陸上男子100メートル走は、陸上競技の花形である。ここでは、陸上男子100mの世界記録と日本記録の推移を図録にした。

 日本では、2013年春に高校3年生の桐生祥秀(京都・洛南高)が、日本記録10秒00に0秒01まで迫る日本歴代2位の10秒01を記録した。日本記録は図の通り15年間「10秒の壁」を破ることができないでいる。この壁の突破は目前といわれるが、果たして、実現するだろうか。2015年3月28日の陸上記録会「テキサス・リレー」では桐生祥秀(東洋大)が追い風3.3メートルの参考記録とはいえ、9秒87と9秒9を切る値をマークした。風速が公認範囲だったら9秒96だったとする見方もある(東京新聞2015.3.30)。いずれは日本人初で10秒を切るだろう期待は高まっている。

陸上男子100メートル日本記録の変遷(電動計時による)
年次 記録 選手 所属 大会
1968年 10秒34 飯島秀雄 茨城県庁 メキシコ五輪
1987年 10秒33 不破弘樹 法大 東京国際ナイター
1988年 10秒28 青戸慎司 中京大 四大学対校
1990年 10秒27 宮田英明 東京農大二高 国体
1991年 10秒20 井上悟 日大 関東学生
1993年 10秒19 朝原宣治 同大 国体
1996年 10秒14 朝原宣治 大阪ガス 日本選手権
1997年 10秒08 朝原宣治 大阪ガス ローザンヌ・グランプリ
1998年 10秒00 伊東浩司 富士通 アジア大会
(追い風参考記録)
2015年 9秒87 桐生祥秀 東洋大 テキサス・リレー
(資料)東京新聞2014.1.5、2015.3.30

 世界では、1900年にはまだ100m走は11.2秒の記録に過ぎなかったが、その後、走るスピードは大きく向上した(The Economist July 18th 2015)。1960年6月21日 西ドイツのアルミン・ハリーが10秒0(手動)の世界新記録を樹立し、10秒0に到達したのち、8年間で9人の選手が10秒0を記録した。手動では、1968年に数人が10秒を切ったが、ついに、1968年10月14日米国のジム・ハインズがメキシコシティオリンピック100m決勝で9秒95(電動)を記録、10秒の壁を破った。これは標高2240mで記録された高地記録である。その後、1983年5月14日米国のカール・ルイスがカリフォルニア州モデストの競技会で9秒97(電動)を記録、平地ではじめて10秒の壁を破った(以上、Wikipediaによる)。その後の推移は、図や下表の通りである。

陸上男子100メートル世界記録の変遷
年次 記録 選手 国籍
1968年 9秒95 ジム・ハインズ 米国
1983年 9秒93 アルビン・スミス 米国
1988年 9秒92 カール・ルイス 米国
1991年 9秒90 リーロイ・バレル 米国
1991年 9秒86 カール・ルイス 米国
1994年 9秒85 リーロイ・バレル 米国
1996年 9秒84 ドノバン・ベイリー カナダ
1999年 9秒79 モーリス・グリーン 米国
2005年 9秒77 アサファ・パウエル ジャマイカ
2007年 9秒74 アサファ・パウエル ジャマイカ
2008年 9秒72 ウサイン・ボルト ジャマイカ
2008年 9秒69 ウサイン・ボルト ジャマイカ
2009年 9秒58 ウサイン・ボルト ジャマイカ
(資料)東京新聞201417

 1980年代後半から1990年代には、世界記録と日本記録の差は0秒4前後から0秒2前後へと縮まったが、その後、日本記録の更新が「10秒の壁」で進まなかったため、再度、差は0秒4ぐらいにまで広がっている。

 グラフの推移を見ると日本記録も世界記録もいったん記録更新がはじまり出すと一気にかなり記録更新が進む傾向があるように見える。「誰かが壁を破れば、後続がなだれを打つように続く」(東京新聞2014.1.5)という心理的要因のためなのか、あるいは、トラックやスパイクの進化など環境条件の変化のためなのか、いずれかなのだろう。

 世界記録がどこまで速くなるのかという点については図録3988k(人間はどこまで速く走れるのか)を参照。結論は女子の記録は上限に達しているが男子の場合はなお若干の伸びしろがあるというもの。限界の予知値は9秒48とされている。

 なおマラソンの世界記録については図録3989e参照。

(2014年1月7日収録、2015年3月30日更新、7月27日補訂)


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