海外で日本食や和食の人気が高まっている点についてはジェトロ(日本貿易振興機構)調査に基づく図録0209に掲げたが、ここでは、それに対応して増えている日本食レストランの地域別の展開について触れた。

 ここで「日本食レストラン」とは、海外で日本料理の看板を掲げ、料理を出しているレストランのことを指す。厳密な日本料理ではなく、海外の食文化と融合した広い意味での日本料理を提供している場合があり、日本食ブームに便乗して中国料理などからの看板の掛け替えなどにより、本来の日本料理とはかけ離れたものを出している店も含まれるという(東京新聞大図解「海外へ広がる日本食」2016年1月2日)。

 日本食レストランはアジアに約半分の4.5万店、これに続いて、北米に2.5万店、欧州に1.1万店となっている。国別では、中国の2.3万店、米国の2.2万店が多く、これに、韓国、台湾が続いている。欧州では、フランスが3千店と最も多く、イタリア、スペイン、英国の3倍以上となっている。欧州ではフランスの日本食人気の高さがうかがわれる。

 日本食ブームの背景としては、和食が2013年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された点、世界中でブームの日本のアニメでカレーライスや弁当などの食事シーンから日本食に興味をもつ人が増えている点などが指摘されている。

 私の考えでは、肉食を忌避してきた長い日本の歴史から、日本人は食事が基本的に味気なかったので、だしの開発や寿司の持続的革新などいろいろと独自な工夫を積み重ねながら肉食以外の要素でおいしさを追求してきたが、こうした蓄積が、今になって、期せずして、肉によるうま味追求に飽きた文明の成熟や肥満に陥らないための世界的な健康ブーム、脱肉食嗜好に応えることになったため日本食ブームが起きたと捉えられる(図録0214参照、寿司の歴史は図録7762参照)。そして日本食は日本文化が独自に世界に貢献しうるひとつの重要要素に過ぎないと考えられる(図録9463参照)。

 国別で取り上げたのは中国、韓国、台湾、タイ、マレーシア、米国、カナダ、フランス、イタリア、スペイン、英国、メキシコ、ブラジル、オーストラリアである。

(2016年1月3日収録、図録0209から独立、1月4日補訂)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 食品・農林水産業
テーマ 料理
図録書籍 図書案内




既刊第1弾


既刊第2弾
アマゾン検索

 
(ここからの購入による紹介料を通じたサイト支援にご協力下さい)