気象庁は、近年、全国を対象とした同庁と同等の情報提供が民間気象事業者から行われていることを理由に、これまで行ってきたさくらの開花予想の発表について、2010年春から行わないこととした。ただし、生物に及ぼす気候の影響を知ることを目的としたさくらの開花の観測(生物季節観測−図録4344参照)は引き続き行うこととした。そこで、当図録は、桜の開花予想日ではなく、開花日(観測日)を気象庁の発表に基づき掲載することとしている。

 2017年は3月21日に東京で真っ先にソメイヨシノの開花が観察された。次に開花したのは福岡と横浜であり、4日後のことであった。

 全体的に本来開花が早い西日本で開花が遅れ、開花が遅い地域では平年日に近いか、あるいは平年日より早く開花するという傾向だった。

 西日本でも特に鹿児島の開花が遅いのが目立っていた。鹿児島の開花は、「鹿児島地方気象台によると、平年より10日遅く、1953年に観測を始めて以来、最も遅かった。これまでは88年と2005年の4月3日だった。(中略)鹿児島地方気象台の服部紀文・気象情報官は、鹿児島市での開花が遅れた理由について「花芽の目覚めには11〜12月に冷え込む必要があるが、今冬は例年より気温が高かった。さらに3月の気温が低く、花芽の発育に影響があったのでは」とみている」(朝日新聞2017年4月5日)。

 以下には4月1日段階のさくら前線の経年的な北上の様子を示した。さくらの開花の時期は、地球温暖化の影響により(図録4333)、春先の気温の変化にともなって早まってきている。1960年代の4月1日には、三浦半島から紀伊半島にかけての本州の太平洋沿岸と四国、九州でさくらが開花していた。それが最近10年間では同じ時期に関東、東海、近畿、中国地方でも開花するようになってきている(気象庁HPによる)。


(2016年のコメント)

 2016年は3月19日に福岡で最初にソメイヨシノの開花が観察された。東京は3月21日に開花となった。東京・千代田区の靖国神社では、21日昼前、気象庁の担当者がサクラの開花の目安にしているソメイヨシノに6輪以上の花が咲いているのを確認し、気象庁は「東京でサクラが開花した」と発表した(NHK3月21日11時7分)。東京での開花は平年より5日、去年より2日早くなった。おおむね、どの地域でも平年、あるいは昨年より開花が早いが、高知、大分、静岡、下関、徳島のように平年、昨年より遅れて開花した地域もある。南の地域でかえって開花が遅れたのはサクラの開花の前段階として必要な真冬の寒さによる休眠打破が温暖化で十分でなかったためと報じられた。

(2014年コメント)

 2014年最初のソメイヨシノの開花報告は高知市から3月18日と昨年の3月15日より3日遅れ、平年よりは4日早くなされた。高知、九州以東では平年並みに近づいたが、仙台、盛岡、札幌などは再度開花が平年より早かった。

(2013年コメント)

 2013年の最初のソメイヨシノの開花報告は福岡管区気象台から3月13日と昨年の3月27日より大幅に早くなされた。靖国神社境内の標本による東京も3月16日に平年より10日も早く開花した。これは1927(昭和2)年の観測開始以来、2002年と並んで早いという(東京新聞2013.3.17)。彦根は開花が他地域より遅れ、平年より3日早いだけだった。また東北地方は平年開花日に近づいており、仙台の開花は4月9日だった。山形は平年日と同じになり、秋田、盛岡は平年日を過ぎた開花となった。また北海道の函館、札幌、室蘭も平年日から大きく遅れた開花となった。

(2012年のコメント)

 2012年最初の開花観測日となったのは例年より1日早い高知、3月21日開花であったが、その後、各地の開花は平年よりやや遅れがちである。九州では平年の開花日よりやや遅れがちであったのが、関東・北陸では開花日が平年の満開日あたりかそれ以降となってきており、さくら前線の北上自体も遅延傾向にある。

(2011年のコメント)

 2011年の桜(ソメイヨシノ)の開花日については、九州各県や静岡は平年より早かったが、東京、甲府から室蘭にかけて、ほぼ平年並みに開花が進んでいる。地域により多少の遅速はある。京都や彦根は例年より早く、銚子、宇都宮、松江などは例年より遅く桜が咲いている。

 二もとの梅に遅速ちそくを愛す哉 蕪村

 早く咲く梅もよいし、遅く咲く梅もよいと蕪村は詠んだ。2011年の春、被災地にもそうでない土地にも遅かれ早かれ咲いた花に人々は何らかの感慨を抱いたと思う。

(開花予想日を掲載していた頃の過去のコメント)

 2008年は、東京、静岡、名古屋などで3月22日に全国に先駆けて開花し、本格的な花見シーズンが開幕した。九州はこれに遅れ、鹿児島などは3月28日開花となった。

 毎日新聞2008.3.29夕によれば、「開花が東と西で逆転した理由は、1年を通して温暖だからといって必ずしも早咲きになるとは限らない桜の特性にある。開花に不可欠なのは、冬の寒さとその後の気温上昇。桜の成長は秋になると止まり、冬季の一定期間、5度前後の気温にさらされると眠りから目覚める「休眠打破」という現象が起こる。春に向かう季節に気温が上昇するほど、開花が促される仕組みだ。

 しかし、この冬の西日本は寒さが必要な昨年11月から今年1月に気温が十分に下がらず、気温の上昇でつぼみが膨らむはずの2月の気温も平年より1度低かった。そのため、西日本の開花は遅めとなり、一方で気温の変動が比較的開花に支障をきたさなかった東日本から東北では早咲きが際立つ傾向となっている。特に盛岡では平年より9日も早く(4月14日)、予想通り開花すれば統計開始から5番目の早さとなる。

 東京より6日遅れで開花した鹿児島は、もともと冬も温暖なため、特に暖冬だった昨年、今年と遅咲き傾向が顕著になっている。」

 図で取り上げた48都市は、平年開花日順に、高知、熊本、福岡、宮崎、長崎、佐賀、大分、静岡、松山、鹿児島、名古屋、和歌山、東京、横浜、岐阜、広島、甲府、下関、徳島、神戸、大阪、高松、京都、熊谷、岡山、奈良、津、前橋、鳥取、銚子、松江、宇都宮、水戸、彦根、福井、金沢、富山、福島、新潟、仙台、長野、山形、秋田、盛岡、青森、函館、札幌、室蘭である。

(2007年3月10日収録、3月15日訂正・更新、2008年3月29日データ・コメント更新、2009年3/5・3/11・3/18・3/25更新、2011年3月30日開花予想日を開花日に変更して更新、4/1〜5/8逐次更新、6/1さくら前線の経年変化図追加、2012年3/21更新・平年日変更、3/24〜5/12逐次更新、2013年3/13〜5/24逐次更新、2014年3/18〜4/30逐次更新、2016年3/22〜4/27逐次更新、2017年3/21〜5/2以降逐次更新)


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