤を飲む方がおられます。
カルシウムは骨粗しょう症の予防や治療に際して基本的な必要成分ですから、飲む事が一概に悪いとはいえません。
元々カルシウムは食事から摂取すべきものですが、どうしても摂取不足であると判断されたら食事の工夫のほかにカルシウム剤の助けも
必要でしょう。

ただ、市販のカルシウム剤の中にはカルシウムの吸収を良くするためにビタミンDが含まれている事があります。
ビタミンDは、ときに高カルシウム血症をきたします。そのため吐き気、嘔吐、便秘、中枢神経症状、多尿や口渇などが現れる事があります。

やはりカルシウム剤を飲む場合は医師の管理の下に服用して欲しいものです。

さて、カルシウム剤で骨粗しょう症が改善されるかという問題ですが、カルシウム剤だけでは骨粗しょう症は改善されないことを認識して下さい。

カルシウム剤は食事では不足しているカルシウム補給の意味はありますが、骨粗しょう症治療の薬としては効果は弱いと言わざるをえません。
カルシウム剤を骨粗しょう症治療薬と見做さない医師もいます。


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  Q 13 治療すれば誰でも骨折が予防できますか?

現在多くの骨粗しょう症治療薬が、医師の処方で使えるようになりました。
薬の進歩は目を見張るもので、骨量の増加と骨折の予防がはっきりと目に見えるようになりました。

ただ、薬を飲めば直ちに骨が丈夫になる魔法の薬ではありません。
食事と運動にも気を付けて、気長に服用する必要があります。
薬はすべての人に同じような効果を現すわけではありません。
薬の効果を定期的(当クリニックでは通常半年ごと)に確認して服薬を続けていただいています。

また、薬ですから副作用が現れる事もあります。薬にはそれぞれ特有の副作用があります。
服用継続に支障があるほどの副作用が現れる場合、軽い副作用で服用には支障ない場合、全く現れない場合など、
その程度は人により様々です。

骨粗しょう症は十数年〜数十年を経て進行してきた疾患ですから、治療も長期になる事を覚悟しなければなりません。
副作用で辛い思いを続ける事は無理だと思います。
もし日常生活に支障を来すほどの副作用があれば、他剤へ変更するなどの対応が必要でしょう。

この十数年、骨粗しょう症の治療は飛躍的に進歩し、様々な治療薬が使えるようになりました。
今後もさらに良い薬が出現するでしょう。
その中でご自分にあった(効果があり、副作用が少ない)薬を選択し、治療を継続しましょう。

こういった進歩した科学の恩恵を受けられるようになった現代の中高齢婦人(男性もそうですが)は、
それ以前の方々と比べ遙かに恵まれた環境に生活されていると私は思っております。


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  Q 14 骨粗しょう症の治療薬にはどのようなものがありますか?

大きく分けて内服薬と注射薬があります。
内服薬にはビスフォスフォネート製剤、塩酸ラロキシフェン、エストロゲン製剤、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、
カルシウム製剤などがあります。
ビスフォスフォネート製剤には毎日服用する製剤の外、週に1回服用、4週に1回服用の製剤もあります。
効果は全て同一です。どれを選択するかは全く自由です。途中で変更することも問題ありません。
注射薬にはカルシトニン製剤があります。
今年の4月からビスフォスフォネート製剤の注射薬を使用することができるようになります。この注射薬は4週間に一度の注射です。
ビスフォスフォネート製剤内服がやや煩雑(起床後食事前に服用し、30分は食事が摂れないこと、服用後30分は横になれないこと)
なことや胃腸障害の副作用でお困りの方にはお勧めの注射薬です。

ビスフォスフォネート製剤のうちのアレンドロネート(フォサマック、ボナロン)、リセドロネート(アクトネル、ベネット)
および塩酸ラロキシフェン(エビスタ)が治療効果が高い薬剤と評価されていますが、
日本で開発され、最近使用できるようになったビスフォスフォネート製剤のミノドロネート(ボノテオ、リカルボン)も
それらに勝るとも劣らぬ薬剤として評価されています。

塩酸ラロキシフェンは女性ホルモンではありませんが、骨やコレステロール代謝に対しエストロゲン(女性ホルモン)様作用を示す一方、
子宮や乳腺などでは反対の作用を示し、
選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM:Selective Estrogen Receptor Modulater)と呼ばれています。
エストロゲンに替わって使われるようになりました。

ビスフォスフォネート製剤が出現するまで、エストロゲンは骨粗鬆症の治療薬としてもっとも効果の高い薬として評価されていました。
2002年、アメリカでの臨床治験の結果、エストロゲンの副作用が過剰に発表され、
以後エストロゲンを骨粗鬆治療に使用することがかなり敬遠されるようになりましたが、
新しい解析の結果、少なくとも5年間の使用では全く問題にならないことがわかってきました。
更年期障害と骨粗しょう症で治療を受けるとすれば最も勧められるべき薬剤だと思います。

カルシトニン製剤は「骨粗しょう症における疼痛」の軽減を目的とする注射薬です。
骨粗しょう症の治療(骨強度の改善)効果は、ビスフォスフォネート製剤、塩酸ラロキシフェン、エストロゲン製剤には及びませんが、
圧迫骨折などで腰背部痛が強い場合は良い適応でしょう。
「カルシウムの注射をしている」といわれる方がいらっしゃいますが、エルシトニン注射を受けているわけです。


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 Q 15 どのくらいの患者さんが治療を受けておられるの?

残念ながら骨粗しょう症治療薬を使用している方は、骨粗しょう症で薬物治療が必要な患者さん1,000〜1,200万人の内2〜300万人
しかいらっしゃいません。


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 Q 16 なぜ骨粗しょう症の治療を受ける人は少ないの?

骨粗しょう症は老化であって、治療する病気ではないと思っておられる方も多かったのですが、
最近はそのような誤った考えの方はずいぶん少なくなってきました。
私はそれ以外の原因を次のように思っています。

1) 骨粗しょう症は症状が現れることなく徐々に進行し、合併症としての骨折が出て初めて自分が骨粗しょう症であったと気づく方が多い
病気です。
   つまり自覚症状が現れないと全く気づかないので、骨粗しょう症であっても自分は骨粗しょう症ではないと思っている。
       → 自覚症状は骨粗しょう症の合併症の症状であり、合併症がなければ症状は現れません。

2) 仮に骨粗しょう症による圧迫骨折が生じても、大して痛みはない(「近所のおばあさんは骨粗しょう症のためと思われる強い円背が
あるのにちっとも痛いなんておっしゃらない」といった経験はありませんか?)ので、治療するほどの病気ではないと思っている。
       → 徐々に背中が丸くなりますと強い腰背部痛を自覚しない事がありますが、
         慢性の腰背部痛が続く事や内臓圧迫による症状、日常生活動作の制限など、
         大きく生活の質(QOL)を低下させ健康寿命を短くしますます。


3) 食事と運動で十分予防できるから薬に頼る必要はない、と思っている。
       → 骨粗しょう症は生活習慣病の一つですから食事、運動に留意する事は大切な事です。
         しかしそれだけでは骨強度を回復し、骨折の予防が出来るものではありません。


4) 骨粗しょう症だと分かれば治療するんだけれど、それを検査するところがない。
       → 現在骨密度測定装置を備えた診療施設は整形外科、内科、婦人科などに増えております。
         また市の検診でも行っています。それらを積極的に利用しましょう。



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 Q 17 治療を途中で中止する方が多いのはなぜですか?

残念な事ですが高血圧や糖尿病などと異なり、同じ生活習慣病でありながら服薬継続率が低い事は事実です。
それは次のような理由からだと思います。

1) 効いているかどうかさっぱり分からないので止めてしまった。
       → Q 19でも説明しますが薬の効果は先ず実感できません。
         従って継続する努力が患者さんに、それを支援する努力が医師に求められます。
    


2) 腰(膝)の痛みが改善しないので止めた。
       → これらの痛みは変形性脊椎症、変形性膝関節症などの骨粗しょう症とは異なる疾患による場合が
         多いものです。従って骨粗しょう症の治療を行っても症状が改善しない事があります。


3) 腰(膝)の痛みが改善したので止めた。
       → 2)と逆ですが、日常生活の改善や、骨粗しょう症治療薬の鎮痛効果などで症状が改善することがあります。
         症状が改善したことと骨粗しょう症が治癒したこととは全く別のことです。
         症状が改善しても、医師の指示があるまで自己判断で治療を中断しないことが大切です。


4) 薬の副作用が出たので止めた。
       → 全ての薬に副作用はあります。それが全く現れない人もあれば強く現れる人もいます。
         副作用が強く、服用が困難だと思われたら治療そのものを中止するのではなく、その旨を主治医にお話しして下さい。
         他の薬に変更する事により殆ど解決します。
         なお、血液・尿生化学検査を定期的に行う理由の一つは、肝障害などの副作用の有無をチェックし、
         安心して服薬を継続していただくためでもあります。


骨粗しょう症およびその治療に対する理解を深め、
誤った認識を改めていただくためにも私たち骨粗しょう症に携わる医師は,
患者さんに十分な説明を行う必要があると思っています。


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  Q 18 骨粗しょう症治療薬であごの骨が壊死する!?

一昨年の年頭に、ある新聞に衝撃的な記事が載りました。
骨粗しょう症治療薬であるビスフォスフォネート(BP)製剤を使っている人で歯科治療後にあごの骨が壊死する例が出たとの記事です。
この記事を読まれた患者さんから数多くの問い合わせを頂いております。
記事の概要は次の通りです。

BP製剤を使っている人のうち全国で少なくとも30人に歯科治療後にあごの骨が壊死を起こした。
BP製剤と歯科治療後の細菌感染が重なったことが原因ではないか。
また、このうち25名は乳がんなどの治療の一環としてBP製剤の注射を受けている人で、
骨粗しょう症治療のためにBP製剤を内服している人は5人だった。
日本口腔外科学会の理事長は「BP製剤を使用している人は歯科治療の際にその旨を歯科医に伝えること、
BP製剤を処方する医師は副作用について十分患者に伝えることが重要だ」と話している。

このような記事でした。

BP製剤を製造しているメルク社の顎骨壊死に関する見解を要約しますと以下のようになります。

 ・ 顎骨壊死の病態は未だ解明されていないが、発症にはいくつかの要因が関与している。

 ・ BP製剤に関連した顎骨壊死はそのほとんどが静脈注射製剤を投与された悪性腫瘍患者さんに発症しているが、
  骨粗しょう症などの患者さんにも発生することが報告されるようになった。

 ・ 顎骨壊死の発症危険因子としては、悪性腫瘍、併用療法(化学療法、放射線療法、ステロイド剤など)、
  口腔内の不衛生および合併疾患(既存の歯科疾患、貧血、凝固異常、感染症など)が示唆される。

 ・ メルク社による2007年3月31日時点での全世界の累積報告数から試算した推定発症頻度は,
  因果関係の有無に関わらず0.5〜2.5/100,000人/年未満だった。

以上の背景からメルク社のBP製剤にはその添付文書の「使用上の注意」の項に顎骨壊死に関する文言が付けられています。
日本においてもBP内服製剤(ボナロン、フォサマック、アクトネル、ベネット、ダイドロネル ボノテオ、リカルボン)には,
それぞれの添付文書「使用上の注意」の項に顎骨壊死に関する下記の文言が記載されています。

『本剤を含むBP系薬剤による治療を受けている患者において,顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。
報告された症例のほとんどが抜歯などの歯科処置や局所感染に関連して発現しており,
また,静脈内投与された癌患者がほとんどであったが,経口投与された骨粗しょう症患者等においても報告されている。
リスク因子としては,悪性腫瘍、化学療法,コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。
本剤の投与にあたっては、患者に十分な説明を行い、異常が認められた場合には,直ちに歯科・口腔外科に受診するよう注意すること。』

顎骨壊死に関する情報は今後,早急かつ大規模に集められ,より正確な情報として公開されることになります。
現時点では経口BP製剤服用患者さんの10万人に1人くらいに顎骨壊死が発症すると考えられます。

BP製剤による顎骨壊死は発症頻度は低いものの重要な合併症であることは事実です。
その発症には多様なリスク因子が関与しておりますので、そのことを留意した上で服用されることをお勧めします。
歯や口腔の疾患がある方は治療開始前に抜歯などの歯科治療を済ませておくのがいいでしょう。
治療中に抜歯などの歯科治療が必要となったらBP内服製剤を3カ月ほど休薬した後で歯科治療を受け、
治療後およそ3カ月して歯科の先生がBP内服製剤の再開に問題なしと判断されてから再開してもよいと思います。
いずれにしても歯科医と連絡を密にとりながら治療を行うことが大事です。


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 Q 19 骨が丈夫になった事が実感できますか?

実感できれば服薬を継続する意欲が出ると思いますが、実感できないでしょう。
前項でも述べましたように、骨粗しょう症治療薬を服用し「腰痛が軽くなった」と喜ばれる方がいらっしゃいますが、
骨が丈夫になったとは断定できません。

そういう意味からも定期的な骨密度測定、レントゲン検査、血液・尿生化学検査などを行い、その結果を基に治療効果を判定し、
目に見える形で患者さんにお示しすることが担当医の責務と思っております。


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 Q 20 骨粗しょう症の治療はどのくらい続ける必要がありますか?

一定の決まりがあるわけではありません。
既存骨折の有無や骨密度の改善の程度などをみながら継続の必要性を患者さんごとに判断します。
良好な経過であればしばらく薬による治療を中断し、例えばその半年後に検査し、その結果によっては治療を再開するという事もあります。

いずれにしても長年月を経て発生した生活習慣病ですから、高血圧や糖尿病などと同様に長期間の治療が必要とお考え下さい。


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 Q 21 ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)を使うと骨粗しょう症になりやすいと聞いたんですが?

ステロイドホルモンはリウマチや喘息などによく用いられ高い効果を発揮しますが、骨にとってはやっかいな薬で、
骨密度を急速に低下させます。

ステロイドホルモンをはじめ、病気のために使った薬によって骨粗しょう症となる場合や、ある種の病気が元で骨粗しょう症になる場合を
二次性(続発性)骨粗しょう症といいます。
精密検査とそれに基づく治療が必要です。

ステロイドホルモンの内服が長期(3か月以上)にわたっている場合は、是非検査を受けて下さい。


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 Q 22 骨密度の測定法・測定部位にはいろいろあるようですが?

地域の骨粗鬆症検診が最近よく行われております。
多くの場合、かかと(踵骨)の骨密度が測定されます。
また診療所では手首の骨密度測定が最も多く行われています。

かかとの超音波による検査は簡便であること、X線を用いないこと、ローコストであることなどから検診によく用いられていますが、
治療効果の判定には利用困難であることから、
現時点ではスクリーニングとしての利用に限定されています。
その結果【異常なし】【要指導】【要精密検査】のいずれかの判定結果を表示します。

これらの結果はかかとの骨密度を簡易検査法で測定したものであり,
必ずしも骨粗しょう症で最も問題となる脊椎(背骨)や大腿骨頸部の骨密度を表しているわけではありません。

日本骨代謝学会では骨密度測定部位を
「原則として腰椎、変形などのために腰椎の骨密度測定が適当でなければ大腿骨頚部、これらの測定が困難であれば橈骨(前腕骨)、
第二中手骨(指の骨)、踵骨とする」と決めています。

それは腰椎が臨床上重要な骨である事、測定誤差が少ない事(測定値の再現性に優れている)、
治療による骨密度の変化がよく反映される事などの理由からです。

骨粗しょう症になりやすい骨(脊椎,大腿骨頚部,前腕骨など)はほぼ決まっているものの、その程度はまちまちで、
背骨は明らかな骨粗鬆症であるのに大腿骨頸部は比較的丈夫である場合,
あるいはその反対のことなどよくあるのです。

しかもかかとなどの測定は簡易測定ですから精密度はあまり高くはありません。

測定結果が【要精密検査】であれば腰椎と大腿骨頚部の骨密度を測定し、正確な診断を求めていただきたいと思いますが、
【要精密検査】以外の判定であっても腰椎や大腿骨頚部の骨密度測定を受けられることは臨床上重要な骨の骨密度の正確な診断のために
有用なことと思っております。

特に次の項で示します骨粗しょう症関連因子を持っている方や、
若い頃に比べ3cm以上、50歳の頃に比べ2cm以上身長が低くなった方などには強くお勧めします。

骨粗しょう症に関心をお持ちになり、検診を受けられただけでも骨粗しょう症克服の第一歩を踏み出されたわけですが,
さらにもう一歩踏み込んで少しでも正確な判定を受けていただきたく思います。

赤澤クリニックでは腰椎と大腿骨近位端(股関節)の骨密度を測定し、
診断・治療の必要性および治療効果の判定に利用しています。



                   骨密度測定ではレントゲン被曝が心配だが?

超音波を使った踵(かかと)の骨密度測定は、被曝の心配は全くありません。
腰椎や大腿骨頚部の骨密度測定にはX線が用いられます。
ただ、その線量は自然放射線量の2日分というごく微量のため健康被害の心配は全くありません。

このことに関し、長崎大学放射線部助教授(当時)の伊東昌子先生が日本医事新報No.4189(2004年8月7日号)に
著されています論文の一部を抜粋してお示しします。

【自然放射線とは宇宙線や大地・空気中のバックグランドの放射線で、
日常の生活で誰もが避けることが出来ない放射線であり、年間2.4mSvであるといわれている。
骨密度検査の被曝線量はその2日分あるいは39,000フィートの高さを1時間飛行 したときの自然放射線に相当する】



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 Q 23 最後に、骨粗しょう症になりやすい人はどのような方ですか?

骨粗しょう症の危険因子には除去し得ない因子と除去しうる因子があります。除去し得ない危険因子としては

  ・ 高齢の女性である
  ・ 家族に骨粗しょう症の方がいる
  ・ アジア人である
  ・ 初経が遅かった
  ・ 閉経が早かった

などが挙げられます。除去しうる危険因子としては

  ・ 偏食がち,カルシウムを多く含む食べ物をあまり摂らない
  ・ ビタミンD不足である
  ・ リンの摂り過ぎ
  ・ 食塩の摂り過ぎ
  ・ 極端な食事制限(ダイエット)
  ・ 喫煙,アルコール摂取が多い、コーヒーをよく飲む
  ・ 運動不足(特に若い頃)
  ・ 日光にあまりあたらない

などです。
体重と年齢は骨密度の程度をかなり高率に予測するといわれ、
FOSTA(骨粗しょう症自己評価指数:[体重(kg)−年齢(歳)]×0.2)が−4未満,4cm以上の身長短縮、円背・亀背などがあれば
骨粗しょう症の可能性が高いといわれます。

また骨粗しょう症になりやすい病気としては

  ・ 閉経前の卵巣摘出、40歳未満での閉経(早発卵巣障害)
  ・ 胃切除・乳糖不耐症(牛乳を飲むと下痢する)
  ・ 糖尿病、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、多発性骨髄腫
  ・ 関節リウマチ
  ・ ステロイドホルモン過剰(Cushing症候群、薬剤投与)

などが挙げられます。
これらの項目に当てはまるようでしたら骨粗しょう症にかかりやすい状態であると認識し,骨密度測定を受けられたがよいと思います。

若い事に比べて身長が3cm以上縮んだ、背中が丸くなったと思われたら、骨粗しょう症による圧迫骨折がすでに発生しているかもしれません。
できるだけ早く診察を受けましょう。


骨粗しょう症危険因子のない方でも閉経を迎えたら骨粗しょう症の精密検診を受けることをお勧めします。
その場合保険適応外であり、自費扱いとなります。

検査の結果骨粗しょう症と判断されましたら、その後の検査や治療に関しては保険扱いとなります。

詳しくはお電話か受診時にお尋ね下さい。



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