日本においては介護労働者(介護職従事者)の待遇の悪さと人数不足が大きな社会問題となっている。日本の介護労働者が多いのか少ないのかを65歳以上人口に占める割合のOECD諸国比較で見てみよう。介護労働者の人数自体が増加している点については図録3500参照。

 なお、介護労働者の定義はそう簡単ではないし、国により制度が様々なので厳密な比較も難しい。この点については以下の「定義と注釈」を参照されたい。その上でデータを見てほしい。

定義と注釈(OECD Health at a glance 2015 による)

介護労働者(Long-term care workers)の定義は、資格のあるなしを問わず、家庭、あるいは施設(病院以外の)で介護を行う有償の労働者である。介護労働者には、要介護者、公共団体、公営・民間介護サービス会社のいずれかとの契約(ただし公認された契約)の下で雇われる家族構成員・友人を含まれる。ただし、行政機関で働く看護師は除く。人数は実際の頭数でありフルタイム換算人数ではない。イタリアのデータには半居住介護施設の労働者を除く。日本のデータにはダブルカウントあり(複数の家庭でサービスを行う労働者がいるため)。アイルランドのデータは公的セクターのみの数字。オーストラリアのデータは2011年全国高齢介護労働力センサス調査からの推計であり、実際の介護労働者人数より少ない。

 65歳以上の高齢者人口100人あたりで介護労働者の人数を比較すると、スウェーデンや米国は12人と最も多く、OECD14カ国の平均の約6人の2倍となっている。他方、ポルトガルやトルコでは1人以下と非常に少なくなっている。各国の介護労働者の人数はかなりばらつきが大きいといえる。

 日本は5.9人とOECDの平均程度であるが、重複カウントがあることを考慮するとなお少ないともいえる。

 在宅と施設の割合では、米国やアイルランド、ドイツなどでは施設介護の労働者が多くなっている。一方、イスラエルや日本などでは在宅介護の労働者が多数となっている。日本の施設介護の労働者は、1.4人とOECD諸国の中でも最も少ないレベルである。

 このデータを掲載しているOECDの報告書は、介護労働について以下のように述べている。「多くの介護労働者(LTC workers)は女性、かつパートタイマーである。カナダ、デンマーク、チェコ、アイルランド、韓国、ニュージーランド、スロバキア、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの介護労働者の90%以上は女性である。介護労働者に関しては、OECD諸国の中で割合は一律ではないが、移民労働者も重要な役割を果たしている。ドイツでは移民の介護労働者は非常に少ないが、米国の4分の1近くは外国生まれの労働者である。移民労働者の投入によって増大する介護需要にこたえることが可能であるが、海外からの流入拡大は、不法就労や税や社会保障の申告なしの雇用労働をめぐる問題を招くことになる。(中略)

 介護サービスへの需要拡大と家族の介護供与にますます頼ることができなくなりそうだという点から介護労働者需要はさらに増えそうである。拡大する需要にこたえるために必要な政策としては、供給改善(例えば、ますます多くの失業者に介護部門での訓練と雇用を促すことによる)、離職防止(例えば、給与と労働条件の改善による)、また、生産性向上(例えば、仕事のプロセスの再編や新しい技術の効果的な使用による)があげられる」(Health at a glance 2015、p.204)。

 図で対象としているのはOECD19カ国、具体的には、介護労働者の多い順にスウェーデン、米国、イスラエル、オランダ、デンマーク、スイス、オーストラリア、日本、エストニア、アイルランド、ドイツ、オーストリア、スペイン、韓国、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ポルトガル、トルコである。

(2015年11月30日収録)


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