NHKの放送文化研究所では2007年に全国300地点、16歳以上の国民3,600人を対象に今の日本人が好きだと感じているものの調査を行っている(有効回答率66.5%)。

 ここでは、日本人の好きな野菜についてランキングをかかげた。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。摂取量や購入数量・支出金額の多い野菜のランキングについては図録0221参照。

 好きな野菜ベスト20はランクの高い順位に、キャベツ、たまねぎ、大根、ネギ、白菜、じゃがいも、ほうれんそう、トマト、なす、枝豆、きゅうり、レタス、生しいたけ、さつまいも、もやし、とうもろこし、山芋、かぼちゃ、ブロッコリ、たけのこである。

 基本的な野菜が上位となっている。野菜の農業粗生産額と比べると(図録0420)、粗生産額の大きなトマト、きゅうり、なすといった果菜類については、好きかどうかではそう上位にはない。

 男女年齢別のランキングをみると、まず、10位までの野菜の全体的な回答率水準の高低において、男女とも若年層より高年層で回答率水準が高く、また男性より女性で回答率水準が高く、つまり「野菜好き」であるの目立つ(実際に女性の方が野菜摂取量が多い点については図録0224参照)。

 次に各層の第1位の野菜と第10位の野菜の回答率の差を比べると、男性は年齢によりあまり違いがなく10〜12%ポイント差、女性の場合は、若年層は16%ポイント差に対して中年層、高年層は6%ポイントと差が小さいのが分かる。女性の場合、若い頃は好き嫌いがハッキリしているのに対し、中高年は、まんべんなく野菜を好んでいるといえよう。(若い女性と中高年の女性の食への姿勢の違いは図録0322でも明確である。)

 若い女性は第1位に「さつまいも」、第2位に「じゃがいも」をあげており、第5位に他の層ではあまり顔を出さない「かぼちゃ」が入っていることも含め、ホクホクしたあまい野菜への嗜好性を見て取ることができる。特に「さつまいも」は他の性・年齢層では10位までにいっさい入っていないだけに女性若年層で第1位なのが目立っている。

 逆に若い女性の10位までには「ネギ」が登場しない。男性の場合は若年層、高年層で2位、中年層で3位と非常に好まれているのと対照的である。ネギ独特のにおいが嫌われるのであろう。

 女性の中高年のまんべんない野菜好みは、子どもや家族のため料理を作る役割にも影響されている可能性がある。

 この他、年齢による違いとしては、レタスが若い層にのみ見られ、トマト、なすが若い層にないこと、女性中年層にのみブロッコリがあり、男性高年層にのみきゅうりがあるなどの特徴がある。

 もっとも世代別の野菜の好みの差はお菓子・デザートと比べるとそう大きくはない(図録0335参照)。

【コラム】いちごは野菜か、果物か

 消費する立場からは「生で食べるのが果物、油炒めなど料理をして食べるのは野菜」、「食後のデザートとして食べるのは果物、副食は野菜」なので、いちごは野菜ではない。この図録で取り上げた「好きな野菜」にも含まれていない。実は同じNHKの調査では日本人の好きな果物のトップがいちごである(図録0334a)。流通統計や消費統計ではいちごは果物なのである。

 しかし、「木に成るものは果物、苗を植えてから1年以内に収穫するのが野菜」とするといちごは野菜である。実際、生産者の立場から作成される生産統計では野菜に分類されている。メロンやスイカもいちごと同様である。

 さつまいもやじゃがいもは生産統計ではいも類ですが流通統計では野菜である。

 いちごは野菜なのに果物的な産品である訳だが、逆に、果物なのに野菜的な産品がないかさがしてみると「森のバター」と呼ばれるアボガド(アボカド)がある。最近消費量が増えているアボガドは、生産統計、流通統計、貿易統計のいづれも果物に分類されているが、甘味を含まないため味がフルーツとは言い難く、また消費パターンも、デザートというよりサラダの一品目として使われる場合が多いため、果物というよりはむしろ野菜である。

(2007年1月18日収録、2010年11月22日ネギのコメント追加、2012年8月1日コラム追加)


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