主な食品について、家計調査の単位当たりの購入価格データと食品標準成分表のグラム当たりカロリーのデータから、グラム単価とカロリー単価を算出し、グラフにした。

 グラム単価は、同じ重さならどの食品が安価かを示し、お金をかけず満腹できる食品は何かが分かる。1グラム1円理論(コラム参照)では、100g100円以上の食品は高級食品、100円未満の食品は大衆食品ということになる。

 もっとも安い食品は、だいこんであり、100g13円である。キャベツ、バナナなども安い。ただし、これらはすでに水分を含んでいる食品なので、これから水を加えて茹でたり、炊いたり、焼いたりするスパゲッティ、米、小麦粉といった穀物の方が、実際上は、腹を満たすという点では、安上がりともいえる。穀物の中では小麦粉が100g当たりの価格は安い。砂糖も100g20円と値段が安い食品である。

 一方、グラム当たりの単価が高い食品については、牛肉が274円と最も高く、これに、魚(たい)、チーズ、豚肉と続いている。畜産物の中では、水分が大半を占める牛乳を除くと、卵が100g当たり27円と最も安い。

 畜産物の価格差については、次のように考えると分かりやすい。肉や卵1kg増やすのに必要な飼料の量を飼料要求率と呼ぶが、だいたいのところ、牛は10kg、豚は3kg、鶏(採卵鶏、ブロイラー)は2kg程度である。牛肉、豚肉、鶏肉の価格差は、この飼料要求率の違いが大きな要因となっているといえる。それでは鶏肉と卵の価格差は何故なのだろう。ブロイラーは牛豚と同様、育ったら肉にされる1回の過程であるのに対して、採卵鶏は1日に1個ずつ1年数ヶ月にわたり300〜400個の卵を産んでから廃鶏となる。つまり、雛からの生育期間のコストは卵1個ごとにはかからず、卵の生産は鶏肉生産よりはるかに効率的だからグラフ当たりの単価も卵の方がそれだけ安くなるのだといえる。卵が物価の優等生と言われる状況については図録4702参照。

 満腹にむすびつく「グラム当たり」というより、栄養的には「摂取カロリー当たり」が重要となる。このため、カロリー単価の方を見てみると、最も安い食品は、食用油、次に砂糖、それから小麦粉、スパゲッティ、米という順になる。油脂や砂糖の取りすぎが健康上問題となっているが、最も安い食品だから取りすぎになるともいえる。野菜はグラム単価は安いが、水分や繊維などを含まないカロリー成分との対比では、肉とそう変わりはない。

 肉類はグラム単価は高いが、カロリーも高いので、カロリー単価は、むしろ、魚介類の方が高い。また、トマトやぶどうといった青果物はカロリー単価は肉以上となっている。

 さらに栄養的には、カロリーだけでなく、たんぱく質や必須アミノ酸の含有量との対比も重要となる。これについては、図録0218参照。

【コラム】1グラム1円理論(1g1円理論)

 2010年に出版した「統計データはおもしろい! 」(技術評論社)ではこれについて以下のように解説した。

「1グラム1円理論というものがあり、個人的には、これを大いに参考にして買物をするなど、物の値段の評価基準にしています。

 1グラム1円理論とは、これより高ければ「高い」、これより安ければ「安い」とするものであり、食品にも、自動車など工業製品にも当てはめられる普遍的な絶対基準とするものです。クルマであると1車1トンぐらいなので100万円以上だと高級車となります。肉や魚でも、大雑把には、100グラム100円がひとつの判断基準です。肉でも鶏肉や挽肉は100円を下回ることが多いのですが、牛肉は言うに及ばず、国産豚肉やソーセージでも100円を大きく越えます。鶏肉以外で100円近くの値を付けた特売品は買いです。チーズでも100グラム100円を切った場合は、買うことにしていましたが、2008年の穀物高騰を境に攻防ラインは1.5円程度に上昇してしまいました。ちなみに究極の商品は1円玉です。これこそ1グラム1円理論を見事に体現しています。」

 なお、この理論に言及している図録は以下である。

 図録0410(肉・魚の価格(100グラム小売単価)の推移)
 図録4735(レアメタルの存在量と価格)
 図録5094(日本の通貨の重さとグラム単価)

(2011年8月8日収録、2016年4月22日肉卵価格差のコメント追加)


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