各国の教育水準の指標としては、小学校就学率、高校進学率といった学校就学率が使用されることが多い。教育成果をあらわす指標としては、ある国の人口の平均就学年数の方が適切であるが、多くの国で定期的に得られるデータではないので学校就学率の方が使用されることが多い(UNDP「人間開発報告書2004」)。

 ここでは、教育の経済分析で著名な経済学者バロー=リーが推計した各国の平均就学年数を図録化した。

 人口の平均値であるので、最近就学率の上がった国でも高齢者の多くが小学校以下の教育しか受けていない国では、値が低く出る点に注意するする必要がある。女性の平均就学年数を男女計の値で割った女性格差についても同様のことが言える。

 世界で最も平均就学年数(15歳以上人口の)が多いのは、米国の12.1年であり、ノルウェイの11.9年がこれに続いている。

 日本は先進国第12位の9.7年である。韓国は第7位と日本を上回っている。韓国人口の平均年齢が日本より低いことも影響していよう(図録8900参照)。

 先進国では女性格差に余り差がないが、日本や韓国は儒教の影響もあってであろうがやや低い(もっともギリシャやオーストリアはもっと低い)。

 アジア途上国の中では、香港、台湾、シンガポールといった華人経済圏で、平均就学年数が高くなっている。フィリピンは、所得水準の割には平均就業年数が多く、また女性格差も1.0と小さく、カソリックの影響もあろうが、教育熱心な国となっている。所得水準ではマレーシアの方が高く、海外労働もフィリピンからマレーシアへ向っている(図録8100、図録8150、図録8160参照)が、平均就学年数では、フィリピンの方がマレーシアより高い点が印象的である。管理職の女性比率もフィリピンは際立って高い(図録3140)。

 この他、以下のような特徴が目立っている。

・旧社会主義国(及び社会主義国)では、経済発展度の割には、平均就学年数が高く、女性格差も小さい(あるいは逆格差)ことが特徴である(ソ連、中国、キューバ、ポーランドなど)。

・儒教の国と並んでイスラム国では女性格差が大きい傾向が見られる(パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタン、エジプト、アルジェリア、トルコなど)。

・ラテンアメリカでは、フィリピンなど友共通するが、女子教育の伝統があるためか女性格差が小さい、というよりむしろ逆格差がある(ベネズエラ、コロンビア、ジャマイカなど)。

・アフリカの一部では平均就学年数が1年前後と非常に低い国がある(モザンビーク、マリなど)。

 対象国は、平均就学年数の多い順に、先進国では、米国、ノルウェー、ニュージーランド、カナダ、スウェーデン、オーストラリア、韓国、スイス、ドイツ、フィンランド、デンマーク、日本、英国、アイルランド、オランダ、ベルギー、ギリシャ、オーストリア、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、アジア途上国では、香港、台湾、フィリピン、シンガポール、スリランカ、マレーシア、タイ、中国、イラン、インド、インドネシア、イラク、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、アフガニスタン、その他の国では、ソ連、ポーランド、イスラエル、チェコ、ハンガリー、アルゼンチン、キューバ、ペルー、チリ、メキシコ、ベネズエラ、南アフリカ、エジプト、アルジェリア、トルコ、コロンビア、ジャマイカ、ブラジル、ケニア、ガーナ、モザンビーク、マリである。

(2004年12月31日収録)



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