医師不足問題と関連して、医師の診療科目ごと、及び地域ごとの偏在が問題となっている。そこで、ここでは、医師数の地域格差(偏在)の程度を国際比較したOECD作成のグラフを掲げた。

 地域分析のためにOECDは構成各国の地域単位を大きな括りのレベル2、及び、より小単位のレベル3に区分けしている。主要国の地域レベルを以下に例示する。医師数格差はこのうちレベル2で取りまとめられている。

OECD地域レベル(例)
   地域数  具体例 
レベル2
(TL2)
レベル3
(TL3)
レベル2
(TL2)
レベル3
(TL3)
ドイツ 16州 97空間計画地域 バイエルン ミュンヘン、レーゲンスブルク、アウグスブルク等
フランス 22レジオン 96県 イル・ド・フランス パリ、セーヌ・エ・マルヌ県、イヴリーヌ県等
米国 51州 179経済地区 カルフォルニア Los Angeles-Long Beach-Riverside、San Jose-San Francisco-Oakland、San Diego-Carlsbad-San Marcos等
韓国 7地方 16(9道、6広域市、1特別市) 全羅道地方 光州市、全羅北道、全羅南道
日本 10地方ブロック 47都道府県 東北 青森、岩手、秋田等
(注)同一レベルの面積、人口の規模はなるべく揃えるように配慮されている。ルクセンブルクでは両レベルとも1地域、アイスランドはレベル2は2地域、レベル3は8地域と少なくなっている。ただし、当該国でふだん使われている地域区分であるかどうかも重要なので必ずしも規模基準が総ての国を通じて揃っているわけではない。

 結果のグラフを見ると、特定の地域(首都圏地域)において医師数の密度が格段に高い国が多いことがわかる。また、スペインのように図抜けた1地域はないが全体に地域格差が大きい国もある。米国では両方の側面の格差がある。

 日本の場合、医師数密度のレベルが全体に低いのは確かであるが(図録1930参照)、地域格差については小さいことが図から読みとれる。

 もちろんこの結果は日本のレベル2地域が都道府県ではなく10地域ブロックである点も影響している。東京の高い医師数密度は埼玉など人口が急増した東京周辺の低い医師数密度に打ち消され、トータル的には関東は必ずしも全国的に医師数が多い訳ではないという結果になっているのである。また地域ブロック別の医師数密度は西高東低の傾向があり、過疎地を多く抱える四国の医師数密度が最も高くなっている(下表に日本の地域別数値を示す)。

人口1000人当たり医師数(2004年)
北海道 2.16 近 畿 2.33
東 北 1.88 中 国 2.48
関 東 1.94 四 国 2.55
北 陸 2.10 九 州 2.50
東 海 1.82 沖 縄 2.06
(資料)OECD Health at a Glance 2009

 なお、参考までに図には日本については、レベル3(都道府県)の人口千人当たり医師数を同時に掲げた。こちらの方がややばらつきは大きい。しかしこちらだとしてもやはり地域格差は世界の中で大きい部類とはならない。

 このように日本の医師数の地域偏在は全国レベルでは他国と比較してほとんど問題にならないレベルであることが分かる。地域偏在の問題があるとすれば、地域内の中心都市と周辺の中山間地等との間であろう。

 各国では、医師の偏在に対して種々の対策を講じている。「カナダでは、例えば、外国人医師が農村地域や僻地において平均20%を占めている。農村部出身あるいは農村部従事の医療専門家の養成に対するインセンティブも制度化されている。トルコでは、最もニーズの大きな地域に医療スタッフを送り込むことが課題となる中、医師数密度の低い地域にかなり多くの保健スタッフを新たに最近割り当てることとした。」(OECD Health at a Glance 2009)

 ここで医師数の地域格差を取り上げた国は28カ国であり、具体的には、地域格差の小さい順にニュージーランド、韓国、日本、ポーランド、英国、スロベニア、オランダ、スウェーデン、フランス、カナダ、メキシコ、デンマーク、ドイツ、スイス、ノルウェー、オーストラリア、ベルギー、スペイン、ハンガリー、トルコ、ギリシャ、オーストリア、ポルトガル、スロバキア、チェコ、イタリア、ロシア、米国である。

 最後に、参考までに、更新前の2005年データに基づく図を掲げておく。こちらだと最大密度地域に首都が多い点が明確である。


(2010年1月15日収録、6月28日コメント追加、2011年10月13日更新、10月21日日本レベル3追加)


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