吟醸さま。
毎度お世話になります。ご返事が遅れて申し訳ありませんでした。
さて、ご返送頂いた秘蔵滓酒についてご報告致します。
早速、酸度分析と乳酸菌混入の有無について調査いたしました。
小さな蔵元ですので高度な分析が出来ぬ事ご理解ください。
酸度 1.5
乳酸菌混入 陰性(混入なし)
でありました。酸度が表示の1.2よりも0.3も高く出たことは滓酒という製品の
特製上、当然のことでありますが、表示の方も訂正して出荷すべきでした。深く反省
すると共に、今後改善したいと思います。
またきき酒をいたしましたところ、吟醸さまのHPにてご指摘の通り、酸が浮くよう
な感じがあり、またエグ味も多少感じられました。上立ち香が少ないのは滓によって
マスキングされている為であると考えます。
この秘蔵滓酒は「静岡酵母NEW5」によって醸され、静岡県の鑑評会に入賞したも
ろみの酒です。(名古屋、全国は評価基準が違う為、この酵母の酒は出品しておりま
せん)
吟醸さまが通常市川さまからお買い求めいただき、昨年までHP上で評価していただ
いたお酒はおそらく「M-310酵母」のものであると考えます。
NEW5は静岡型の端麗な酒質を持ち、含み香はあまり出ません。それに対し、M-3
10はバラのような濃厚な含み香が特徴です。
そういった酵母の特性を考えると、滓の風味に負けない濃厚な味を持つM-310は
滓酒としての適性がありますが、NEW5の方は滓の風味に負けてしまう事が考えら
れます。
総合して、何でも滓酒にすれば良いのではなく、酒質との兼ね合いを考慮する事が必
要である。
また新鮮な滓の風味が劣化してエグ味に変化しないうち、出荷時期を早めに設定す
る。以上2点の結論を出しました。
残念な思いをさせてしまい、重ね重ねお詫びいたします。
また、手紙にてお酒の送付を固辞しておられましたが、大吟醸斗ビン囲い「NEW
5」を送らせて下さい。
これは決してお詫びの意味だけでなく、滓を除去した状態のこのお酒の味を見て頂き
たいからです。
何卒、ご理解の上、ご笑納下さい。
追伸:気が向くようでしたら評価をまたお聞かせ願えれば幸いです。よろしくお願い
致します。
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望月裕祐(英君酒造)
eikun@vcs.wbs.ne.jp
http://www2.wbs.ne.jp/~eikun/
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