農水省によって実施されている食品ロス調査は、食品の食べ残しや廃棄の減少に向けた取組や食品循環資源の再生利用等の推進に資することを目的に、世帯と外食産業についてほぼ毎年調査が行われている。

 ここでは、世帯についての結果を掲げた。世帯員の外食は対象外であり、世帯食(家庭で食べる食事−買ってきた惣菜や弁当を含む)のみが対象となっている。また飲料も含んでいる(外食産業の食べ残しについては図録0326参照)。

 食品ロスには、いわゆる食べ残しの他、腐って捨てた部分(直接廃棄)や調理の際の可食部分までの除去(過剰除去)を含んでいる。過剰除去は「日本食品標準成分表」での廃棄率以上の除去を基準にしている。

 世帯食1人1日当たりの食品ロスは40.9グラムとなっているが、そのうち野菜類が19.5グラムと最も多く、果実類の7.3グラム、調理加工食品の4.2グラムが続いている。主食である米が中心の穀類は1.7グラムと少ない。

 重量ベースで食品使用量に占める食品ロスの構成比であるが、全体で3.7%となっており、食品種類では、野菜類が8.8%と最も率が高く、野菜類の8.6%、魚介類の5.8%がこれに続いている。穀類は1.3%と食品ロス率が小さい。

 食べ残し率だけ見てみると、全体で1.0%とそう多くはない。むしろ過剰除去が2.0%と多い。

 食べ残し率が最も高い食品は、魚介類の2.9%であり、野菜の1.3%がこれに続いている。

 年次推移をみると、全体の食品ロス率は年々低下傾向にある。2000年の7.7%が2009年度には3.7%へとかなり下がっている。久しぶりに2014年度に行われた調査結果も同じ3.7%だった。食べ残しの減少が大きく、2000年から2.9%から1.0%へと約3分の1となっている。意識啓発が進んでいる結果とみられる。過剰除去の方は余り進んでいない。これは、高齢化の影響もあると考えられる。この10年はほとんど変化がない。

 食事管理者(調理を行う人)の年齢別に見ると、食べ残し率は、ほとんど違いがないが、直接廃棄や過剰除去では、年齢層の高いほど比率が高くなっている。高齢者では、食べ残しはしないが、食べきれずに捨てる分は、むしろ、多いのだと考えられる(すぐ平らげられず冷蔵庫に入れておいて消費期限を越してしまって捨てるとか、固い部分や脂っこい部分を調理に使わず捨てるとか)。従って、全体としても、食べ盛りの子供がいる30代〜40代の世帯に比べて、60代以上は1%ポイント程度食品ロス率が高い。「もったいない」ことをしているのは、むしろ「もったいない」精神の高い高齢者である点は皮肉である。

 もっとも下表に年齢別の食品ロス率の推移を示したが、2006年にかけて、子供がいる30代〜40代の世帯に比べて高齢世代のロス率の減少幅は大きくなっており、努力の跡がうかがわれる。スーパー等で高齢者が食べきれる量に小分けした食品の販売が普及している要因もあろう。もっとも2006年以降では50歳代では縮小傾向だが、60歳以上ではやや上昇傾向である。29歳以下についてもロス率は一時期低下していたたが、最近は再度上昇している。

食事管理者の年齢階層別食品ロス率の推移(%)
(年度) 2004 2005 2006 2007 2009 2014
29歳以下 4.8 3.7 3.2 3.8 3.3 4.2
30〜39  3.8 3.5 3.3 3.6 3.3 3.5
40〜49  3.5 3.4 3.3 3.2 3.2 3.2
50〜59  4.8 4.6 4.4 4.2 3.9 3.5
60歳以上 4.6 4.6 4.0 4.1 4.2 4.4

 最後に、地域別の食品ロス率を見ておく(サンプル数が減った2014年度は集計なし)。サンプル数が少ないので必ずしも確定的なことはいえないが、九州で食品ロス率が最も高く、東北、中国四国がこれに次いでおり、大都市圏を抱える関東、東海、近畿では概して低い。すなわち各地域の高齢化の程度に影響されていると考えられる。九州の食品ロス率の高さが目立っているが、内訳を見ると、「食べ残し」や「過剰除去」はそれほど高くなく、もっぱら賞味期限切れなどで捨てる「直接廃棄」が多くなっている。沖縄はサンプルが12と他と比べても少ないが、食品ロス率が目立って小さく、内訳も全般にわたっており、「もったいない」意識が高いように見える。


(2007年4月24日収録、2009年1月15日更新、10月21日コメント追加、2010年10月4日更新、2011年4月13日地域別結果を追加、2015年12月13日更新)


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