世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」が1981年から、また1990年からは5年ごとに行われている。各国毎に全国の18歳以上の男女1,000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。

 ここでは、この調査の結果から、世界58カ国の自殺の許容度についてのグラフを作成した。ここで許容度は、「間違っている(認めない)」から「正しい(認める)」まで1から10のいずれかを選んでもらった結果を加重平均した値である。

 対象国は許容度の高い順からオランダ、フランス、スウェーデン、ルクセンブルク、スロベニア、スロバキア、ベルギー、英国、フィンランド、スペイン、オーストリア、デンマーク、日本、チェコ、カナダ、韓国、ベラルーシ、インド、ギリシャ、フィリピン、米国、ドイツ、ポーランド、エストニア、イタリア、ポルトガル、ロシア、アイスランド、チリ、北アイルランド、アイルランド、南アフリカ、ブルガリア、アルゼンチン、ウクライナ、セルビア・モンテネグロ、ラトビア、メキシコ、ペルー、リトアニア、クロアチア、ナイジェリア、ハンガリー、ベネズエラ、ベトナム、中国、ルーマニア、プエルトリコ、イラン、ジンバブエ、ウガンダ、マルタ、エジプト、タンザニア、ヨルダン、モロッコ、インドネシア、バングラデシュである。

 自殺に対して最も許容度が高いのは、オランダ、フランス、スウェーデンといった西欧諸国であり、最も自殺に厳しい見方をしているのは、モロッコ、インドネシア、バングラデシュといったイスラム国である。

 日本は58カ国中13位と、まあ、許容度の高い国に属する。

 それでは、実際の自殺率とこの自殺の許容度とは相関しているのであろうか。下の図には、図録2770と同じ自殺率データをタテ軸にとり、許容度をヨコ軸にとった相関図を掲げた。

 これを見ると、一見、自殺の許容度と実際の自殺率は相関していないように見える。リトアニアは許容度は低いが実際の自殺率は高く、オランダは許容度が高い割に実際の自殺率は低い。

 ところが、旧ソ連邦諸国や東欧諸国など旧社会主義国のグループはいずれも許容度が低い割に自殺率が高くなっており、これらの諸国を取り除いて見てみると、その他の諸国では、自殺の許容度と実際の自殺率はかなり相関していることが分かる。

 そうしてみると、日本の自殺率の高さには自殺に関する日本人の考え方が影響しているととらえられる。図録2770でも引用したWHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士の発言、すなわち「日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。これは他のアジア諸国やキューバでもみられる傾向だ。」は、日本の自殺率の高さの一側面として、無視できないところをついていると言えよう。

(2006年6月21日収録、6月25日最後の2行コメント訂正)

サイト内検索
関連図録
2770 自殺率の国際比較
2782 自殺・同性愛・離婚の許容度の推移と男女・年齢別許容度
2783 同性愛許容度の国際比較
9100 世界各国の離婚率
図録書籍 内容・目次