国際比較意識調査のISSP2010年は環境をテーマにした設問を行っている。この中で、原子力発電所が環境にとって危険かどうかの意識を調べており、東日本大震災にともなう福島第一原発事故より以前の段階で、日本人がどの程度原発の危険性を意識していたかがうかがわれるので、これをグラフにした。

 なお、環境にとっての危険性という場合、放射能汚染の危険性という直接的なマイナス面と温暖化ガスの排出抑制による間接的なプラス面の両方が原理的には考えられるが、この設問が、原発以外の自動車排気ガス、農薬、水質汚染などが危険かどうかという問と並んで行われていることから、回答者は直接的なマイナス面を主に意識して回答していると考えられる。

 結果を見ると日本では原発の危険性をかなり小さく考えていたことが明かである。「極めて危険」と「かなり危険」の計では32カ国中、チェコ、スウェーデン、英国に次ぐ下から4番目となっている。日本の1つ上にフランスがいる。地震の多い国としては原発の危険性に対する異例の過小評価だったと言わざるをえない(図録4380)。

 危険性を強く意識している国としては、チリ、トルコ、メキシコ、アルゼンチンと途上国が多い。西欧の中では、世界一でもあるオーストリアに次いでスイス、スペイン、ドイツなどで危険性を強く意識していることが分かる。

 原発がないのに危険性の意識が最大のオーストリアは、チョルノブイリ原発事故の影響で酪農などが被害を受けた実績があることに加えて、近隣の東欧諸国の原発事故の影響を恐れているからだと思われる。スウェーデンなど北欧の危険性の意識が比較的低いのは自国原発への信頼に加えて、近隣国の原発から離れていることも影響していると考えられる。

 調査対象は32カ国であり、「極めて危険」と「かなり危険」の計の大きい順に掲げると、オーストリア、チリ、トルコ、メキシコ、アルゼンチン、クロアチア、スイス、イスラエル、フィリピン、南アフリカ、スロベニア、ラトビア、ロシア、スペイン、ドイツ、リトアニア、ノルウェー、ブルガリア、台湾、ニュージーランド、スロバキア、フィンランド、カナダ、米国、デンマーク、韓国、ベルギー、フランス、日本、英国、スウェーデン、チェコである。

(2013年1月7日収録、1月16日コメント追加)


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