出生率を回復させた国々における出生率回復の要因のひとつとして、結婚しないまま子供を産むことが社会的に認知されている点があげられることが多い。

 そこでここでは、各国における結婚していない母(未婚の母、離別・死別後再婚していない母)からの出生(婚外子・非嫡出子)の割合を掲げた。

 対象国は、12カ国、非嫡出子割合の高い順にスウェーデン、フランス、デンマーク、英国、米国、オランダ、アイルランド、ドイツ、スペイン、カナダ、イタリア、日本である。

 一目瞭然、目立っているのは日本の婚外子割合の低さである。日本と欧米の文化の差を感じさせる図録であるが、欧米とアジアとの差なのか、特殊日本的な特徴なのかは、この図だけでは分からない。

 欧米の中では、スウェーデンが2005年に55.4%と5割以上であるのが目立っており、次ぎにフランス、デンマークが48.4%、45.7%で続いている。北欧のスウェーデンやデンマークは1980年でも3割を越えており、かなり前から高かった。

 欧米の中でもスペイン、イタリアといった典型的なカソリック国では相対的に婚外子の割合が低い。またフランスやアイルランドといったその他のカソリック国、あるいはオランダ、英国といった国も1980年段階では低かったが、その後は、大きく上昇しているのが目立っている。

 欧米で婚外子割合が高い要因としては、結婚に伴う法的保護や社会的信用が結婚していなくとも与えられているという側面と若者が未婚でも後先考えずに子どもを生めば後は何とかなる(国、社会が何とかする)という側面の両面があると考えられる。出生率回復に寄与しているのは主として後者の側面であろう。

 自由を求める人間精神はついに結婚制度を変容ないし瓦解せしめているともいえる。

 新聞各紙によると、2005年4月13日、東京地裁は、両親の法的な結婚を子供の日本国籍の条件とした国籍法の規定(3条1項)は憲法14条1項(法の下での平等)違反であるとし、結婚していない日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた男児に、父母の内縁関係を前提としてであるが、日本国籍を認めた。今回、同じ父母からの兄弟で、出生前の父の認知と出生後の認知とで区別があるのは不当として争われていたもの。引用される識者の発言はおおむね判決妥当としている。こうした判決を見ると、日本でも段々と婚外子を社会的に認知していく方向を辿っていると考えられる。

 出生率上昇が注目されているフランスでついに婚外子比率が50%を越えたことが報道され、この図録も引用された。2008年1月19日毎日新聞はこう伝えている。

「フランスで2006年に生まれた子供のうち、両親が正式な結婚を していない婚外子の割合が初めて半数を超えたことが分かった。仏国立統計経済研究所が18日までに発表した。正式な結婚にとらわれないフランス人の考えが反映され た形だ。

 同研究所によると、婚外子の割合は65年には5.9%に過ぎなかったが、次第に増え続け、06年には50.5%(05年は48.4%)と正式な結婚による子供の数を上回った。07年の結婚件数は26万6500件で前年より約1600件減った。

 フランスでは99年、事実婚や同性愛のカップルに対し、税控除や社会保障などについて、結婚に準じる権利を付与するパクス(連帯市民協約)法が制定され、結婚や家族の考えが大きく変わった。「パクス婚」と呼ばれ、「合意でなくとも片方の意思 だけで解消できる」点で結婚より緩やかな形。カトリックの影響で離婚が難しかったことへの反動ともみられる。社会学者のイレーヌ・テリー氏は「家族を形作るのは結婚ではなく子供になりつつある」としている。

 一方、フランスの昨年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の数)は 1.98で、アイルランドの1.90を上回り、欧州連合(EU)で最高となった。 EU平均は1.52だった。

 フランスの合計特殊出生率は93年に1.66まで落ち込んだ後、上昇に転じた。3歳児から公立保育園に入れるなど出産・育児への行政支援が手厚く、子供の数に応 じた税の優遇措置も上昇に寄与したとされる。初産の平均年齢は29.8歳と、年々上昇している。」

 結婚していない母から生まれた子供であっても、父母が同居していたり、出産後同居あるいは結婚すれば、一人親世帯(母子・父子世帯))の子供とはならない。婚外子割合よりは低い割合であるが、一人親世帯の子供の比率も各国で上昇している点については図録1530参照。

(2005年4月7日収録、2008年1月21日更新、及びフランスの婚外子半数越えコメント追加) 

関連図録
1518 婚外子(非嫡出子)割合の推移
1530 母子・父子世帯比率の国際比較
1550 合計特殊出生率の推移(日本と諸外国)
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