よく知られている毒物の致死量を図に示した。少ないほど毒性が強いことは言うまでもない。致死量は対数であらわしているので、毒物ごとの実際の差はもっと大きい点に注意が必要である。

 以下のコメントは齋藤勝裕「料理の科学」(2017年)を参照した。

 最強とそれに次ぐ毒物は、いずれも細菌の出す毒である。

 最強のボツリヌストキシンは、真空パック辛子蓮根による集団食中毒事件(11名死亡、1984年)で知られるボツリヌス菌が出す毒である(食中毒事件については図録1964参照)。

 トウゴマは花が美しいので生け花に使われ、種子からは胃腸薬や機械油として使われるヒマシ油が絞られる。しかし、ヒマシ油の絞りかすには猛毒のリシンが含まれている。

 毒物には熱に強く、無毒化が困難な普通の化学物質である「低分子毒」と加熱や酸やアルコールに弱い「たんぱく毒」とがある。フグ毒やトリカブト毒は前者であるが、リシンは後者であるため、搾油の前に種子が十分焙煎されていれば毒性は失っているので安心だといえる。

 フグには種類により毒フグと無毒フグがいる。フグの毒は、自分で合成するのではなく藻類が生成したものを体内に取り入れることによるものなので、有毒のエサを食べる機会のない養殖フグは無毒といわれている。ただし、「養殖フグと天然フグを同じ水槽に入れておくと、養殖フグに毒が移るともいわれます。天然フグは体内に毒を作る微生物を持っており、それが養殖フグに移るという説もあります」(同上)。

 以上のような微生物やトウゴマ、フグの毒の方が、化学兵器として合成され、オウム真理教により地下鉄サリン事件(1995年)などで使われたサリン、あるいは、2017年に北朝鮮の金正男暗殺に使用されたVXよりも猛毒だというのは驚きである。

 また、タバコに含まれるニコチンが直接摂取すると青酸カリと同じ程度の毒性を示すことも意外である。

 取り上げた毒は、強い順に、ボツリヌストキシン、破傷風トキシン(テタヌストキシン)、リシン、パリトキシン、テトロドトキシン(TTX)、VX、アコニチン、サリン、ニコチン、青酸カリウム(正式名シアン化カリウム、KCN)である。

(2017年10月24日収録)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 食品・農林水産業
テーマ  
図録書籍 図書案内




既刊第1弾


既刊第2弾
アマゾン検索

 
(ここからの購入による紹介料を通じたサイト支援にご協力下さい)