最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2008年4−6月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。
 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。

 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇


2008年次回例会は  7月26日(土)です。


 2008年6月28日(土)


 

1.小布施酒造(長野県小布施町)  純米吟醸  「ソガ ペール エ フィス」 原酒無濾過
原料米;
美山錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】 16〜17度  【日本酒度】+4 【酸度】2.2  1.5L  \2,520
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評; ワインメーカーが趣味的に極少量作り上げる「採算を無視した酒」が小布施蔵です。吟醸酵母を使用し華やかな香りの酒です(裏ラベルより)
 香り高く飲みやすく、ワイナリーでもこれだけの日本酒ができるのだ。本職の蔵元さんもう少し頑張って。

 


 
2.古屋酒造店長野県佐久市)  純米吟醸  「和和和(わわわ)」  生原酒
原料米;
美山錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \2,730
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; まずラベルデザインとネーミングが抜群。甘く柔らかく香りがほのかに迫ってきます。食中酒にしては勿体ないぐらいレベルが高い。後味も良くバランスして品性良い。

 

 

3.酔鯨酒造高知市長浜)  純米吟醸  「酔鯨 吟寿」  うすにごり無濾過
原料米;
八反錦、 精米歩合;45%   【アルコール分】17 〜18度  【日本酒度】+7 【酸度】1.75  1.8L  \3,885
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; うす濁りを通り越して本濁りです。白濁した濁り部分が大きなママコになっていたので、品質に疑問が出たが、それは取り越し苦労であった。控えめな味わいと香りだがそれが良い。土佐作りのカツオのタタキとドンピシャリと合った。

 

 

4.いそのさわ福岡県うきは市)  大吟醸  「駿 勢明(せめ)」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;35%   【アルコール分】15〜16度   1.8L  \3,885
A;味4、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 今年度全国新酒鑑評会金賞酒の”せめ”です。
旨い、うまいがパンチがなく飲み手にインパクト感が伝わってこない。せめの重さはなく飲みやすいが、味わい薄い。

 

 

5.亀の井酒造山形県鶴岡市)  純米大吟醸  「スーパーくどき上手」 
原料米;
改良信交、 精米歩合;30%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+1 【酸度】1.2【酵母】M 310  1.8L  \4,200
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 香りが強すぎてさわやかな酒質を圧倒して、バランスを崩している。さらりと柔らかく旨いのに、エレベータに乗ったら香水の強さに閉口して降りたくなったような、辛さがあった。

 

 


 2008年5月31日(土)


 
1.天寶一広島県福山市)  純米大吟醸四〇  「天寶一 せめ  裏ラベル」 
原料米;
兵庫特A山田錦、 精米歩合;40%   【アルコール分】17度   1.8L  \3,150
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 責めすぎたのでしょうか、渋味が口中を刺し、手が止まります。
燗をしてみました。ぬるめや人肌ではこの渋味が取れません。家庭でやる熱めの燗にしたら、カドが取れ優しさがが出て、日本酒の旨さが出た。冷やで飲むより熱めの燗で楽しみましょう。

 

2.秋田木村酒造工場(秋田県湯沢市)  大吟醸  「福小町 押切 裏ラベル」  生酒
原料米;
山田錦、 精米歩合;40%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \3,150
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 甘く柔らかく大吟醸の風格十分。せめの感無く、コストパフォーマンス最高な買い得の逸品。

 

3.酒田酒造山形県酒田市)  大吟醸  「上喜元 押切 裏ラベル」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;35%   【アルコール分】17度   1.8L  \3,150
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 美味い、旨いが渋味が口中を刺す。カタクチに入れて空気と結婚させると柔らかく、旨味が出た。開封したてより2〜3日過ぎてからの方が旨味が上がってくるでしょう。

 


 
4.富美菊酒造富山県富山市)  大吟醸  「羽根屋 押切」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;40%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+ 5 【酸度】1.2  1.8L  \3,500
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 味わい豊で雑味も感じられず、旨味が十分詰まっている。五味がバランスしこの液体の中に溢れている。

 

 

5.月桂冠京都市伏見区)  純米吟醸  「月桂冠」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】16.5度  【日本酒度】+ 3 【酸度】1.6  1.8L  \3,500
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 君!こんな大メーカーで、吟味されたはずなのに、この味?
ざらついた感触と嫌な渋味と味わいのバランス感がない。いま一歩、いえいま二歩。

 

 

6.美冨久酒造滋賀県甲賀市)   大吟醸  「美冨久 大吟極醸」 
原料米;
山田錦、 精米歩合;45%   【アルコール分】17度  【日本酒度】+ 5 【酸度】1.1  720mL  \2,520
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4+
E寸評; 吟醸酒の標準ですが、個性もなく、また感動もなく、この値段ではリピーターはないでしょう。日本酒造協同組合連合会・酒プラザ(新橋)で購入。いつもガッカリする品揃え、もう少し吟味してよ。

 

 

7.旭酒造(山口県岩国市)  純米大吟醸  「獺祭 磨き三割九分 遠心分離 おりがらみ   
原料米;
山田錦、 精米歩合;39%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+4 【酸度】1.4   1.8L  \5,985
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; 白濁した中からきつめの酸味と硬い味わいが伝わってくる。開封して時間が経っても味わいに変化なし。酸味きつくバランス悪し。

 

■今回飲んだ1〜4番の吟醸酒は「せめ」(=押切)の酒です。モロミ(発酵が終わって白濁した液体)を絞る時、最初にしたたり落ちてくるのは「はなたれ」とか「初取り」とか言われ、自重で袋からほとばしり出てきます。雑味が無く清楚で贅沢な酒質になります。続いて「中取り」が万遍なく五味を含んでいて、その酒本来の味わいを持っています。最後の絞り部分を「せめ」と言います。
 せめは味わいが濃いのですが、えてして雑味が多く単品では商品になりにくく、通常蔵元では下級の酒に混ぜて商品としています。美味しい吟醸酒を造っている蔵元の普通酒が美味くなるのはこのせいもあります。
 今回、この「せめ」を単品の商品として販売されたもので、蔵元としてはお客さんに見せたくない舞台裏を露見させてしまうので、商品にしたくない部分です。でもそれが分かって飲む分には最高のコストパフォーマンスと勉強になります。杉浦酒店(葛飾区)では表道を歩く酒達に対して、裏街道と言うことで、ラベルの文字を裏焼きしています。


 2008年4月26日(土)

 

1.松屋酒造群馬県藤岡市)  純米吟醸  「これでよしなに」 
原料米;
群馬県産 酒造好適米「若水」、 精米歩合;58%   【アルコール分】15.8度  【日本酒度】+ 5 【酸度】1.4  1.8L  \3,150
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4−
E寸評; 「『御代官さん、ひとつ、これでよしなに』、『おぬし、なかなかのワルよの〜』との話があったかどうか。これを贈れば全てよし、の、ジョークが分かる方へのお酒」。(酒販店談)
ジョークは最高に分かります。中身はヌカ臭がしていま一歩。今がピーク。

 

 

2.麒麟山酒造(新潟県阿賀町)  純米吟醸  「ぽたりぽたりきりんざん」   
原料米;
五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.5   1.8L  \3,150
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;
純米吟醸の「しぼりたて生」の原酒です。毎年12月と明けて2月に発売されます冬季限定のお酒です。
甘く芳醇でバランスし、飲み手を満足させる柔らかく旨い美酒。炭酸のギスギスしたピリピリ感が抜けて、今が飲み頃。落ち着いてきた新人君。

 


 
3.富士高砂酒造(静岡県富士宮市)  純米吟醸  「高砂 槽掛中取  生無濾過 原酒
原料米;
兵庫県産山田錦、 精米歩合;55   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+6 【酸度】1.2 【酵母】静岡酵母NEW-5  1.8L  \3,150
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; いつも安定した旨さをもっている。柔らかく丸く馥郁とした旨さは、安心してグイグイやりたくなる。喉ごし柔らかく香り立ちの素晴らしさが飲み手の袖を引く。

 


 
4.三和酒造(静岡県清水市)  純米吟醸  「臥龍梅 袋吊り雫酒 生原酒
原料米;
兵庫県産山田錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+3
【酸度】1.5  1.8L  \3,360
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 硬い味わいの中から、吟醸香の立ち上がりが冴え、バランスした味わいは楽しい。

 


 
5.英君酒造静岡県由比町)  吟醸  「英君 特別袋吊り雫酒」  生詰
原料米;
福井五百万石、 精米歩合;50%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+7 【酸度】1.3 【酵母】静岡酵母HD−101(HD-1の泡なし)  1.8L  \3,640
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; この蔵元の酒は丁寧に造られているのだが、どこかあか抜けしないのが玉に瑕であったが、今回は違う。品良く清楚に仕上がって、柔らかく飲み手を包み込む。

 


 
6.神沢川酒造場(静岡県由比町)  純米大吟醸  「正雪 備前雄町 うすにごり 生19BY
原料米;
備前雄町、 精米歩合;45%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+4 【酸度】1.2   1.8L  \4,200
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 相変わらず正雪は旨い。薄濁りが味にどの様に影響しているかこの際考えない。ただ只、旨い。雄町の旨さが最大限引き出され、相変わらず正雪の造りの良さが際立っている。

 


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