社長になりたい新入社員が減ってきているという話題が、一時期、しばしば、新聞紙面等をにぎわせた。若者の覇気のなさ、上昇志向の欠如に対する慨嘆が背景にあったと思われる。

 ところが、最近では、企業の不祥事のたびごとに社長が陳謝する会見をテレビで見慣れてくると、若者が社長を目指さないのも当然だと思われるに至ったのか、メディアで取り上げられることもなくなった。

 元になった調査は相変わらず毎年継続されているので、最新までのデータの推移を改めて上に示した。

 スペシャリスト(専門職)志向の新入社員を除くと、社長まで昇進したいという新入社員が、2000年代前半までは、2割前後と最も多かった。

 ところが社長志向の新入社員は2000年代後半から一気に減少をはじめ、今や、10数パーセントの水準にまで落ち込んでいる。

 社長に代わって、重役志向の新入社員の方が多くなったが、この5年ぐらいで、重役ではなく、むしろ、部長の方が多くなっている。企業経営に責任を負っている社長や重役といった経営陣より、社員トップの部長で十分というわけであろうか。

 以前からの傾向であるが、部長以下であると、課長や係長ではなく、主任・班長でよいと思う新入社員の方が多いという結果であるのは興味深い。現場リーダーの主任・班長に対し、課長や係長は中間管理職で報われない役職ということだろうか。

 いずれの役職より多い4分の1程度を占める回答が、専門職(スペシャリスト)である点は、一貫して変わらないが、ジェネラリスト志向よりスペシャリスト志向がどんどん高まっているかというと、そうでもない。スペシャリスト志向が高まった時期が2回ある。1970年代後半と2000年をはさんだ10年間ぐらいの時期である。しかし、2005年前後から、スペシャリスト志向も減少の一途をたどり、今や20%前後の水準にまで落ち込んでいる。

 それでは、最近の若者は、企業社会に馴染まず、「役職にはつきたくない」や「どうでもよい」という回答が増えているかというとそうでもない。1970年代や80年代と比べると、こうした回答はむしろ減っており、企業社会には順応した姿勢を示しながらも、トップより2番手、3番目の方が気楽だと考えているようなのである。

 同じ調査で、会社からの独立や海外赴任を望む若者が減っているデータについては、図録3184参照。

(2017年9月7日更新)


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