OECDでは、先進国においても、保健医療の中で、予防医療・公衆衛生にもっと努力を払うべきだとしている(図録1950参照)。喫煙による健康被害防止や肥満予防などとともに、代表例の1つとしてあげられるのがインフルエンザ・ワクチン接種である。

 OECD Health at a Glance 2005によれば、インフルエンザに罹患する者は毎年非常に多く(米国で5〜20%)、特に高齢者の場合は合併症を伴って重篤化する場合も多い。またインフレエンザによって失われる雇用時間も馬鹿にならない程度となっており(ヨーロッパでは病欠の約10%を占める)、生産性低下のコストがフランスやドイツでは93〜141億ドルにも達すると見積もられている。

 このためインフルエンザの予防接種、特に高齢者に対する接種が望まれている。

 図にはインフルエンザ・ワクチン接種率を低い国から並べた。対象国は1999年前後のデータも得られるOECD26カ国であり、具体的には、低い方からスロベニア、スロバキア、チェコ、オーストリア、ハンガリー、フィンランド、ルクセンブルク、デンマーク、スイス、ポルトガル、日本、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、ドイツ、アイルランド、カナダ、米国、オランダ、ニュージーランド、オーストラリア、英国、チリ、韓国、メキシコである。

 2013年の日本のインフルエンザ・ワクチン接種率は50%とOECD諸国の中では平均並みである。また、2009年にも50%だったので接種率は上昇していない。

 チリの値が高いのは毎年行われる広範な予防接種キャンペーンへの参加によるものであり、メキシコの接種率が高いのは2009年新型インフルエンザ大流行と関連した集中的なワクチン接種によるものと考えられる。

 このように、「立法を伴うこともある国民啓発プログラムによって国民の行動に変化が生じうる。オランダでは、インフルエンザや風邪のワクチンへの意識を高め、ワクチンの安全性への心配を取り除くメディア・キャンペーンの結果、2003年には、高齢者の約8割がインフルエンザに対する免疫を得ている。」(OECD Health at a Glance 2005)

 こうして、2000年代に多くの国で接種率が上昇し、OECD平均(23カ国ベース)では1999年から2009年にかけて45.8%から56.3%へと10%ポイントの上昇となっていた。

 しかし、近年では、上昇する国もあり下降する国もあって、全体的には横ばいに転じている。OECD平均(26カ国ベース)では2003年の53.9%から2013年の52.7%へと若干下がっている。

(2006年5月13日データ更新、2012年7月3日更新、2015年11月8日更新)


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