世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」が1981年から、また1990年からは5年ごとに行われている。各国毎に全国の18歳以上の男女1,000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。

 この調査の日本に関する結果から、ここでは、自殺、同性愛、離婚といった倫理規範に関する許容度をグラフ化した。許容度は「全く間違っている」の1から「全く正しい」の10までの10段階評価で回答する形式となっている。ここでは図に付記したように点数ごとに仮に回答を区分している。

 自殺に関しては、約8割の者が「間違っている(認められない)」(1〜4)としており、1981年から2005年へかけての変化を見ても、一定方向への変化の傾向は認められなかった。ただし、2010年には「間違っている」がかなり増加している。自殺者数3万人時代に対応して官民あげての自殺防止対策が講じられた反映と見られる。男女別・年齢別に許容度を見ると、やや男性、あるいは若者の方が許容度が高くなっている。(自殺許容度に関する国際比較は図録2784参照。)

 同性愛と離婚の許容度については、前者は約4割、後者は約5割が「認められる」(6〜10)に回答しており、また自殺と異なって、1981年以降、それらを許容する方向に、大きく意見が変わってきているのが注目される。ただし、離婚に関しては、2005〜2010年に、「認められる」が減り、「認められない」が増えており、「家族の絆」回帰の傾向が見られる。また、2011年の東日本大震災の影響でこの点はさらに進んでいる可能性がある。

 男女別年齢別に平均点を見ると、同性愛、離婚ともに、男性より、女性の方が許容度が高く、また、年齢の若い層の方が高齢者より許容度が高くなっている。同性愛は若いほど許容度が高く、年齢による見方の差も大きい。また離婚は中年層(30〜40歳代)で許容度が最も高くなっており、若年層(18〜29歳)の許容度は中年層よりかえって低いという特徴がある。

 男女の関係、あるいはジェンダー観といった分野における価値観は大きく変容してきていると言えよう。また、離婚率の上昇傾向と21世紀に入っての低下傾向には、こうした考え方の変化が反映していると思われる(図録2777参照)。

 なお、同性愛の許容度の国際比較は図録2783参照。これらの他、脱税、ワイロ、売春、中絶、安楽死、浮気といった倫理上の問題に関する許容度についての日本の国際的位置づけは図録2785、図録2786、図録2787参照。

(2006年6月21日収録、2014年5月12日更新)


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