2011年の福島第一原発事故後、再生可能エネルギーへの期待が高まったいるがそのうちのひとつである地熱発電について図録を作成した。

 地下から高温の熱水を取り出しタービンを回して発電する地熱発電には、地中から取り出した蒸気を直接使用する「蒸気発電」と、低沸点の物質ペンタン(沸点約36度)など2次流体を沸騰させる熱源として地下の余り高温でない熱水を使う「バイナリー(サイクル)発電」とがある。

 地熱発電のメリットとしては、

@純国産で海外からの資源調達の必要がない
A自然エネルギーの中で太陽光や風力の設備稼働率が10〜20%と低いのに対して地熱の場合は70%と高い
B全電源中、二酸化炭素の排出量が最も少ない

といった点があげられる(東京新聞2012年5月13日による。以下同様)。

 火山の多い日本では地熱資源量が2,347kWと米国やインドネシアとともに世界3大地熱大国のひとつとみなされている。ところが、2010年の日本の地熱発電設備容量は53.6kWと地熱資源量が比較的多い図中8か国の中でも最小となっている。世界全体で地熱発電の導入が増えている中で日本の場合は地熱発電所の開発の遅れから地熱発電量の横這いが続いているためである。

 開発が遅れている理由としては、

@掘った井戸が熱水の存在する岩盤の亀裂に当たるかは不確かなため生じる開発リスクの高さ(開発コストの大きさ)
A地熱発電の8割が開発規制のかかった国立・国定公園内
B「温泉への悪影響」を懸念する声の存在

があげられ、このため、1999年の八丈島以来、新規の発電所が誕生していない。現状の地熱発電所は以下の17カ所である。


 ところが、大震災以降、地熱発電開発への追い風が以下のように吹くようになっているので今後は増加が見込まれる。

@国が再生可能エネルギーのひとつとして調査費などの開発支援の取り組みを強化
A国(環境省)が2012年から地元の同意など条件付きで保護エリア以外の掘削を容認(当初検討された公園外から公園内への斜め掘りの規制緩和は当たる確率の低下とコストアップのため促進方策からはずれる)
B2012年7月から再生可能エネルギーの買い取り制度スタート

 新規地熱発電所としては、秋田県湯沢市の山葵沢地区に淵源開発、三菱マテリアル、三菱ガス化学の3社が2020年稼働へ向け新規建設を計画中。また湯布院の旅館でも既存の温泉熱を利用したバイナリー発電の施設を2012年中に設置予定。

 図録で取り上げた主要国8か国は具体的には米国、インドネシア、日本、フィリピン、メキシコ、アイスランド、ニュージーランド、イタリアである。また国内17地熱発電所は、具体的には、森(北海道森町)、松川(岩手県八幡平市)、葛根田1、2号(岩手県雫石町)、鬼首(宮城県大崎市)、大沼(秋田県鹿角市)、澄川(秋田県鹿角市)、上の岱(秋田県湯沢市)、柳津西山(福島県柳津町)、八丈島(東京都八丈町)、杉乃井(大分県別府市)、大岳(大分県九重町)、九重(大分県九重町)、八丁原1、2号(大分県九重町)、八丁原バイナリー発電設備(大分県九重町)、霧島国際ホテル(鹿児島県霧島市)、大霧(鹿児島県霧島市)、山川(鹿児島県指宿市)である。

(2012年5月23日収録)


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