日本人の宗教心は高まって行きつつあるのだろうか、それとも衰えて行きつつあるのだろうか。

 これについて、まず、5年おきに同じ設問の意識調査を長期的に継続実施している統計数理研究所の調査結果を見てみよう。宗教心に関しては2つの設問が主なものである。すなわち、「あなたは、何か信仰とか信心とかを持っていますか?」と「それでは、いままでの宗教にはかかわりなく、「宗教的な心」というものを、大切だと思いますか、それとも大切だとは思いませんか?」である。

 図には、この2つの設問へのポジティブな選択肢への回答比率を示した。年齢別の回答率については図録3971a参照。

 結果は、「信仰や信心をもっている」はほぼ3割前後、「宗教的な心は大切」はこれを大きく上回る7割前後であり、両方とも、ほぼ横ばいか、やや低下気味の推移といえよう。大きな変化が起っているようには見えない。

 宗教心については年齢とともに高まる加齢効果があるので、高齢者比率の増加により回答が上支えされているのは確かである。同一の年齢構成と仮定して求める年齢調整後の推移を図に併載したが、これを見ると、やや低下傾向が目立つようになる。

 戦後いろいろな面で大きく変わった日本人の意識の中では、宗教心については、余り変わっていないと考えることが出来る。 「信仰や信心をもっている」より「もっていない」人が多い、すなわち無宗教の人が多いにもかかわらず、宗教心は大切にするのがどうやら日本人の不変の考え方のようである。

 次に、企業の新人研修を受けた新入社員に対する意識調査の結果から、「人生にとって宗教は大切か」という問への答えで、若者の宗教心の推移を追った。

 これを見ると若者の宗教心は、1980年代後半のバブル経済が好調な時期に、「非常に+やや大切である」の割合が減り、「あまり+全然大切ではない」の割合が増え、両者が逆転するという大きな変化が起こった点が目立っている(逆転したのは1986年)。この時期の変化は、その前、及びその後の時期が、ほぼ横ばいの変化であるのと対照的である。

 なお、東日本大震災の翌年の2012年には、おそらく大震災の影響だと思われるが、この年だけ、「全然大切ではない」と「わからない」が急減し、「やや大切である」と「あまり大切ではない」、特に後者が急増した点が目立っている。

(2016年9月27日収録)


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