時局便乗 17000おまけ

1941年12月8日(米国は7日)の新聞広告


 「歳月人を待たず」と云うが、まったくその通りであって、12月8日当日になって「あっ12月8日ではないか!」と慌てる、情けない有様である。

 12月8日と云えば、ジョン・レノンの命日であり、トマソン入団の奉祝日であり、云うまでもなく、真珠湾攻撃の日である。


 以前、8月15日の米国新聞ネタを掲載した時、戦争勃発新聞もある、と云う前振りをしてしまったので、日付が変わってしまう前に、ネタをでっちあげている次第である。

 と云うわけで、”ST.LOUIS STAR−TIMES”最終版から、一面トップ。
「戦争勃発 3000名死傷、ジャップ ハワイ攻撃」てなところであろうか。


 で、”WAR EXTRA”(戦争号外)とあるように、戦争記事以外は、フツーの新聞である。ルーズベルトの思惑はともかくとして、一般国民は帝国日本が、遠路はるばるハワイを攻撃しに来るとは予想だにしていないわけであるから、当然新聞紙面もいつもの記事を印刷機にまわしていたわけである。

 と云うわけで、クリスマス商戦まっただ中にホンモノの戦争が始まってしまったのである。左のイラストは、ラジオ付きレコードプレイヤー169ドル95セント。この”9ドル95セント”と云うのが商売っ気丸出しでほほえましい(笑)。

 こちらは「電気レンジ」である。”ELECTRIC”が、「電熱」のニュアンスなのか、「電子レンジ」の意味あいなのか、貧乏人の小せがれである主筆には判別出来ない。破格の? 88ドル88セント! 8揃えなところも、またメリケン商人の心意気、と云うやつなのか?

 奥様の気を引くには、家事の負担を軽くする、便利な器機と、日々を美しく過ごすための衣装に限る、と云うわけでもないのだろうが、まあエレガントなおべべではある。

 帝国日本の真珠湾奇襲は、とかく米国人には悪評高いのであるが、こう云う「クリスマスシーズン」を完全にブチ壊しにしてしまった事を思うと、米国人が未だに根に持つ気持ちも分からないではない。
 「20世紀最期のクリスマスだね…」なんて鼻の下を伸ばしているところへ、戦争ふっかけられて、年末の予定が滅茶苦茶になったらイヤでしょう?


 一部の日本人は「亜細亜解放戦争だ」と奇声(気勢と打つつもりだったが、面白いのでこのままにする)を上げているが、米国人は日常生活を狂わされた、と云うまったく違う次元で腹を立てている事を認識しておいても損は無いと思う。
 世間知らずの高校生が、日常生活の不満が高じて、ビデオ屋に爆弾を投げ込んだ一件を、「彼にも一理ある」と認める普通の大人が何人いると云うのだ?
 いつまでも肩肘張らずに「あの頃のオレって馬鹿だったなあ…」と認めてしまった方がいいんじゃあないだろうか。


 話が脱線した(毎度の事ではあるが)。最期に「アメリカも色々あったんだねえ」と云うネタでしめようと思う。

 セントルイスの牛乳の値段が不当に上昇していたらしい、と云う漫画。「だからどうした」と云われれば「いや、それだけなんですけど…」としか云いようがない。