OECDのDAC(開発援助委員会)では、途上国援助を先進国全体で充実させるため、各国の政府開発援助(いわゆるODA)の額をとりまとめて公表している。援助対象国とODAの定義を共通化させ、各国から援助実績を報告させて集計しているので、厳密な意味でのODAあるいは途上国援助を国際比較・各国比較することができる。

 先進国のODAは1980年代前半までは米国が圧倒的にリードしていたが、80年代後半からかつての被援助国日本が援助国へと華麗な変身を遂げ、90年代にはいると冷戦後の国際政治の環境変化、すなわち対共産圏対策をにらんだ援助競争の終焉、及び欧米各国の高齢化などに伴う財政難の中で、米国、あるいは欧州各国の援助実績が落ち込み、日本が世界一の援助国として台頭した。

 日本は1993年から2000年までの8年間ODAトップの座を保っていた。外務省は91年から連続10年世界一(トップ・ドナー)とODA白書などで胸を張っていたが、これは速報値に基づくものであり、確定値によれば93年以降が正しい。なお、日本の高い位置には為替レートの影響も見逃せない。

 近年は、米国が再度ODAを回復させ、欧州主要国も援助を拡大している一方、日本は厳しい財政難を背景にODAを抑制しており、欧米に大きく水をあけられる格好となっているが欧州諸国も欧州債務危機の影響で日本と同様の傾向があらわれている。

 日本の援助額は前年比11.1%増の117億8600万ドル(約1兆1500億円)。ミャンマーの民主化支援で、返済が滞った円借款の金利など同国向け債権を放棄し、また、二カ国間の有償資金協力を増やしたことから、3年ぶりにプラスに転じ、順位的にもフランスを越えて4位となった。国連は15年までに世界の貧困人口を半減させるための目安としてODAのGNI比を0.7%に引き上げるよう勧告している。英国は27.8%増で、ODAの国民総所得(GNI)比0.7%を初めて上回った。同水準を上回ったのはこのほか、ノルウェーやスウェーデンなど5カ国。DAC加盟国平均は0.3%だった。

(昨年以前の速報値による毎年の動向コメント)

<2012年>

 2012年の日本の純ODAは実質で2.1%減の105億ドルで、GNI比0.17%だった。欧州債務危機の影響も欧州諸国に認められる。イタリアやスペインは一時期ODAに積極的に取り組んだ時期もあったが、近年の財政状況はそれを許さない状況にあると思われる。韓国は2015年までに対GDI比を0.25%へと引き上げようと2012年に17.6%の増となっている。

<2011年>

 2011年の日本の純ODAは実質で10.8%減の106億ドルで、GNI比0.18%だった。2010年の急増の反動の面もある。二国間贈与の拡大でドイツが世界2位となった。

<2010年>

 2010年の日本の純ODAは実質で11.8%増の110億ドルで、GNI比0.20%だった。日本のODAの増加は2国間贈与拡大と世銀への拠出による。英国が援助プログラムの持続的拡大によって米国に次ぐ世界第2位の援助国となった。

<2009年>

 2009年の日本の純ODAは実質で10.7%減の95億ドルで、GNI比0.18%だった。日本の純ODAの減少は主に、特にイラク向けの債務救済が2008年に比 べ減少したことによるものである。しかし、日本の2009年の国際金融機関への拠出金は大幅に増加した。

 米国はなお1位であるが、フランスの伸び(二国間融資と国際機関への拠出金の増加による)とドイツの減少(債務救済の減少幅が二国間援助の増加幅を大きく上回ったことによる)ため、フランスが第2位となった。

 なお、韓国が2010年からDACへ参加した。すなわち被援助国から援助国となった。このため、2009年から韓国の値が発表に加わることとなった(なお額も小さい上にGNI比も0.1%と最低レベルだが)。

<2008年>

 日本の純ODAは94億ドルとなり、2年連続のマイナスから増加に転じたが順位は5位で変わらない。GNI比は2007年の0.17%から2008年には 0.18%へと上昇している。増加は主に国際金融機関への拠出金の増加によるものである。日本のODAは2000年以降、減少傾向をたどっていた(多額の債務救済によりODAがピークに達した2005年と2006年を除く)が、2008年はこれが反転した格好となっている。

<2007年>

 2007年は前2年間の各年1,000億ドルを越えるイラク及びナイジェリア向け大規模債務救済措置が終了したため、全体にODAが減少した。

 日本のODA(純額)は77億ドルで対GNI比0.17%となった。これは前2年の多額な債務救済の減少、国際金融機関への拠出金の減少などによる。ODA予算の規模自体を傾向的に減少させている側面が強い(05〜06年を除いても減少傾向)。

 この結果、日本のODA規模は前年3位から、ドイツ、フランスに抜かれて第5位に転落した。これは1972年以来の低位である。

<2006年>

 2006年は、イラクとナイジェリアへの債務救済、インド洋津波被害救済が減ったため、全体として減少となった。

 日本のODA(純額)は116億ドルで、GNI比0.25%となった。これは主に、2005年にインド洋の津波被害に対する人道援助やイラク向け債務救済など極めて多額の支出を行ったことによるものである。2006年のODA総額には国際金融機関への日本の拠出金の増額が含まれている。2006年に目立っている点は、1983年に世界第2位になってから26年ぶりに第3位以下となったことである。

<2005>

 2005年は、主要援助国である米国、日本、英国、ドイツ、フランス、イタリアがすべて援助額を増加させた。このため援助総額は初めて1千億ドルを超えた。増額の主要な要因は、イラクとナイジェリアへの債務救済、インド洋津波被害救済だった(津波被害救済については図録0920参照)。

 米国のODA増加の主な要因はイラクへの復興支援(合計35億ドル)とアフガニスタンにおける復興と麻薬撲滅プログラム(15億ドル)、さらにサハラ以南のアフリカ諸国への援助(41億ドル)が挙げられる。

 日本のODAも131億ドルと42億ドルの増額となっているが、その中には約32億ドルあまりのイラク支援が含まれている。日本は津波被害国に対しても5億4千万ドルを超える援助を行った。

<2004年>

 2004年は、米国、フランス、ドイツ、英国といった主要援助国がいずれもODA額を増加させる傾向の中、日本だけが、連続してODA額を減少させてるため、ひときわ目立つ形となっていた。特に、日本の国連安保理常任理事国入りに向け、他の先進国並みのODA増額が求められており、この点が問題となった。

(2005年4月12日更新、2006年4月18日更新、2007年4月6日更新、2008年4月5日更新・順位図追加、2009年4月2日更新、2010年4月30日更新、2011年4月14日更新、2012年4月8日更新、2013年4月4日更新、2014年4月12日更新)


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