NHK朝の連続テレビ小説の年度平均の世帯視聴率の推移を図示した。

 2015年度は前半の「まれ」が終了したばかりであるが19.4%と2012年後期「純と愛」(17.1%)以来5作ぶりに20%の大台を割った。ところが年度後半の「あさが来た」が23.5%と2002年度前半の「さくら」(23.3%)を上回り今世紀最高を記録したので、年度平均も21%を上回った。

 2014年度は前半の「花子とアン」が終了した時点では期間視聴率は22.6%と過去10年で1位である点が報じられた。ただし、後半の「マッサン」は21.1%だったので、NHK朝ドラ自体の回復傾向は続いているものの、その程度はそれほど強くはなかった。

 2013年度は前半の「あまちゃん」が20.6%、後半の「ごちそうさん」が22.3%と快調であり、年度平均は21.5%と2002年以降最高の値となった(男女年齢別の視聴率の状況、及びあまちゃんブームは必ずしも高い視聴率とむすびついていなかった点については【コラム】参照)。

 2012年度は前半の「梅ちゃん先生」が20.7%、後半の「純と愛」が17.1%で年度平均は18.9%である。2011年度は前半の「おひさま」が18.8%、後半の「カーネーション」が19.1%で年度平均は19.0%であった。2010年度は、「ゲゲゲの女房」と「てっぱん」の平均視聴率が、それぞれ、18.6%、17.2%であり、年度平均で17.9%であった。

 戦後からの朝ドラの動向としては、1983年度の「おしん」の52.6%をピークに長期低落傾向が目立っている。プロ野球巨人戦ナイターの視聴率も同じ1983年に27.1%のピークの後、長期低落している(図録3978)のと平行した現象である。

 当初この図録の原資料となった堀井憲一郎(2006)「若者殺しの時代」によれば、「連続テレビ小説が描いているのは、女の半生である。視聴率が高かった時代、何を見ていたかというと。戦争の苦労である。…視聴率が決定的に落ちるのは、戦争を描かなくなってからである。そのかわり、主人公の女性にいろいろな無理な職業に就かせて、社会と戦わせて、共感を得られなくなり、どんどん落ちていった。」「「あんな戦争はいやだ」という一点だけを強く主張し」、その後、女性政党となった「社会党の凋落と同じである。」

 また、NHK朝の連続テレビ視聴率の低落は、歌謡曲の大ヒットの不在、巨人戦視聴率の低下とともに、日本人の共通同時体験の機会が失われてきていることをあらわす事象のひとつである。

 もっとも2010年代に入り一時期の低迷からやや回復傾向にあるといってよいだろう。

 過去から長い間これだけ高い視聴率を得ていた番組なので、この図録に記載された表題名によって、個々のドラマを思い出し、過去の自分の心象風景と重ね合わせる人も多いのではなかろうか。

 1964年度からの毎年のドラマ名を掲げると、以下の通りである。年度2種類の場合は「/」で区切った。うず潮、たまゆら、おはなはん、旅路、あしたこそ、信子とおばあさん、虹、繭子ひとり、藍より青く、北の家族、鳩子の海、水色の時/おはようさん、雲のじゅうたん/火の国に、いちばん星/風見鶏、おていちゃん/わたしは海、マー姉ちゃん/鮎のうた、なっちゃんの写真館/虹を織る、まんさくの花/本日も晴天なり、ハイカラさん/よーいドン、おしん、ロマンス/心はいつもラムネ色、澪つくし/いちばん太鼓、はね駒/都の風、チョッちゃん/はっさい先生、ノンちゃんの夢/純ちゃんの応援歌、青春家族/和っこの金メダル、凛凛と/京、ふたり、君の名は、おんなは度胸/ひらり、ええにょぼ/かりん、ぴあの/春よ、来い(前)、春よ、来い(後)/走らんか!、ひまわり/ふたりっ子、あぐり/甘辛しゃん、天うらら/やんちゃくれ、すずらん/あすか、私の青空/オードリー、ちゅらさん/ほんまもん、さくら/まんてん、こころ/てるてる家族、天花/わかば、ファイト/風のハルカ、純情きらり/芋たこなんきん、どんど晴れ/ちりとてちん、瞳/だんだん、つばさ/ウェルかめ、ゲゲゲの女房/てっぱん、おひさま/カーネーション、梅ちゃん先生/純と愛、あまちゃん/ごちそうさん、花子とアン/マッサン、まれ/あさが来た。

【コラム】あまちゃんブームと視聴率

 2013年度前半放映の「あまちゃん」は列島各地にブームを引き起こしたが、予想に反して、必ずしも図抜けて高い視聴率の番組ではなかった。

 「あまちゃん」人気の過熱からどうして近年の最高視聴率でないかという点に関心が集まり、以下のような点が指摘された。「総合よりも先に放送されるBSプレミアム(午前7時半)での視聴率は、朝ドラの放送を開始した2011年4月以降で最高の5.5%。「梅ちゃん先生」の4.8%を上回った。BSでは、視聴率が1%を超える番組は珍しい。NHK関係者は「あまちゃんは、今まで朝ドラを見ていなかった若い人たちに人気があった。より早い時間に家を出る世代がBSで見ていたのだろう」と言う。録画で見たり、日に何度も繰り返し見たりする人も多かったとみている。」(朝日デジタル2013.9.30)その前の「カーネーション」のBSプレミアムでの平均視聴率は3.9%(ヤフーニュース「オリコン」2013.9.30)。

 NHK放送文化研究所の「放送研究と調査」2014年3月号には、ブームと視聴率が比例していなかった点を解明するための調査結果の記事「朝ドラ『あまちゃん』はどう見られたか〜4つの調査を通して探る視聴のひろがりと視聴熱〜」が掲載された。この記事に掲げられたデータから、時間帯別の世帯視聴率や男女年齢別の個人視聴率を、あまちゃん以前の年度前半番組と比較すると以下の通りである。


 確かにBS放送では、前年の梅ちゃん先生よりあまちゃんの方がやや視聴率が高かったが、一方で、地上波では、視聴率が下回っており、これを補うほどBS視聴率が高かった訳ではなかったことが分かる。

 また、男女年齢別視聴率の推移を見ても、普段から視聴率の高い高齢者層の視聴率が、あまちゃんの場合、むしろ低かった点やそれを上回って若年層の視聴率が特段に上昇した訳でもないことが分かる。

 結局、「放送研究と調査」の記事では、あまちゃんブームは、マスコミ報道やインターネットなど、視聴率とは別のところで盛り上がっただけだという結論に達している。「4 つの調査を通して、視聴者の人数としてはそれほど増大しなかった『あまちゃん』の、見て い た 人 の“ 熱 ”の 高 さ が み えて き た 。(中略) 国民全体からみるとSNS参加者はごくごく少数であり、その少数者の発言が大きなブームや話題性をどうやって形成していくのかについては、今回は十分には解明できなかった。」(同2014年3月号)

(2006年5月6日収録、2009年1月5日・9月29日更新、2010年3月29日・9月27日更新、2011年4月4日・10月3日更新、2012年4月2日更新、10月1日更新、2013年4月1日更新、9月30日更新、10月3日コメント補訂、2014年3月31日更新、4月3日コラム追加、7月9日NHK年鑑2013により1989年値補正、2014年9月29日更新、2015年3月30日更新、9月28日更新、2016年4月4日更新)


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