2014年の秋の臨時国会では日本におけるカジノ解禁を実現する法案の論議が交わされている。日本人にはギャンブル依存症が多く、これをさらに増やさない対策のため、「カジノ法案成立をめざす超党派議連は日本人の入場に一定の条件を課す法案修正方針を決めた。一時浮上した利用を外国人に限るとの案は憲法上問題があると考えたらしい。日本人には入場料徴収や入場制限を課す形となる」(毎日新聞2014年10月17日「余録」)。

 ここでは、日本人が海外諸国と比較して、そもそも、どの程度ギャンブル好きかを示したデータを掲げた。2007年のISSP調査では、余暇活動の一つであるゲームと各国民のかかわりを調べており、この中で、最も好きなゲーム(遊び)として、ギャンブルをあげたものの比率をグラフにした。ギャンブルに限らず、どういうゲーム(遊び)が好きかについては、図録2680ですでに紹介した。

 日本人のギャンブル好きは、図の通り、成人の7.8%と、世界34か国中7位と多い方に属する。日本を上回っているのは、フィンランド、南アフリカ、キプロス、ドミニカ共和国、ウルグアイ、ノルウェーであり、北欧諸国2カ国と残りは途上国である。米国や英国、ドイツ、フランスなど主要先進国と比較すると日本人のギャンブル好きは目立っている。

 日本ではギャンブル(賭け事)は刑法で犯罪とされ禁じられているが、特別法で許されている公営ギャンブルが競輪・競馬などと多く、また、パチンコは客は店頭では直接換金できない「遊技」であり賭け事ではないというタテマエにより警察の管理下で黙認されている。パチンコは胴元が差し引く控除率が公営ギャンブルと比較して低いこともあって、日本人が特に好むギャンブルとなっている(図録5680、図録7330参照、パチンコ屋の総売り上げが巨大である点については図録5670参照)。こうしたことから日本はギャンブル好きが多い国となっているのだと考えられる。

 パチンコについては自民党内でパチンコ賭博を「合法化」し、出玉をパチンコ店で換金できるようにした上で、客が受け取る現金の一部を税金として徴収しようとする「パチンコ税」構想が2014年に浮上したが、自民党税制調査会において2015年度税制改正では見送ることにしたようだ(東京新聞2014.10.29)。構想では現金の1%を徴収すれば年間約2000億円の税収が見込まれるとされた。

 カジノ法案の論議が高まっているので、報道もギャンブルについてよく報じるようになっている。例えば、

「国内のパチンコ、スロット店は約1万2千。オーストラリアのギャンブル機製造団体の調べでは、日本には世界のギャンブル機の6割、459万台がある。日本生産性本部のレジャー白書によると、一昨年の公営賭博の利用者は6千万人を超す。大阪商業大のアミューズメント産業研究所の調査では、日本全体のパチンコや競馬などギャンブルの粗利益は計約3兆6千億円に上る。マカオは4兆7460億円、シンガポールは4315億円だ。

 厚生労働省の研究班は8月、国内でギャンブル依存症の疑いがある人は推計で成人の4.8%、536万人に上ると発表した。「ギャンブルをやめたいと思ったことがある」などの質問を約4千人に尋ね、20点満点で5点以上なら「依存症の疑い」と判定。日本の比率は米国1.6%や韓国0.8%と比べ格段に高い。同省は今年度から全国5カ所の医療機関を治療拠点として依存症対策の強化に乗り出す。」(朝日新聞2014年10月18日)

 図においてギャンブル好きが20.8%と世界一のフィンランドでは、宝くじとスロットマシーンなどが非常にさかんらしい。フィンランド在住ジャーナリストの報告によれば(http://mediasabor.jp/2009/07/79.html)、「実際に宝くじは、スーパーやガソリンスタンド、キオスキ(フィンランドのコンビニ的小売店)など、ほとんどどこでも販売されており、スロットマシーンは、スーパーやドライブイン、そしてバーのカジノコーナーなどに設置されており、専用のゲームセンターも存在する。ヘルシンキ中央駅近くには、「グランド・カジノ」の建物があり、近隣諸国を往来する大型フェリーの船内にも、きらびやかなカジノコーナーが存在する」という。

 データを掲げた34カ国は、値の高い順に、フィンランド、南アフリカ、キプロス、ドミニカ共和国、ウルグアイ、ノルウェー、日本、クロアチア、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、フィリピン、オーストリア、ハンガリー、スイス、フランス、イスラエル、メキシコ、アルゼンチン、チリ、チェコ、スロバキア、スロベニア、アイルランド、英国、ドイツ、ラトビア、韓国、米国、ベルギー、台湾、ポーランド、ブルガリア、ロシアである。

(2014年10月19日収録、11月1日パチンコ税コメント追加)


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