主要各国の経済状況が好調かどうかを、各国の国民がどう感じているかから示した。資料は米国のピューリサーチセンターが毎年行っている各国調査による。経済学者はともかく各国の政治家にとってはGDPなどの経済指標よりこちらのほうが重要かもしれない。

 中国を除く各国では2007年から2009年にかけて自国経済を好調と考える者は大きく減少しており、米国における2007年のサブプライム住宅ローン危機、および2008年秋のリーマンショックの後の世界経済の低迷が各国で大きなダメージだったことがうかがえる。2009年には経済不況が深まる中で例年の春調査に加えて秋にも調査が行われている。

 主要国の中でいち早く経済低迷から脱したのは、ドイツである。ドイツでは2010年には経済が好調と考えるものが50%に近づき、2011年以降は、ほぼ7割前後以上が経済好調と感じるようになっている。

 ドイツ以外の欧州各国では2009年10月のギリシャ政権交代による国家財政の粉飾決算の暴露から始まる2010年以降の長引く欧州債務危機により、経済回復は遅れ、英国は2014年から、イタリアは2016年からやっと持ち直している(もっともイタリアは2017年に再度悪化)。フランスはなかなか持ち直せていない。

 なお、米国は2012年以降経済は回復軌道に乗っていると感じられている。

 日本はリーマンショック以降、2009年からの民主党政権期をへて2012年までは経済不調が続いたが、同年末に政権について安倍内閣がアベノミクスという名の経済対策を展開すると経済は好転し、国民意識上も2013年から経済好調の意見が多くなった。2014年4月に消費税を8%に引き上げた頃から経済状態はピークを過ぎ、円安が進んでいた2015年にはまだよかったが2016年からは英国のEU離脱などによる円高回帰の傾向もあって、やや不調に転じた。もっとも2017年は再度上げ傾向となっている。

 中国の国民は少なくとも2007年以降一貫して8割以上が経済好調と考えており(2002年夏の同調査によるとこの値は52%とそれほど高くなかった)、これが中国政府の政権維持のための基盤となっていると考えられる。2016年に入ると経済成長率では中国経済は失速を始めているが、意識上はなお経済好調との認識が崩れていない。

 経済が好調かどうかの認識と実際の失業率とが、国別に、どのように相関しているかを図録4513に掲げたので参照されたい。

 参考までに、さらにその他7カ国について縦軸のスケールを同じにした図を掲げた。こちらでは2016年春に調査が行われたのはポーランド、スペインの2カ国に過ぎなかった点に注意が必要である。下降傾向のブラジル、上昇傾向のトルコ、インドネシア、変動の激しいロシア、ポーランド、低空飛行のメキシコ、長期低迷からやや回復したスペインといった特徴が見られる。いずれも、レベルとして、中国、ドイツほどの好調さはない。


 調査対象は7か国、具体的には、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、中国である。追加7カ国は、ポーランド、スペイン、ロシア、インドネシア、トルコ、ブラジル、メキシコである。

(2016年8月22日収録、2017年6月6日更新、第2図7カ国追加)


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テーマ 景気
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