大卒の収入・所得が高卒の収入・所得をどれだけ上回っているかは、大学まで進学することにどれだけ所得面での優位性があるかを判断する1つの指標である。大学進学には入学金・授業料がかかるほか通学期間中の生活費負担があり、さらに高卒で働いた場合に早めに給与が入る分も入らない(いわゆる逸失所得)。大卒にともなうこれら総てのコストを考えると所得倍率は1をかなり上回っていないと所得的にはバランスがとれないこととなる。

 図録には、25〜64歳についての大卒所得の相対水準についての国際比較を掲げた。中高年も含んだ相対水準なので、現時点で大学進学がどれだけ所得面の優位性をもっているかは、これだけでは判断できないという点に留意しながらデータを見てみよう。

 男の相対水準を見ると、最も差が大きいブラジル2.75倍から差が最小の韓国1.26倍までかなりの幅がある。一般には、大卒がまだ少ない途上国の方が大卒が貴重な存在なので所得も相対的に高くなると考えられる。ブラジルに続いて、ハンガリー、スロベニア、チェコ、スロバキアといった途上国の相対水準が高くなっていることからもこれが分かる。先進国では相対所得がそれほど高くないが、米国の場合は相対水準が高くなっているのが目立つ。

 韓国の相対水準が男について最低となっているのが目立つ。これは、韓国では大学進学率が世界一高く、大卒が珍しくないためだと考えられる(図録39283929参照)。

 日本の男の相対水準は1.39倍で32カ国中24位とやや低いグループに属している。

 女の大卒の相対所得水準は、男に比べ、全体的には低くなっている。OECD平均では男1.64倍に対して女は1.58倍である。

 国別の女の相対水準は男と平行しているが、日本の場合、女の相対水準が1.61倍と男の1.39倍をかなり上回っている点が目立っている(上からの順位も女の場合32カ国中14位)。韓国、英国、スペインなども女の大卒の所得水準が男に比べ高くなっている。これは男性より女性で学歴による所得格差が大きいということを意味している。こうした国では、女の大卒の活躍の余地が大きくなっていると一般的にいえるであろう。これまで女性の大卒が少なかったことも影響していると考えられる。

 対象国は32か国であり、具体的には、男の対高卒所得倍率の高い順にブラジル、ハンガリー、スロベニア、チェコ、スロバキア、米国、ポーランド、ポルトガル、ルクセンブルク、イタリア、イスラエル、アイルランド、フィンランド、オランダ、ドイツ、フランス、ギリシャ、トルコ、オーストリア、英国、オーストラリア、カナダ、エストニア、日本、スイス、デンマーク、スペイン、スウェーデン、ベルギー、ノルウェー、ニュージーランド、韓国である。

(2011年10月9日収録)


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