物件No.18 「割烹旅館 山王荘」 千葉県

「初夏の悪夢」

 約2年前に「廃墟ファン」に投稿した物件です。私にとっては、今までの廃墟人生どころか、人生においても、最大の恐怖を体験した物件です。そんな訳で、今後廃墟活動を続けていく上での克服すべき物件なので、すでに4回ぐらい廃訪しました・・・。
 ここだけは、敢えて1人で潜入します。また「肝試し」などで、ふざけ半分で行く事は本当にやめてください。私は、心霊を含む呪いだとか霊障だとかは、全く信じませんが、ここで体験した事に関しては偶然では説明できない不思議な因縁を、否定できません・・・。静かにこのまま朽ち果てていくのを心から願っています・・・。

入口

鬱蒼と茂る山林の奥にその物件は今も存在しています。
まるで潜入者を拒むように倒れた樹が行く手を遮ります。
看板

かつては、山の下にその存在を、認めさせようとした看板が、
朽ち果て、今では植物がここの存在を隠すように生い茂ります。
廃墟そこは、自然を破壊し続ける我々から、支配権を植物に
譲り渡した聖域です・・・。
繁茂する植物にとっては、私は「招かざる客」にすぎません。
正面玄関

ここが本館の入口です。
渡り廊下、大宴会場の平屋を横断すると隣の別館に行く事が
出来ます。
静寂が支配するこの空間に、遠く飛行機の音だけが聞こえて
きました・・・。
下駄箱??

なぜか、女性物のハイヒールが1足。
存在の意味を無くした靴・・・。
廃墟の中でそれは、別の意味をもち続けるのかもしれません。
自販機&コインロッカー

ここがかつて、意味の有った物件で有る事を語りかけてくれます。
電気の無い今、コンプレッサーの音も聞こえません・・・。
フロント

沢山の人々がここの前を通り、ひと時の「楽しさ」を味わいそして
再びこの前を通り、日常へ戻っていったのでしょう・・・。
フロント内部

引き出しの中には、もう何も有りません。
机の上に置かれたままの受話器を耳にあててみます。
過ぎ去りし過去の音が、聞こえるようでした・・・。
1階廊下

1階部分の窓には、全て木の板が打ち付けてあります。
真っ暗な廊下が目の前に続いて行きます。
この閉ざされた空間の終わりまで、私の懐中電灯では光を
届かせる事は出来ませんでした・・・。
暗く長く永遠に・・・。
それは、人生に絶望した「人」の心の中のようでした・・・。
破壊された部屋

人為的にでは無く、自然が破壊した部屋です。
沈殿した空気のなかに、廃墟特有のカビの臭いが漂います。
すぐにでも明るい外に出たい気持ちを抑えるのに苦労します。
綺麗な部屋

ここは、建物の真ん中辺に位置するため、いまだに現役当時の
趣を維持していました・・・。
厨房

食器や調味料などは、ほとんど有りませんが、機材や什器等は、
そのままでした・・・。
この物件の母体は現在も駅前で営業しています。
多分、小物類はそこで使われているのかもしれません。
大宴会場

かつて栄華を誇ったであろう、大宴会場も今では、暗闇のなかで
朽ち果て、その巨大な骸を惨めに晒しています。
床が腐り、畳が抜け、湿気を含んだこの場所には、その痕跡すら
発見する事は出来ませんでした。
天井

人工の光が全く無い館内で、唯一の光が皮肉にも自然が破壊
した、天井の穴から差し込んでいます。
結婚式場の看板

この大宴会場は、披露宴にも使われていたようです。
もし、ここで結婚式を挙げた方がこの画像を見たとしたら、
チョット複雑な気分でしょうね・・・。
ずばり結婚式場

神事を執り行った場所のようです。
沢山の足の付いたおぼん??が積み重ねて有りました。
2階への階段

階段の下に、庭園が再現されていたようです。
もはや、破壊され尽くして面影も有りません。
2階廊下

2階部分は、窓に板が這っていないため明るいです。
太陽の明かりが、恐怖をやわらげてくれます。
ここの廊下は、突き当りが見えます・・・。
2階部屋

板が貼っていないので、ほとんどのガラスが投石のよって破壊
されています。
いつも廃墟で思うのですが、そのエネルギーを是非違う方向に
使っていただきたいです。
2階廊下その2

風雨ではがれた壁と、錆びた蛇口がいい感じです。
奇跡的に鏡が割られずに残っています。
中宴会場

大宴会場とは違い、光が溢れていました。
皮肉にも割られたガラスのお陰で、外界の新鮮な空気に満たされ
ています。
舞台は永遠に迎える事の無い「出し物」をここで待ち続けています。
配膳部屋

麒麟ビールの冷蔵庫です。
隅には空のビンが並んでいます・・・。
2階の窓から

手入れされていたであろう、中庭で植物が真夏の太陽のもと
誇らしげに生い茂っています。
別館の壁の蔦が、全てを覆い隠すのも時間の問題です。
植物の緑に青い空、耳に痛いほどの蝉時雨・・・。
ここはもう完全に自然と呼べる空間です。
注)3枚目の正面玄関は冬に廃訪した画像です。


ここの窓をあけると「彼」は居ました・・・。
「彼」はきっと私を、呼んでいたのかもしれません・・・。
窓の内側

ここに「彼」はさがり、そして朽ち果てていました・・・。
したの青いシートは、捜査員が「彼」を運び出す時に
使用した物です・・・。
なぜここで、最後の瞬間に「彼」は何を思ったのでしょう・・・。
終わりの見えない暗い回廊に迷い込み、出口はここしかなかったの
でしょうか・・・。
あれから2年と少し・・・。
心からご冥福をお祈りいたします。
看板

ここにはもう2度と来る事は無いでしょう・・・。
もう、あの悪夢は克服しました。
今後、廃墟でどんな恐怖に遭遇しても、きっと乗り越える事が
出来そうです。
でも、やっぱり遭遇しないに越した事は有りませんが・・・。

今回は、4回廃訪した、画像が入り混じっています。季節も冬から夏まで、有りますので、少し画像の説明文が変ですが、ご了承下さい。
また、この物件の情報や、文章への質問は受け付けません、ご想像にお任せいたします。                       管理者