先進国の中でも日本の平均寿命は高くなっている。WHO(国際保健機関)が発表したが日本は世界一の長寿国であり、また健康寿命でも世界一(4年連続)である(03年12月現在、図録1620参照)。米国は日本より豊かな消費生活を送っているが健康寿命は5〜6年短く、余り長く人生を楽しめない。

 図録で平均寿命の伸びを米国と比較すると、衛生環境の改善で戦後急速に伸びた点と、その後も順調に平均寿命は伸長し、国民皆保険を実現した1960年代に米国と逆転したのが目立っている。

 1人当たりGDP世界最高水準の国であるにもかかわらず米国の平均寿命は短いが、特に黒人男性の平均寿命は21世紀に入っても60歳代と低く(2008年にやっと70歳を越えた)、医療保険の問題が背後にあるのではないかと考えられる(図録1700参照)。

 1999年3月13日NHK教育放送放映のインタービューで、アマーティア・セン教授は、1人当たりGDPの最も高い米国で医療保険を受けられずに平均寿命の低くなっている大きな集団が国内に存在するのを放置していることは「恥ずべきこと」と指摘している。

 黒人と白人との格差については1980年代後半から縮小傾向が頓挫していたが最近は再び格差は縮小している模様である。

 米国の人種・民族は多様である。参考のため、下図に人種・民族別の平均寿命を示した。非ヒスパニック系の白人は、ほぼ米国平均であるのに対して、黒人は短く(特に男が短く)、ヒスパニック系は、逆に、寿命が長いという特徴が見て取れる。


 黒人の平均寿命が相対的に短いことについて見て来たが、最近は、2016年の米国大統領選をめぐって、むしろ、白人の中高年の死亡率が平均寿命の伸びの足を引っ張っている可能性が注目されている。


 この図を掲載した毎日新聞(2016年12月15日)は、インタビューを行ったフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏による以下のような発言を報じている。「トランプ氏が勝利する可能性はあると考えてきたが、その「兆候」が米国での45〜54歳の白人死亡率の上昇だ。医療の発達や生活レベルの向上で低下傾向にある先進国の死亡率だが、米国の白人は1998年以降、上昇に転じているとの研究データがある。死因は自殺やアルコール中毒が目立っていた。不安や苦しみを多くの人々が味わっていたことを意味しており、有権者の約70%を占める白人層は、大きな変化を受け入れる準備ができていたのだ。(中略)トランプ氏が勝ったのは「真実」を語ったからだ。米国が機能不全に陥っていると指摘し、産業の衰退に苦しむ労働者階級の多い(民主党地盤の)ペンシルベニア州を含む東部から中西部のラストベルト(さびついた工業地帯)で勝利した。(中略)トランプ氏の勝利は、経済のグローバル化の流れを作った米国が、グローバリズムに耐えられなくなったことを意味する。世界にとって転換点となるだろう」。

 米国において地域別の平均寿命の格差が大きい点については図録1710参照。

(2012年6月6日更新2008年実績まで、2015年2月9日更新、米国の人種・民族別の平均寿命の図を追加、2016年12月15日米国白人中高年の死亡率上昇図)


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