図録3330では、日本は欧米諸国と比較すると年功賃金が広く成立していたことを示した。こうした特徴は近年かなり変化してきている。

 賃金カーブのフラット化を示すグラフを平成17年版経済労働白書から掲げた。同白書は、この点について以下のように記述している。

「賃金について、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で、年齢を横軸、賃金を縦軸にとった賃金カーブにどのような変化があるかをみる。男性標準労働者、大卒、産業計、規模計の数字をみると、賃金カーブのピークは、22 歳を100 として、1990 年は530.2 であったが、2004 年は385.0 と1990 年の7 割程度にまで下がっている。

 企業はこれまでのように勤続年数に応じて賃金が必ず上昇することを約束できない中で、業績・成果、能力等を賃金に反映させることにより、従業員が納得して働くことができるよう、賃金制度の変更を行ってきたものと考えられる。」

 ここで標準労働者とは、学卒後同じ企業に働き続けている労働者をいう。かつては「標準」と言えたかも知れないが今では当たらない。しかし働き続けた場合の賃金をあらわしているということで分かりやすいデータとはなっている。

 次ぎに、毎年、どの程度、フラット化が進展しているかを見るために、20〜24歳を100とした50歳代前半と後半の賃金倍率の推移をもうひとつの図で示した。

 これを見ると、1990年代前半には、なお横ばいであった賃金倍率が、1990年代に入って、急速に低下した点がうかがわれる。この傾向は2003〜2005年は、倍率が微増に転じたが、2000年代後半には再度低下傾向に転じた。フラット化はなお止まるところを知らないともいえよう。

 しかし、2012年には50代前半が反騰しており、新しい動きである。これが永続的なものか(すなわち年功賃金の復活を意味するか)は注意して観察を続ける必要がある。

 最近の特徴としては2010年以降50歳代前半より50歳代後半の方が賃金が少なくなっている。早期退職制度や定年後再雇用制度の影響と思われる。また、2011年ごろから賃金カーブのフラット化の傾向は横ばいに転じているようである。

 こうした賃金のフラット化が所得格差の縮小に結びついている点については、図録4663参照。この図録4663の上から4つ目の図には、賃金のフラット化が実際に世帯主の年齢別の世帯所得格差の縮小に結びついている点を図示している。

(2005年11月29日収録、2006年3月24日毎年変化図・コメント追加、2010年7月19日更新、2012年6月8日更新、2013年2月22日更新、2015年2月22日更新、2016年2月19日更新、2017年2月22日更新)


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