保育・子育てに係るトータル費用は、保育所、家庭保育サービスなどの保育サービス料から、政府等からの児童手当などの諸手当、及び子育て中の世帯に対する税控除を差し引いた額と考えられる。これまで保育・就学前教育の公的支出(図録5123)、あるいは子育て中の世帯への税優遇(図録5130)が日本の場合諸外国と比べ少ないことを見てきたが、ここでは、OECDの計算例(OECD Family database PF12 Childcare support Chart PF12.2)によって、育て親の負担するトータル費用(純費用)ではどうかという国際比較のデータを図録として示した。

 計算はフルタイムの夫婦共稼ぎの給与収入を1人当たり平均賃金の167%として、それに占める2〜3歳児2人の子育て費用(典型的な保育施設に預けた場合)として示されている。なお保育手当は、保育所に預けることを前提としない児童手当も含めている。

 日本の子育て費用は20%と英国や米国よりは低いが、29カ国中8位と高い方であることが分かる。

 オーストラリア、ポルトガル、ベルギーは保育料は日本より高いが、税控除や保育手当がかなりあるので、トータル費用は日本より小さくなっている。

 米国やカナダは子育て世帯への税控除がかなりあるが、保育料がかなり高いので日本よりトータル費用も多くなっている。

 スウェーデン、フィンランドなどは保育手当や税控除はないが、保育施設、あるいは保育サービスへの公的支出によって安価な保育料となっているためトータル費用はかなり低い。

 この図からはもう1つ重要なことに気づかされる。すなわち、オーストラリア、ポルトガル、ベルギーなどでは、保育手当、あるいは税控除が非常に大きいが、その分、保育サービス料も高くなっている点である。あたかも国や社会からの支援を当て込んで保育サービス料金が高くなっているのではないかと想像させる。2009年総選挙で政権交代を果たした民主党は中学生までの子ども1人月額26,000円(初年度は半額)の「子ども手当」をマニフェストで打ち出し、実現を図ろうとしている。これが、そのまま保育料の上昇に結びつけば、家庭の負担は変わらなくなる懸念がなきにしもあらずということである。

 ここで比較対象となっているのはOECD諸国を中心に29カ国であり、具体的には、子育て費用の低い順にエストニア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ギリシャ、スウェーデン、ラトビア、リトアニア、デンマーク、ハンガリー、ルクセンブルク、ドイツ、フィンランド、ノルウェー、チェコ、スロバキア、オーストラリア、韓国、オランダ、フランス、オーストリア、日本、アイスランド、米国、カナダ、ニュージーランド、スイス、英国、アイルランドである。

(2009年9月28日収録、10月28日コメント追加)


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