2015年度の司法試験合格者の発表は、明治大学法科大学院の教授が教え子に試験問題を漏洩した事件とともに報じられた。

 法科大学院は「専門職大学院であって、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするもの」をいうと定められており、2004年4月に創設された。修了すると、司法試験の受験資格と「法務博士(専門職)」の専門職学位が与えられる。米国ロー・スクールをモデルした制度であることから「ロー・スクール」とも呼ばれる。

 こうした新しい司法試験が導入されてから新旧両試験が平行実施されてきたが2012年から旧試験がなくなったため、新司法試験ではなく司法試験という用語に一本化された。また2012年からは社会人や経済的理由で法科大学院に通えない人の救済策として「例外ルート」として合格できれば司法試験を受験できる「予備試験」が設けられたのでこちらの枠の合格者数、合格率も図に掲載している。予備試験の受験資格が制限されていないため、お金や時間を節約するため学生の中にも予備試験ルートを選んだものがいる。

 大学別の法科大学院修了の新司法試験合格者数と合格率のグラフを合格者数のランキングにしたがった順で掲載した。データは、法務省発表資料による。

 「合格者数」の上位5位は、合格者数の多い順に、中央大、慶應義塾大、東京大、早稲田大、京都大の法科大学院の順である。昨年は、早稲田大、中央大、東京大、慶應義塾大、京都大の順であった。

 「合格率」の上位2位は、合格率の高い順に、一橋大、京都大であり、ここまでが50%以上である。3位以下は、東京大、神戸大、慶応大の順であり。ここまでが40%以上である。10%台、20%台の法科大学院もけっこう多い。

 明治大の合格率は14.6%と低いので、これが試験問題漏洩事件の背景となったとする論者もあった。

 このように司法試験の合格率は一般的に低く、また、2番目の図のように合格率は全体として毎年低下を続けてきた(2012年ははじめて上昇に転じたが2013年には過去最低を更新)。このため、法科大学院「修了後5年以内に3回まで」という受験制限もあって、高い授業料の割には、リスクが大きすぎる職業選択として、法科大学院自体の志望者数が減少している。

 司法試験合格者による法的サービス領域を拡大するとともに、司法試験は合格できなくとも、法務博士として、自らの法務知識やスキルを社会で生かせるような環境をつくらないと、制度全体が瓦解しかねないと懸念されている。

 なお、募集停止や閉鎖が表明されている学校をカッコ内の合格者数とともに示すと以下の29校である(毎日新聞2015.9.9)。すべて合格者数が8人以下と少ない学校である。

 神奈川大法科大学院(8)、桐蔭横浜大法科大学院(8)、広島修道大法科大学院(8)、熊本大法科大学院(7)、信州大法科大学院(7)、新潟大法科大学院(5)、大宮法科大学院大学(4)、國學院大法科大学院(4)、東洋大法科大学院(4)、白鴎大法科大学院(4)、明治学院大法科大学院(4)、島根大法科大学院(3)、駿河台大法科大学院(3)、中京大法科大学院(3)、東海大法科大学院(3)、山梨学院大法科大学院(3)、愛知学院大法科大学院(2)、大阪学院大法科大学院(2)、鹿児島大法科大学院(2)、京都産業大法科大学院(2)、大東文化大法科大学院(2)、関東学院大法科大学院(1)、神戸学院大法科大学院(1)、静岡大法科大学院(1)、東北学院大法科大学院(1)、香川大法科大学院(0)、久留米大法科大学院(0)、獨協大法科大学院(0)、姫路獨協大法科大学院(0)

(2015.1.17の記事)

 文部科学省は2015年1月16日に新たな算定制度に基づく法科大学院の2015年度補助金額を決定した。下表に現行額と比較した補助金額の増減を示した。補助金の削減は法科大学院の経営に大きな影響を与えるため、今後、募集停止や統廃合が加速するのは必至である。補助額に差を付ける算定法は、ここで示した司法試験の合格状況などにより5つに区分された基礎額に教育プログラムの開発など各大学から提出された取り組み提案を評価した一定額を加算するというもの(東京新聞2015年1月17日)。国がこんな細かい算出法での補助金額の傾斜配分までして自然淘汰を加速する必要があるのか、また、こうしたやり方が私学助成などの傾斜配分にまで波及するのか、などに興味がもたれるところである。

2015年度の法科大学院の補助金額(現行額からの増減)
補助
金額
内訳 法科大学院
基礎額
算定率
加算率
135% 90% 45% 早稲田
130% 40% 一橋
125% 35% 東京
120% 30% 京都、慶応義塾
105% 15% 北海道、大阪
70% 35% 同志社
100% 90% 10% 上智
80% 20% 神戸
95% 90% 5% 名古屋、学習院
80% 15% 創価
94% 70% 24% 岡山
93% 90% 3% 中央
91% 1% 東北
90% 0% 筑波
85% 80% 5% 成蹊、愛知、千葉
70% 15% 琉球
80% 80% 0% 九州、横浜国立
70% 10% 立教
75% 5% 甲南
67.5% 60% 7.5% 立命館
65% 5% 金沢、明治、広島、関西、関西学院、西南学院
64% 4% 青山学院
60% 0% 静岡、熊本、法政、神奈川、中京、南山、近畿
提案なし 日本、山梨学院、東洋、名城、福岡
50% 50% 0% 北海学園、京都産業
提案なし 国学院、駒沢、専修、桐蔭横浜、愛知学院
(注)公立大と15年度の募集をしない国私立大は対象外。基礎額算定率は
司法試験の合格状況や定員充足率などをもとに50〜90%の5段階に分類。
さらに、改革案に応じて加算率が決まり、基礎額算定率に上乗せする。
「提案なし」は改革案を提出せず、加算も0%
(資料)朝日新聞(2015年1月17日)、東京新聞(2015年1月17日)

 図で取り上げた法科大学院設置大学は、合格者数の多い順に、中央大法科大学院、慶應義塾大法科大学院、東京大法科大学院、早稲田大法科大学院、京都大法科大学院、一橋大法科大学院、神戸大法科大学院、明治大法科大学院、大阪大法科大学院、北海道大法科大学院、九州大法科大学院、名古屋大法科大学院、東北大法科大学院、同志社大法科大学院、上智大法科大学院、法政大法科大学院、立命館大法科大学院、首都大東京法科大学院、大阪市立大法科大学院、関西大法科大学院、関西学院大法科大学院、立教大法科大学院、広島大法科大学院、創価大法科大学院、千葉大法科大学院、横浜国立大法科大学院、学習院大法科大学院、専修大法科大学院、日本大法科大学院、岡山大法科大学院、甲南大法科大学院、筑波大法科大学院、愛知大法科大学院、神奈川大法科大学院、桐蔭横浜大法科大学院、広島修道大法科大学院、龍谷大法科大学院であり、参考として予備試験合格者も掲載した。

(2011年1月31日収録、9月9日更新、9月10日グラフ改善、2012年9月12日更新、2013年3月17日2番目の図の位置を先頭図の直後に移動など、9月11日更新、2014年9月10日更新、2015年1月17日補助額新算定法について追加、2015年9月9日更新)


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