『俊平1/50』

最終更新 2007年9月25日


単行本(全一巻)カヴァー

『俊平1/50』単行本


講談社イブニング誌で2004年1月13日発売号よりスタート
下は記念すべき一話目トビラページ


『俊平1/15』一話扉

 私の従来の作品とはいささか毛色の違った作品である。
 編集部のはからいで監修に柳田理科雄先生が参加されたこともあるが、製作に編集長と担当さんの意見がかなり色濃く反映されており、私は作画は別としてあくまで製作の何割かを担当しているに過ぎない。
 講談社のそうした製作体制については昔から聞いていたが、今回身をもって体験して色々興味深かった。
 ご存知の通り私山本はともすれば「たとえ面白くなくてもこだわりの部分に関しては整合性や考証をとり、その枠内で可能な範囲の面白さを探す」という挙に出てしまう作家であり、そこが一部の読者から「つまらん」「資料の発表会」「馬鹿」など多くの叩きの対象にもなってきた。それが今回は違っている。私が「これは理屈上こっちでは・・・」などといつものパターンで思っても「いや、こうした方がおもしろくなるので」と編集サイドから言われれば極力そちらの意見に沿ってあり、柳田先生をお招きしておいて矛盾するようでもあるが、考証が二の次なる場面もあり、それはそれで「漫画は面白さの追求である」という考えに立てば正当な展開かも知れないと思うのである。
 ここギャラリーで書くと長すぎるので場を改めるが、ただ一話目を描き上げるだけで一言ではいえない多くの初めての体験をさせられた。実験作であり意欲作である。
 皆様のお口に合えば良いのですが・・・    (2004年1月2日)