医師不足、看護婦不足や医師・看護師の過労が問題となっている。地域的な偏在、診療科目による差の問題もあるので全国レベルの国際比較には一定の限界があるが、ここではおおまかなレベルを見るため、OECD諸国の人口千人当たりの医師数と看護師数(臨床ほか医療関係に従事している者)を掲げた。

 医師数では、日本は2.3人と対象国34カ国中下から6番目であり、少ない国の部類に属している。英米でも2.6〜2.8人、ヨーロッパ先進国は3.0〜4.0人前後であるのと比較すると如何に少ないかが分かる。

 なお、債務危機から話題のギリシャは医師数密度がOECDトップである。医師を過剰に育成したのかもしれない。ただし、看護師数は医師のはく半分と非常に少ないので、高度な技術をもつ看護師に医師資格を付与しているのかも知れない。

 日本の臨床従事医師数は、厚生労働省の調査によると、2012年に30.3万人である。柳田国男は1931年の著作でこう言っている。「最近の医師の数は6万人が少し欠けているくらいで、全国に割り当てると300家庭にほぼ1人、このくらいあったらもうよかろうとの説もあるが、それは日本を平均した場合の話で、土地ごとには決して必要なだけ行き渡っておらぬ」(柳田国男「明治大正史 世相篇 」中公クラッシックス、p.362)。1931年の日本の人口は6,500万人とほぼ現在の半分なので、人口当たりの医師数は当時と比べ2倍以上となっており、しかも、当時も重大な関心事であった地域格差は。世界的にも見ても日本は小さくなっており、当時からは大きく縮小していると思われる(図録1931参照)。

 看護師数では、日本は10.5人であり、34カ国中11位であり、ほぼ中位のレベルとなっている。

 日本はすでに高齢化率で先進国中最高となっており(図録1157)、医師や看護師のサービス対象者も多くなっていることも考え合わせると、医師、看護師数のレベルは他国と比較して、やはり、少ないと判断せざるを得ない。

 高齢化の割に少ない医療費の理由のひとつもここにあると考えられる(図録1900参照)。

 2015年公表分からパートナー諸国のデータを付加した。ロシア、旧ソ連圏では医師、看護師数は欧州並であるが、南米、中国は医師数2人弱、インド、インドネシアでは医師数1人以下と先進国と比べかなり少ないのが目立っている。看護師数も同様である。

 対象国はOECD諸国34カ国とパートナー諸国9カ国であり、前者の内訳は人口当たりの医師数の多い順に、ギリシャ、オーストリア、ノルウェー、ポルトガル、ドイツ、スイス、スウェーデン、イタリア、スペイン、チェコ、デンマーク、アイスランド、イスラエル、オーストラリア、スロバキア、フランス、オランダ、エストニア、ハンガリー、フィンランド、ベルギー、ルクセンブルク、ニュージーランド、英国、アイルランド、スロベニア、米国、カナダ、日本、ポーランド、韓国、メキシコ、チリ、トルコ、後者の内訳はロシア、リトアニア、ラトビア、ブラジル、コロンビア、中国、南アフリカ、インド、インドネシアである。

(2007年7月20日収録、2008年10月6日更新、2009年7月15日更新、2011年7月14日更新、2012年6月29日更新、2013年6月30日更新、2014年11月10日更新、11月17日柳田国男引用、2015年7月12日更新、パートナー諸国追加)



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