英君酒造株式会社 望月専務さんから、お酒の返信 

2月1日付けメールの全文

 

 

  吟醸さま。
  毎度お世話になります。ご返事が遅れて申し訳ありませんでした。

  さて、ご返送頂いた秘蔵滓酒についてご報告致します。
  早速、酸度分析と乳酸菌混入の有無について調査いたしました。
  小さな蔵元ですので高度な分析が出来ぬ事ご理解ください。

  酸度 1.5
  乳酸菌混入 陰性(混入なし)

  でありました。酸度が表示の1.2よりも0.3も高く出たことは滓酒という製品の
  特製上、当然のことでありますが、表示の方も訂正して出荷すべきでした。深く反省
  すると共に、今後改善したいと思います。

  またきき酒をいたしましたところ、吟醸さまのHPにてご指摘の通り、酸が浮くよう
  な感じがあり、またエグ味も多少感じられました。上立ち香が少ないのは滓によって
  マスキングされている為であると考えます。

  この秘蔵滓酒は「静岡酵母NEW5」によって醸され、静岡県の鑑評会に入賞したも
  ろみの酒です。(名古屋、全国は評価基準が違う為、この酵母の酒は出品しておりま
  せん)

  吟醸さまが通常市川さまからお買い求めいただき、昨年までHP上で評価していただ
  いたお酒はおそらく「M-310酵母」のものであると考えます。

  NEW5は静岡型の端麗な酒質を持ち、含み香はあまり出ません。それに対し、M-3
  10はバラのような濃厚な含み香が特徴です。

  そういった酵母の特性を考えると、滓の風味に負けない濃厚な味を持つM-310は
  滓酒としての適性がありますが、NEW5の方は滓の風味に負けてしまう事が考えら
  れます。

  総合して、何でも滓酒にすれば良いのではなく、酒質との兼ね合いを考慮する事が必
  要である。
  また新鮮な滓の風味が劣化してエグ味に変化しないうち、出荷時期を早めに設定す
  る。以上2点の結論を出しました。

  残念な思いをさせてしまい、重ね重ねお詫びいたします。

  また、手紙にてお酒の送付を固辞しておられましたが、大吟醸斗ビン囲い「NEW
  5」を送らせて下さい。
  これは決してお詫びの意味だけでなく、滓を除去した状態のこのお酒の味を見て頂き
  たいからです。
  何卒、ご理解の上、ご笑納下さい。

  追伸:気が向くようでしたら評価をまたお聞かせ願えれば幸いです。よろしくお願い
  致します。

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  望月裕祐(英君酒造)
  eikun@vcs.wbs.ne.jp
  http://www2.wbs.ne.jp/~eikun/
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 大変忙しい中、私の様な者の意見に早々と大変細かく検討を加えていただき、恐縮の至りです。また大変謙虚に消費者の意見を汲み取って研究と改善策を見いだされる、貴社に対して敬服と信頼感を感じます。今回はありがとうございました。

 大変内容が素晴らしく、蔵元の姿勢が分かるメールですので、全文掲載しました。ただし、私の名前の所だけ、実名から吟醸と私が書き換えています。