戦後、日本人の「婚前交渉」に対する見方は大きく変わった。NHKの世論調査によれば、1973年には6割近かった「不可」の意見が最近は2割程度にまで減っている(図録2458参照、下に再掲)。最近では、かつてはさかんだった「婚前交渉、是が非か」などという論議自体が余り見かけなくなっている。

 それでは、諸外国と比べて、日本人の婚前交渉に関する倫理観はどのような位置を占めているのであろうか。

 これについては、ピュー・リサーチセンターが2013年に行った国際比較調査があるので、その結果を図に掲げた。

 婚前交渉(注)を「不道徳」とした者の割合で許容度を調べると、フランス、ドイツが6%最も許容度が高く、インドネシアが97%で最も許容度が低くなっている。

(注)設問文の”Sex between unmarried adults”はピュー・リサーチセンターの報告記事では”premarital sex”とも言い換えられており、婚外交渉ではなく婚前交渉と考えられる。同調査の並行設問である「浮気の許容度」については図録2785、「飲酒の許容度」については図録1972参照。

 日本で「不道徳」としたのは21%で、ベネズエラと同じ11位である。40か国中の順位としては、比較的許容度が高いといえよう。

 主要先進国であるG7諸国と比較すると米国の30%と比較すると日本の方が許容度が高いが、それ以外の5カ国の許容度の高さと比較すると一番厳しい見方をしている。

 一方、儒教の影響が大きい東アジア諸国の中では韓国の35%、中国の58%であり、21%の日本はずいぶんと許容度が高くなっているといえる。日本の時系列変化(下図)と比較すると、韓国は日本のバブル期直後の段階、中国は日本の高度成長期直後の段階にあると判断できよう。

 大陸別の許容度ランキング傾向を見ると、おおむね、以下の順番となっている。

1.西欧
2.英語圏(米国以外)
3.日本
4.米国・ロシア
5.中南米
6.東アジア(日本以外)
7.サハラ以南アフリカ
8.イスラム圏(中東・北アフリカおよびイスラム・アジア)

 西欧とイスラム圏で倫理的な許容度に両極端の差があることがイスラム過激派思想のひとつの淵源となっていると考えられる。

 ピューリサーチセンター調査の道徳的許容度に関する結果については婚前交渉以外では以下を取り上げているので参照されたい。

・飲酒(図録1972
・ギャンブル(図録2683
・不倫(浮気)(図録2785


 対象となっている40カ国を図の順番に掲げると、フランス、ドイツ、スペイン、チェコ、イタリア、ギリシャ、英国、チリ、カナダ、オーストラリア、日本、ベネズエラ、ポーランド、アルゼンチン、米国、ロシア、韓国、ブラジル、イスラエル、メキシコ、南アフリカ、ボリビア、エルサルバドル、中国、セネガル、インド、フィリピン、ナイジェリア、ウガンダ、ケニア、レバノン、ガーナ、マレーシア、チュニジア、エジプト、トルコ、パレスチナ、パキスタン、ヨルダン、インドネシアである。

(2017年8月11日収録)


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