1.ロンドン・オリンピック(各国メダル数は図録3983v。過去2回については後段参照)

 世界にならってオリンピックに対し国家支援が強化されるようになっている。スポーツ基本法(2011年制定)ではスポーツを国家戦略として推進することとされ、2012年春策定のスポーツ基本計画(文科省)では日本の五輪での金メダル順位の目標が「夏は5位以内、冬は10位以内」と設定された。オリンピックの強化策としてはJOC経由で各競技団体に配分される強化費に加えて2008年度から文科省のマルチサポート事業という国の直接支援が実施され、5年目の2012年度にはメダルが有望なターゲット競技に重点配分されるマルチサポート事業の予算(27.46億円)がJOC補助(25.88億円)をはじめて上回った(毎日新聞2012.7.22)。

 JOCはロンドンで政府の目標を達成するためには金メダル15〜18個が必要と考えている。そしてJOCの皮算用では、柔道6〜7、レスリング4前後、体操2〜3、競泳2、ハンマー投げ1、サッカー女子1で達成可能とみていた(同上)。ちなみに日本の金メダル順位は前回北京では8位、前々回アテネでは5位であった。

 結果は、金メダルは7つにとどまった。日本選手団のメダル目標は上記のとおり金メダル5位以内であったが実際の順位は10位であり、目標達成はかなわなかった。これは旧ソ連各国など外国勢が力を伸ばしてきた結果、柔道の金メダルが女子1個に止まったことが大きく影響している(後段参照)。

 しかし、メダル総数は過去最多の38個となった。これは実施競技の半数の13競技でメダルを獲得したからである。練習環境の充実も背景の1つであった。「今回は味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)、文部科学省のマルチサポート事業が本格的に稼働した五輪だった。NTCの効果が表れたのが、フェンシング、アーチェリー、バドミントン、ボクシング、卓球、レスリングなど。これまでは練習拠点に苦慮していたが、NTCの整備により年間で活用することができるようになった。」(毎日新聞2012.8.14)

 今後、選手へのさらなる支援が必要という考え方もある。日本選手団の「橋本聖子副団長は「(外国に比べ)日本のスポーツに掛ける予算はまだまだ少ない。(スポーツ予算に対する)メダル獲得率は世界一に匹敵するのでは」とたたえた。また、躍進の一因として橋本副団長はマルチサポートハウスを挙げ、「(現地入り後は)激しいトレーニングが既に終わっているので、コンディショニングが一番大事。ご飯などの日本食や炭酸泉が良い効果を上げた」と分析した。」(毎日新聞2012.8.13)

2.金メダル(種目別)

金メダル種目一覧
     個人 チーム
1988年
ソウル
4
男子 4 柔道1 競泳1 レスリング2  
女子 0    
1992年
バルセロナ
3
男子 2 柔道2  
女子 1 競泳1  
1996年
アトランタ
3
男子 2 柔道2  
女子 1 柔道1  
2000年
シドニー
5
男子 3 柔道3   
女子 2 マラソン1 柔道1   
2004年
アテネ
16
男子 7 ハンマー投げ1 柔道3 競泳2 体操
女子 9 マラソン1 柔道5 競泳1 レスリング2   
2008年
北京
9
男子 4 柔道2 競泳2   
女子 5 柔道2 レスリング2 ソフトボール
2012年
ロンドン
7
男子 3 体操個人総合1 ボクシング1 レスリング1  
女子 4 柔道1 レスリング3  
(資料)国際オリンピック委員会HPほか

3.柔道と全体のメダル数

 日本のメダル獲得総数に大きく寄与している柔道男子・女子のメダル数の推移を以下に掲げた。1992年バルセロナ・オリンピック以後、アテネまでは、金メダル数では柔道における獲得数がいずれの大会でも5割以上となっていたが、北京では44%と5割を下回り、ロンドンではついに金メダル1個で14%となった。。

日本柔道の五輪メダル数
 
男子 女子 対五輪総数比
総数
メダル
総数
メダル
総数
メダル
総数
メダル
1992 バルセロナ 5 2 5 0 10 2 45% 67%
96 アトランタ 4 2 4 1 8 3 57% 100%
2000 シドニー 4 3 4 1 8 4 44% 80%
04 アテネ 4 3 6 5 10 8 27% 50%
08 北京 2 2 5 2 7 4  28%  44%
12 ロンドン 4 0 3 1 7 1 18% 14%
(注)女子が正式種目となったバルセロナ五輪以降
(資料)東京新聞2008.8.17ほか

4.金メダル推移(男女別獲得数)

 以下に金メダル数の推移を男女別に掲げた。シドニーまでの金メダル数は男子が女子を上回っていたが、アテネ、北京、ロンドンと最近の3大会では、女子が男子を上回っている(女子選手比率推移については図録2710も参照)。


 参加選手女性比率が50%を越えるのは女子チーム競技の参加が大きい。ロンドン・オリンピックの女性選手比率は53.2%であるが、日本選手団の選手293人のうち、女性のみの競技である水泳のシンクロ9人、体操の新体操6人、及び女子チームのみの参加のバレー12人、ホッケー16人、計43人の女子選手の参加が影響している(毎日新聞2012.7.25)。

 これは日本だけの傾向ではない。ロンドンにおける「メダル数上位の米国、中国、ロシアはいずれも参加選手数、獲得メダル数とも女子が男子を上回った。」(毎日新聞2012.8.13夕)

5.北京オリンピック(各国メダル数は図録3984

 オリンピック北京大会における金メダル数は9個、メダル総数25個となった。金メダル、メダル総数ともに前回を大きく下回る結果となった。もっとも一回前の2000年シドニーと比較すると金メダル数、メダル総数とも北京の方が上回っている。

 北京の日本選手団はよくやった方だという評価が一般的である。「アテネ以降の世界選手権の実績を加味すれば、ほぼ実力通りだ。」(毎日新聞2008.8.25)という訳である。メダル数の減少を福田日本選手団長はこう説明しているという。「日本の実力はアテネの時点と変わらないが、世界の競技レベルが上がった。」(同上)この「実力」自体が世界と比較すると問題である点は、図録3984の人口比を考慮した評価を参照。

 北京オリンピックでの特徴は、アテネで活躍した選手がそのまま力を維持したことである。競泳男子平泳ぎで連続2冠を達成した北島康介選手をはじめ金メダルのうち7個が連覇だった。

 なお、北京オリンピックのメダル数が関心を集めている中、「「金」10個なら株高?−五輪効果に市場も期待」という新聞記事で、ロサンゼルス五輪(1984年)以降の6大会の開催期間中の日経平均株価を調べると金メダル10個のロスで3.5%高、16個のアテネで1.4%高、一方、5個以下の4大会でいずれも下落だった点から、株式市場からも「頑張れニッポン!」コールが高まってきたと報じられた(東京新聞2008.8.15)。

6.アテネ・オリンピック(各国メダル数は図録3985

 オリンピック・アテネ大会における金メダル数は16個と過去8大会を上回り、過去最高の東京大会と同じであった。メダル総数は、過去最高のロサンゼルス大会を上回り、過去最多の37個であった。

 どうしてアテネ・オリンピックでメダルが増えたかについては、政府の支援策強化、若者のマインド変化、女性力の向上、訓練方法の改善、個人種目選手の海外高地特訓、ドーピング検査強化の影響などがあげられていた。

(2004年8月22日収録、2008年8月16日メダル数ジンクス記事追加、8月17日柔道メダル数の表追加、8月25日更新、8月26日種目集計、コメント追加、2012年6月27日男女別金メダルのグラフ追加、7月23日ロンドン・オリンピックの項作成、7月25日女性選手比率コメント追加等、7/31・8/2・8/6・8/10・8/12・8/13更新、2012年8月14日コメント追加)



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