平成17年版の労働経済白書はニートに該当する若年無業者の定義として、「非労働力人口で家事も通学もしていない若者(15〜34歳)」とした(図録3450参照)。定義は良いとしても、果たして、ニートがニート数の算出の根拠となる「労働力調査」で把握されているだろうか、という疑念も生じる。そこで同じ定義の人数を国勢調査結果から引き出し、グラフにしたものを掲げた。国勢調査なのでかなり古くから同じ定義の人数を得ることが出来る。

 1980年から1995年まで20万人台で安定していた若年無業者は、2000年には、急増して75万人となっている。この数は、同じ年の労働力調査の44万人と比べてずっと多い。また、この他、労働力状態に関する質問(後段に掲げた調査票参照)に回答しなかった者(労働力状態不詳)がいる。この人数は、調査毎に増加し、2000年には71万人に達している。このなかには、いわゆるニートも多く含まれていると考えられる。

 2005年の国勢調査によると、若年無業者は39万人と減少した。一応、雇用状況の好転が影響していると思われる。ただ、労働力状態不詳は154万人と更に急増しており、このうちどのぐらいがいわゆるニートか分からないので評価は難しい。同じことは2010年の国勢調査についてもいえる。若年無業者は33万人に減ったが労働力状態不詳はさらに203万人と増加している。

 労働経済白書は、ニートを40万人とか60万人とか見積もっているが、実態はより深刻である可能性が高い。

 なお、同じ国勢調査の結果から都道府県別のニート数(若年無業者数)を図録7364に掲げたので参照されたい。

労働力状態の定義(国勢調査の用語解説から)
 労働力状態とは,15歳以上の人について,調査年の9月24日から30日までの1週間(以下「調査週間」という。)に「仕事をしたかどうかの別」により,次のとおり区分したものです。

                              ┌主に仕事
                       ┌就業者─┼家事のほか仕事
            ┌労働力人口─┤      ├通学のかたわら仕事
            │         │      └休業者
            │         │
15歳以上人口──┤         └完全失業者
            │
            │            ┌家事
            └非労働力人口──┼通学
                          └その他


労働力人口 就業者と完全失業者を合わせたもの
  就業者 調査週間中,賃金,給料,諸手当,営業収益,手数料,内職収入など収入(現物収入を含む。)になる仕事を少しでもした人
  休業者 勤め人や事業を営んでいる人が病気や休暇などで仕事を休み始めてから30日未満の場合,又は勤め人が30日以上休んでいても賃金や給料をもらったか,もらうことになっている場合
完全失業者 調査週間中,収入になる仕事を少しもしなかった人のうち,仕事に就くことが可能であって,かつ,職業安定所に申し込むなどして積極的に仕事を探していた人
非労働力人口 調査週間中,収入になる仕事を少しもしなかった人のうち,休業者及び完全失業者以外の人
  家事 自分の家で主に炊事や育児などの家事をしていた場合
通学 主に通学していた場合
その他 上のどの区分にも当てはまらない場合(高齢者など)

 昭和25年以降,上記の「就業者」,「完全失業者」及び「非労働力人口」の定義に差異はありません。


 以下に、国勢調査の調査票のうち、労働力状態の問の部分を掲げた。9のいずれに印を付けるかで、結果が集計されるのである。

 なお、非労働力人口の「その他」は仕事をやめた高齢者が中心であるが、15〜34歳の若年層については、傷病者や障害者がかなり含まれている点に留意する必要があろう。

国勢調査調査票(2000年、部分)



(2005年7月30日収録、2006年6月30日更新、2007年2月2日2005年確報、2012年7月16日更新)


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