企業側からでなく学校側から調査した前年10月、12月、卒業年2月、4月の各1日現在での就職内定率(4月は就職率)の推移を大卒に関して掲げた。

 報道される場合には、普通は、特定の月のデータについてのみ、前年より高まっているかどうか、あるいは過去のピーク時と比べて高いか低いかが報じられるのみであり、また、グラフ化されるとしても3〜8年分ぐらいの結果であることが多いが、ここでは、データが得られる限りの1996年以降の18年分のすべての調査月の推移を示している。

 こうした網羅的なデータを見ると2つの重要な点が分かる。

 第1に、就職が内定しない人は多くなっても、就職が決まらない人は内定が決まらない人ほど多くはならない。内定率の年毎の変動は大きいが、4月時点の実際の就職率の変動幅は内定率ほど大きくないことからそれが分かる。2013年までの実績では、10月1日現在の内定率は良いときと悪い時とで16%ポイントの差があるが、4月1日現在の就職率は6%ポイントの幅に収まっている。

 第2に、10月1日から4月1日までの6カ月間の動きがかつてと今とでは異なっている。すなわち、グラフを見ても分かるが、10月1日の内定率と4月1日の就職率とのレベル差がかつての20〜25%ポイントから最近の30〜35%ポイントへとだんだんと大きくなってきている。採用側がなかなか内定を出さないのか、それとも応募者側の要求水準が高くなって、本命企業の内定が出るまで、なかなか内定が出たと思わないのか、いずれにせよ、内定が最後まで決まりにくくなってきている訳である。これが、就職戦線をこれまで以上に厳しいものと感じさせる大きな要因の1つだといえるだろう。

1.2014年3月卒業者(予定者)の状況について

 10月1日現在、12月1日、2月1日の内定率は、それぞれ、64.3%、76.6%、82.9%とリーマンショック前と比較するとまだ低いが、それでも3年連続の改善となった。

2.2013年3月卒業者(予定者)の状況について

 12月1日現在の内定率は75.0%と2年連続で改善となっている。2月1日現在の内定率は81.7%とやはり改善したが改善度はやや落ちてきている感触がある。そして4月1日現在の就職率は93.9%と前年対比でわずか0.3%ポイント増に止まった。

3.2012年3月卒業者の状況について

「<就職率:震災前水準に回復 今春大卒は93.6%>男女別に見ると、男子94.5%(前年度比3.4ポイント増)、女子92.6%(同1.7ポイント増)。...全体では最も高かったのが07年度の96.9%で今春は6番目。就職率上昇について厚労省は、大学生と大学卒業から3年以内を対象に就職相談や中小企業の求人情報を提供する「新卒応援ハローワーク」を10年に設立したことを挙げ、「中小企業を選択する学生が増えたため」と説明している。」(毎日新聞2012.5.15)

「今春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日現在)は80.5%で、前年同期を3.1ポイント上回ったことが16日、文部科学、厚生労働両省の調査で分かった。96年の調査開始以降では前年が最低だったが、今回は過去3番目に悪く「就職氷河期」と呼ばれた00年(81.6%)を下回る水準が続いている。 厚労省は「企業業績の回復に加え、個別支援策が功を奏してきたが、依然として厳しい水準だ」と分析。年度末へ向けた支援を強化している。」(毎日新聞2012.3.16)

「今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)は71.9%で、前年同期を3.1ポイント上回ったことが17日、文部科学、厚生労働両省の調査で分かった。96年の調査開始以降最低だった前年に次いで過去2番目に悪い水準だが、昨年10月1日現在の内定率も59.9%(前年同期比2.3ポイント増)で3年ぶりに上昇。文科省は「改善の兆しが見えてきた」とみる一方、厚労省は「円高や欧州の財政危機で景気の動向は不透明感を増しており、予断を許さない」と指摘する。」(毎日新聞2012.1.17)

4.2011年3月卒業者の状況について

 12月1日現在、2月1日現在の内定率は、それぞれ、68.8%、77.4%と昨年に引き続き大きく低落し、1996年の調査開始後最低となった。就職戦線の厳しさがうかがえる。

 4月1日現在の就職率は、91.0%と2000年の過去最低を下回り(当初、東日本大震災の影響で東北地方3大学(220人)が未集計の暫定値が91.1%で過去最低値タイ)、厳しい状況にある。ただし、10月1日現在から2月1日現在までの就職内定率は2000年の値を大きく下回っていたのと比べるとやや持ち直したともいえる。

5.2010年3月卒業者の状況について

 2010年の就職戦線については、予想通り09年10月1日現在の就職内定率は62.5%へと急落した。新聞各紙は下落幅が96年の調査開始以来最大となったと指摘している。昨年については年の前半は景気が良かったので企業も内定を多く出し、後半になって取り消すわけには行かなかったので、その分、今年にしわ寄せされていると考えられる。

 12月1日現在の内定率は73.1%と図の中で過去最低の水準となった。10月1日現在では過去最低ではなかったので状況は悪化しているといえる。

 2月1日現在でも過去最低となり、しかも12月1日現在では過去最低を0.4ポイント下回るに過ぎなかったのに対して、過去最低を1.6ポイント下回るに至っており、状況は一層深刻となった。

 4月1日現在の就職率については、91.8%と過去最低の2000年91.1%に次ぐ低さとなった。非常に厳しい状況であるが、最終的には過去最低ではなくなったので少し持ち直したともいえる。

6.2009年3月卒業者の状況について

 2009年の卒業生については、派遣労働者の契約解除(いわゆる派遣切り)と並んで、新卒者の内定取り消しが雇用情勢の急速な悪化の象徴的な事象として取り上げられた。

 2009年の内定率(就職希望者に占める内定取得者の割合)は2月1日現在では86.3%と前年から2.4%ポイントの悪化となっており、内定が全然得られない学生の増加の他、内定取り消しも影響しているのではないかと考えられる。また2月1日現在の対前年の悪化幅は、2カ月前の12月1日現在の内定率の対前年悪化幅1.1%ポイントの2倍以上となっており、刻々と情勢が厳しくなっている様子がうかがわれる。

 ただし、内定率の水準自体は、2000年〜05年のレベルよりは高くなっており、GDP成長率等に見られるかつてないほどの経済状況の悪化にもかかわらず、数字を見る限り、新卒者の就職困難がかつてないほどの状況だとはいえない。すでに10月の段階で1999年以降最も高いレベルの内定を決定しているので企業側としても今更そう易々と内定を取り消すことができないためとも考えられる。そうであるとすると景気が回復しない限り来年の就職は今年以上に厳しい状況となることが予想される。

 09年4月1日の就職率は95.7%であり、戦後最悪とも言える経済状況の悪化(図録4400参照)にもかかわらず、対前年1.2%ポイントの低下に止まった。落ち込みの激しい非正規雇用を犠牲にして正規雇用が維持されていると考えるべきであろう。

 なお、大卒の就職率(卒業者に占める比率であって、当図録のように就職希望者に占める比率ではない)の推移については図録3165参照。

(2009年3月13日収録、5月22日更新、11月19日更新、2010年1月15日更新、3月12日更新、5月21日更新、11月13日更新、2011年1月18日更新、3月18日更新、5月24日更新、7月3日2011年就職率、暫定値から確定値へ、11月21日更新、2012年1月17日更新、3月16日更新、5月15日更新、11月27日更新、2013年1月18日、3月15日、5月17日、11月16日更新、12月9日コメント改訂、2014年1月22日、3月18日更新)

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