途上国、特にサハラ以南のアフリカでは、水運びや薪集めに多くの時間を費やしている。男女別には女性にかかる負担が特に多くなっている。

 グラフには、水運びと薪集めに要している時間(行為者平均ではなく人口1人当たり平均)を男女別に途上国8カ国について示した。

 水の収集については、取水ばかりでなく、水を自宅に運ぶ時間が長い。家族全員の需要を満たすためには1回運ぶだけでは足りない場合も多い。図に見るように水運びの負担は主に女性にかかっている。ベニンでは男平均12分に対して女平均45分、マラウィでは男平均6分に対して女平均54分となっている。「パキスタンや南アのように水運びに必要な労力が比較的少なくて済む地域ではジェンダー・ギャップも小さい」(UN2010)

 途上国では、料理や暖房のために薪集めがなお必要な地域が多く、水運びと並んで、薪集めに要する時間も馬鹿にならない。森林が減少している地域では、薪集めに要する時間も長くなっている。「例えば、ウガンダでは、森林破壊の結果、女性や子どもが出掛けることが多い薪集めの平均距離は、1992年から2000年にかけて、全国平均で0.06qから0.9qに増加した。」(UN2010)

 薪集めに関しても、ベニン、マラウィ、ラオスのように水運びと同じように、女性に大きな負担がかかっている場合が多いが、マダガスカル、ニカラグアのように、水運びとは異なり、男性の負担が女性より大きい場合もある。自家用ではなく販売用の活動は男性が行うことが多く、この場合もそれが影響している可能性もある(調査では目的を調べていないので確証はないが)。

 こうした活動の所要時間は、都市と農村でかなり異なっている。水運びについて、アフリカ途上国4カ国の農村部と都市部の比較を以下に示した。


 これは、UNDP(国連開発計画)の人間開発報告書のデータにもとづいている。人間開発報告書〈2006年〉のテーマは、「水」である。上水道が整備されていない途上国においては、安全な水を調達する活動には家庭生活レベルで多くの時間を要している。上図は、ベニン、ガーナ、ギニア、マダガスカルというアフリカの4カ国の調査結果から、男女別、また都市と農村の別に、水調達に要した時間をグラフにしたものである。

 いずれの国においても、女性の水運び時間は男性に比して大きいが特に農村部において開きが大きい。「ベニンの農村部では6〜14歳の少女が平均1日1時間をかけて水を運んでいる。男兄弟は25分であるのに対して長い。」(UNDP2006)病気の子供の世話をしなければならない母親、あるいは学校に行って技能を身につけるべき少女にとって、こうした水運びの家事労働が大きな制約となっている点をUNDP(2006)は強調している。安全な水へのアクセス問題の解決は、女性の社会参加や教育向上を通して、経済発展や人間開発につながる重要な課題である点が指摘されているのである。

 この図録で取り上げている国は、サハラ以南アフリカではベニン、ガーナ、ギニア、マダガスカル、マラウィ、南ア、アジアではラオス、パキスタン、中米ではニカラグアの合計9カ国である。

*参考文献

・UN(2010), The World's Women 2010
・UNDP(2006)「人間開発報告書2006」

(2006年11月29日収録、2011年7月29日図録タイトル変更、旧図録名「水運びにかかる時間(アフリカ途上国4カ国)」、アフリカ都市農村比較をサブの図にして再構成)


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