2007年は徳川家康がはじめた朝鮮通信使400周年にあたり、日韓各地で記念する行事が開催された。行事のハイライトとして各地で17回の朝鮮通信使再現行列が催されたが、ここでは、それぞれの再現行列の行列人数をグラフにした(ページ末尾に一覧表を掲げた)。

 最大は釜山(プサン)の行列であり2000人規模となっていた。日本では、対馬市の400人が最大であり、地域ごとでは2日にわたり2回の行列が行われた静岡市が最大であった。

 内閣府世論調査によると「韓国に親しみを感じる者」の割合は、若者を中心に2007年には靖国参拝や竹島の問題による05〜06年の落ち込みから回復しているが、こうしたイベントの効果も多少とも影響していよう(図録7900、図録8855参照)。

 以下に全国の朝鮮通信使ゆかりの地の自治体でつくっている「朝鮮通信使縁地連絡協議会」のかつてのホームページ(現在はブログに変更)から400周年記念事業のまとめについて引用する。

○朝鮮通信使とは

 朝鮮国は、古代から日本との関係が深い国でしたが、豊臣秀吉の朝鮮侵攻により国交がとだえました。国内を統一した徳川家康は、朝鮮国との関係を回復しようと努力しました。対馬藩をなかだちにして和平交渉を重ねた結果、戦後、わずか10年で国交を回復し、1607年に朝鮮国王は日本に使節を派遣してきました。これが朝鮮通信使の始まりであり、以後、1811年まで12回来日しました。「通信」とは「信義を通わせる」という意味です。

(大行列に国中が大興奮)
 幕府は、朝鮮国王と国書を交わし、通信使を接待することで国の内外にその威信と権力を示そうとし、巨費を投じて最高の儀礼でもてなしました。通信使一行は正使、副使、従事官の3使をはじめ、学者など文化人や芸人たち総勢400〜500人の大使節団であり、ソウルを出発して半年から1年をかけて江戸まで往復しました(第2回は京都まで、第12回は対馬まで)。日本側の警護や荷役まで含めると3〜4千人の行列に国中は大興奮でした。儒学や書画、漢詩など学者や文化人の文化交流が行われたほか、一般の人々も異国情緒あふれた行列に関心を寄せ、沿道には大勢の人々が集まりました。そのため多くの絵画や揮毫、各地のお祭りに通信使行列の姿が遺されることになりました。

○朝鮮通信使400周年記念事業の実施について

 ソウルから江戸(東京)まで朝鮮通信使ゆかりの日韓各地で400周年記念事業が行われました。記念行事はゆかりの地(縁地)の自治体や実行委員会などによって実施されましたが、日本側で全体をまとめているのは、朝鮮通信使縁地連絡協議会(会長対馬市長、事務局対馬市観光交流課、全国の17自治体、32団体、11個人が加盟)であり、韓国側では(社)朝鮮通信使文化事業会(姜南周執行委員長、所在地プサン)が主な実施主体となっています。

 朝鮮通信使400周年記念事業は各地域の地方自治体や実行委員会などによって行われましたが、日韓両国の幅広い層による友好親善、相互交流、相互往来を促進するという観点から、政府、関係機関や国会議員もこうした記念事業を支援しました。

 日韓政府は日韓相互通信使(仮称)の派遣・交換といった事業を実施した他、日本の国土交通省はビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として各地の行事への協力を行い、韓国メディア招請などPR事業も実施しました(静岡、広島等の行事、こども通信使事業)。

 さらにJNTOは韓国語のホームページで「朝鮮通信使400周年」のコーナーを設け、朝鮮通信使の歴史や日本のゆかりの地の紹介や各地で行われる行事を韓国国民向けに広報しました。

 日本では朝鮮通信使縁地連絡協議会が広報スタッフを設け、ホームページ上で、日韓各地で行われた400周年記念事業についてPRし、マスコミ等の報道についても紹介しました。

日本における縁地連絡協議会HP
http://www.enchiren.net/
韓国におけるJNTOのHP
http://www.welcometojapan.or.kr/tong/

 また日韓双方で記念事業への支援を行う超党派の議員連盟として、06年4月には韓国で朝鮮通信使国会議員連盟(会長鄭義和)、9月には“朝鮮通信使”交流議員の会(会長河村建夫)が結成されており、両国の議員交流、市民との交流を深めながら各地の行事に参加するとともに、5月には静岡で開催された国際シンポジウムに有識者、両国学生とともに参加し意見を交換しました。

○大きな成果を生んだ多種多様な日韓交流

 朝鮮通信使ゆかりの地を中心に日韓各地で17回の朝鮮通信使再現行列が催されました(このページのトップに開催地の地図一覧、末尾に一覧表)。その他、 17カ所の博物館・美術館での特別展示、また国際シンポを含め20回のシンポジウム、青少年研修・交流が3種類、その他21イベント等が開催されました。

 こうした朝鮮通信使400周年記念事業の中で、市民、学生、こども、自治体、有識者、政治リーダーなど様々なレベルで、また各層間で多種多様な日韓の相互交流が行われました。

○マスコミ等の報道

 各地の行事については日韓双方の新聞、テレビ等で特集記事を含めさかんに報道されました。またNHKはニュースの他、ハイビジョン特集や教育テレビ、関西放送局で朝鮮通信使の歴史と意義についての番組を放送しました。さらに韓国ではKBSソウル、KBS釜山が特集番組を放映した他、人気番組「挑戦!ゴールデンベル」で日韓学生ペア出演の400周年記念特番を放送しました。

(2008年3月18日収録)


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朝鮮通信使再現行列イベント一覧表
順番 日付 地域 イベント名 行列人数 再現行列備考 情報源
1 4月15日 ソウル市 文化使節団漢陽大出発 170人(出発式)、50人(行列) ソウル昌慶宮(チャンギョングン)明政殿(ミョンジョンドン)で出発式。正使役:朴振(パク・ジン)朝鮮通信使国会議員連盟議員(ハンナラ党)、朝鮮国王役:中堅タレントのキム・ギソプ氏。仁寺洞(インサドン)で朝鮮通信使行列。 韓国・中央日報、NHK
2 5月5日 プサン市 朝鮮通信使平和の行列 2000人 通信使行列の他、日韓のお祭りパレードを含む。日本からも対馬市、山口県下関市、島根県浜田市、静岡市、長崎県、山口県といった自治体から160人が行列に参加 共同通信
3 5月19日 静岡市葵区 大御所四百年祭/朝鮮通信使400周年記念事業 330人 石川嘉延静岡県知事と正使役駐横浜韓国総領事館朴鍾吉(パク・ジョンチョル)総領事が国書交換。行列には韓国の大学生、公募の県民や県内の朝鮮学校生徒などが参加。 静岡市
4 5月20日 静岡市清水区 大御所四百年祭/朝鮮通信使400周年記念事業 280人 小嶋善吉静岡市長と正使役の在日本大韓民国民団静岡県地方本部姜再慶(カン・チェギョン)顧問が国書交換  静岡市
5 5月20日 福山市 福山ばら祭2007・ローズパレード 100人 福山祭委員会主催。市民有志や同市友好都市の韓国浦項(ポハン)市、在日本大韓民国民団。正使役:徐栄振(ソヨンジン)駐広島韓国総領事。通信使船の花車。 山陽新聞
6 8月5日 対馬市 厳原港まつり対馬アリラン祭 400人 正使:第8回通信使正使・趙泰億(チョテオク)の9代目子孫・趙東鎬(チョドンホ)氏、宗対馬守役:江口正昭・県対馬地方局長、国書交換 読売新聞
7 8月25日 下関市 馬関まつり 340人 正使役:釜山市国際諮問大使鄭海文氏、長州藩主役:下関市江島潔市長、信書交換。「21世紀の日韓こども通信使2007」の韓国こども通信使の小中学生約80名、「挑戦!ゴールデンベル」出演の韓国側高校生45名が参加 読売新聞
8 9月29日 東京都千代田区 江戸天下祭 140人 二十三台の山車や神輿(みこし)、巡行全体6000人。 東京新聞
9 10月8日 彦根市 国宝・彦根城400年祭/日韓交流フェスタin彦根 200人 国宝・彦根城400年祭実行委主催。正使:呉榮煥・駐大阪大韓民国総領事、井伊家第18代当主の井伊岳夫さんと国書交換。 京都新聞
10 10月14日 長野市 善光寺・表参道祭り/本堂再建300年 130人 善光寺、民団長野県本部共催。民団長野県本部と青商のメンバー、日本人ボランティアが参加。正使:民団中央本部呉公太副団長、副使:梁聖根長野本部監察委員長 民団新聞
11 10月20日 ソウル市 日韓交流おまつり 160人 日韓交流おまつりには、日韓の62団体約1800人が参加。 毎日新聞
12 10月21日 堺市 第34回「堺まつり」 220人 堺コンベンション協会主催。民団大阪・堺支部(呉時宗支団長)協賛。安土・桃山時代をおもわせる鉄砲隊を先頭に56団体が参加。農楽隊と通信使行列で220人。 堺観光コンベンション協会、民団新聞
13 10月21日 呉市下蒲刈 朝鮮通信使来日400周年記念再現行列 270人 地元住民約270人と韓国・富明情報産業高校の民族音楽演奏 毎日新聞
14 11月3日 京都市 朝鮮通信使京都再現行列 340人 民団京都府本部主催。正使役:呉栄煥・韓国大阪総領事、京都所司代役:二之湯智・参院議員(地元選出)。 読売新聞
15 11月10日 岡山市 日韓善隣友好フェスティバル in Okayama 200人 韓国の中学生や岡山、瀬戸内市民ら。正使役:李(リ)昌煕(チャンヒ)韓国慶尚南道政務副知事、徳川家将軍役:石井正弘知事とが国書交換 山陽新聞
16 11月11日 川越市 復活!唐人揃い−朝鮮通信使−多文化共生・国際交流パレード 360人 種々の団体の行列の総計。 毎日新聞
17 11月11日 瀬戸内市牛窓 牛窓エーゲ海フェスティバル2007 170人 正使役:駐神戸大韓民国総領事館イ・ギョンファン総領事、瀬戸内市立岡脩二市長と国書交換。「唐子踊」(岡山県重要無形民俗文化財)が10/28、地元の疫(やく)神社に奉納(山陽新聞) 瀬戸内市