気象庁は、近年、全国を対象とした同庁と同等の情報提供が民間気象事業者から行われていることを理由に、これまで行ってきたさくらの開花予想の発表について、2010年春から行わないこととした。ただし、生物に及ぼす気候の影響を知ることを目的としたさくらの開花の観測(生物季節観測−図録4344参照)は引き続き行うこととした。そこで、当図録は、桜の開花予想日ではなく、開花日(観測日)を気象庁の発表に基づき掲載することとしている。

 2018年は高知で3月14日に最初にソメイヨシノが開花し、宮崎がその翌日に開花した。昨年と比べると2週間ほど早い開花であり、開花の平年日と比べてもかなり早くなっている。

 東京も3月17日の午後には開花した。3月17日の開花は戦後2番目に早い日の開花である。仙台も3月30日と戦後2番目に早い日の開花となった(下図参照)。

 仙台、山形までは例年より早く開花となったが、秋田、盛岡は4月17日と遅くなっており、北東北以北では昨年並みの開花となった。

(昨年のコメント)

 2017年は3月21日に東京で真っ先にソメイヨシノの開花が観察された。次に開花したのは福岡と横浜であり、4日後のことであった。

 全体的に本来開花が早い西日本で開花が遅れ、開花が遅い地域では平年日に近いか、あるいは平年日より早く開花するという傾向だった。

 西日本でも特に鹿児島の開花が遅いのが目立っていた。鹿児島の開花は、「鹿児島地方気象台によると、平年より10日遅く、1953年に観測を始めて以来、最も遅かった。これまでは88年と2005年の4月3日だった。(中略)鹿児島地方気象台の服部紀文・気象情報官は、鹿児島市での開花が遅れた理由について「花芽の目覚めには11〜12月に冷え込む必要があるが、今冬は例年より気温が高かった。さらに3月の気温が低く、花芽の発育に影響があったのでは」とみている」(朝日新聞2017年4月5日)。

(桜の開花の早期化)

 東京と仙台の開花日の長期変化を以下に掲げた(図録4346から再掲)。近年、温暖化の影響で桜の開花日が早まってきていることが分かる。


 【過去のコメント】 
(2016年のコメント)

 2016年は3月19日に福岡で最初にソメイヨシノの開花が観察された。東京は3月21日に開花となった。東京・千代田区の靖国神社では、21日昼前、気象庁の担当者がサクラの開花の目安にしているソメイヨシノに6輪以上の花が咲いているのを確認し、気象庁は「東京でサクラが開花した」と発表した(NHK3月21日11時7分)。東京での開花は平年より5日、去年より2日早くなった。おおむね、どの地域でも平年、あるいは昨年より開花が早いが、高知、大分、静岡、下関、徳島のように平年、昨年より遅れて開花した地域もある。南の地域でかえって開花が遅れたのはサクラの開花の前段階として必要な真冬の寒さによる休眠打破が温暖化で十分でなかったためと報じられた。

(2014年コメント)

 2014年最初のソメイヨシノの開花報告は高知市から3月18日と昨年の3月15日より3日遅れ、平年よりは4日早くなされた。高知、九州以東では平年並みに近づいたが、仙台、盛岡、札幌などは再度開花が平年より早かった。

(2013年コメント)

 2013年の最初のソメイヨシノの開花報告は福岡管区気象台から3月13日と昨年の3月27日より大幅に早くなされた。靖国神社境内の標本による東京も3月16日に平年より10日も早く開花した。これは1927(昭和2)年の観測開始以来、2002年と並んで早いという(東京新聞2013.3.17)。彦根は開花が他地域より遅れ、平年より3日早いだけだった。また東北地方は平年開花日に近づいており、仙台の開花は4月9日だった。山形は平年日と同じになり、秋田、盛岡は平年日を過ぎた開花となった。また北海道の函館、札幌、室蘭も平年日から大きく遅れた開花となった。

(2012年のコメント)

 2012年最初の開花観測日となったのは例年より1日早い高知、3月21日開花であったが、その後、各地の開花は平年よりやや遅れがちである。九州では平年の開花日よりやや遅れがちであったのが、関東・北陸では開花日が平年の満開日あたりかそれ以降となってきており、さくら前線の北上自体も遅延傾向にある。

(2011年のコメント)

 2011年の桜(ソメイヨシノ)の開花日については、九州各県や静岡は平年より早かったが、東京、甲府から室蘭にかけて、ほぼ平年並みに開花が進んでいる。地域により多少の遅速はある。京都や彦根は例年より早く、銚子、宇都宮、松江などは例年より遅く桜が咲いている。

 二もとの梅に遅速ちそくを愛す哉 蕪村

 早く咲く梅もよいし、遅く咲く梅もよいと蕪村は詠んだ。2011年の春、被災地にもそうでない土地にも遅かれ早かれ咲いた花に人々は何らかの感慨を抱いたと思う。

(2009年のコメント)

 気象庁によって18日に発表された2009年の桜(ソメイヨシノ)の開花予想(第3回)によると、東日本、西日本ともに暖冬の影響で「平年より早い地域が多い」と予想されている。

 既に福岡では3月13日に最も早く開花した。次いで高知、熊本、宮崎でも3月16日に開花している。

 東京は昨年の開花日より1日早く、平年より7日早い21日。大阪は昨年より1日早く、平年より5日早い25日と予想されている。開花予想は第1回〜2回よりも早まっている。

 昨年の2008年は、東京、静岡、名古屋などで3月22日に全国に先駆けて開花し、本格的な花見シーズンが開幕した。九州はこれに遅れ、鹿児島などは3月28日開花となった。

(2008年のコメント)

 気象庁によって発表された九州から関東・東北にかけての2008年の桜(ソメイヨシノ)の開花予想によると、ほぼ全国的に平年より早い開花が見込まれている。

 ただ例年であると高知県や九州各県から桜前線が北上するパターンであるが、本年は、3月23日に東京・静岡などが全国のトップを切って開花し、鹿児島、宮崎はむしろ関東に逆転する予想となった。

 実際も東京、静岡、名古屋などで3月22日に全国に先駆けて開花し、本格的な花見シーズンが開幕した。九州はこれに遅れ、鹿児島などは3月28日開花となった。

 毎日新聞2008.3.29夕によれば、「開花が東と西で逆転した理由は、1年を通して温暖だからといって必ずしも早咲きになるとは限らない桜の特性にある。開花に不可欠なのは、冬の寒さとその後の気温上昇。桜の成長は秋になると止まり、冬季の一定期間、5度前後の気温にさらされると眠りから目覚める「休眠打破」という現象が起こる。春に向かう季節に気温が上昇するほど、開花が促される仕組みだ。

 しかし、この冬の西日本は寒さが必要な昨年11月から今年1月に気温が十分に下がらず、気温の上昇でつぼみが膨らむはずの2月の気温も平年より1度低かった。そのため、西日本の開花は遅めとなり、一方で気温の変動が比較的開花に支障をきたさなかった東日本から東北では早咲きが際立つ傾向となっている。特に盛岡では平年より9日も早く(4月14日)、予想通り開花すれば統計開始から5番目の早さとなる。

 東京より6日遅れで開花した鹿児島は、もともと冬も温暖なため、特に暖冬だった昨年、今年と遅咲き傾向が顕著になっている。」

(2007年のコメント)

 気象庁によって発表された関東から九州にかけての2007年の桜(ソメイヨシノ)の開花予想によると、ほぼ全国的に平年より早い開花が見込まれている。記録的な暖冬の影響によって開花が促進されているという(毎日新聞2007.3.8)。

 3月7日発表の時点では最も開花の早い13日の静岡、そしてこれに次ぐ17日の高松、松山など、予想通り開花すれば、それぞれの地点で1953年に統計がとられはじめてから最も早い開花となるとされたいたが、これらと東京を含む4都市でデータミスがあって、予想日が14日には訂正された。

 例年だと、高知が最も開花が早く、これに熊本、宮崎、長崎、鹿児島が続くが、本年はこうした西南暖地は平年並か、平年より遅れた開花であり、むしろ太平洋岸や瀬戸内地域の方が開花が早くなる予想である。桜は一定期間5度前後の低温にさらされ休眠からさまされないと開花へ向けた成長がはじまらないという。非常に暖かった宮崎、鹿児島では休眠からの目覚めが余りに不十分であったことがこうした開花の遅れにつながったとされる。

 7日発表後、寒さがぶり返したので、14日の予想日は全体として数日遅れることとなった。

 各地のサクラまつり等では開催日が決まっているので、行事の際にサクラが散っているのではと心配し、日程変更する地域もあったが、訂正と新予想で再度の訂正や復旧を行う自治体もあるという。

 図で取り上げた48都市は、平年開花日順に、高知、熊本、福岡、宮崎、長崎、佐賀、大分、静岡、松山、鹿児島、名古屋、和歌山、東京、横浜、岐阜、広島、甲府、下関、徳島、神戸、大阪、高松、京都、熊谷、岡山、奈良、津、前橋、鳥取、銚子、松江、宇都宮、水戸、彦根、福井、金沢、富山、福島、新潟、仙台、長野、山形、秋田、盛岡、青森、函館、札幌、室蘭である。

(2007年3月10日収録、3月15日訂正・更新、2008年3月29日データ・コメント更新、2009年3/5・3/11・3/18・3/25更新、2011年3月30日開花予想日を開花日に変更して更新、4/1〜5/8逐次更新、6/1さくら前線の経年変化図追加、2012年3/21更新・平年日変更、3/24〜5/12逐次更新、2013年3/13〜5/24逐次更新、2014年3/18〜4/30逐次更新、2016年3/22〜4/27逐次更新、2017年3/21〜5/2逐次更新、2018年3/17以降逐次更新、3月17日さくら前線図を新規図録である図録4346に移管)


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