世界190カ国の所得水準、経済発展度を示す人口1人当たりのGDPを上位から順に並べた図を作成した。資料はIMF, World Economic Outlook Database、およびこれにデータがない北朝鮮、キューバはCIA, The World Factbookで補った。

 1人当たりのGDPの指標には、現地通貨ベースのGDPをその時の為替レートで米国ドルに換算したものと、購買力平価(PPP)、すなわち一定の種類と量の財・サービスを購買するために各国の通貨がどのくらい必要かのレートで換算したものとがある。単純に経済力を測るためには前者が用いられるが、国民にとっての豊かさや富の量を実質比較するときは後者がしばしば用いられる。ここでは、前者を用いた。(後者を使った例としては平均寿命との相関を図録1620で、また貧富の格差との相関を図録4650で示した。)

 1人当たりGDPの世界1位はルクセンブルク、第2位以下はノルウェー、カタール、スイス、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、サンマリノ、シンガポール、アイルランド、米国と続いている。米国は11位、日本は27位である。カタール、クウェートといった産油国が3位、22位と上位に入っている。

 日本をはじめ先進国の1980年以降の順位の変化については図録4542を参照されたい。

 ルクセンブルクの1人当たりGDPランキングには過当評価の側面がある点については下のコラムを参照されたい。ノルウェーは北海油田からの石油・天然ガスの輸入収入が大きく貢献している。

 1人当たりGDPが1万ドル以上の国はコスタリカまでの68カ国である。2010年の中国のGDP規模が日本を追い抜いて世界第2位に躍進した(図録j006)。しかし、上図のように80位である中国の1人当たりGDPの水準は、なお、日本の0.21倍である。

 1人当たりGDPが456ドル以下は1日1.25ドル以下の貧困国であるが、コンゴ民主共和国からブルンジまでの6カ国がこれに当たっている。

 GDPに計上されないシャドーエコノミーを考慮するとこのランキングはかなり変更を迫られる。例えばロシアやタイはシャドー率が50%以上なので1人当たりGDPも2倍以上ということとなる(図録4570参照)。

【コラム】GDPと国民所得

 GDP(国内総生産)は「国内」概念、国民所得(GNI)は「国民」概念である。日本のGDPには日本国内での経済活動があらわされており、外国人(及び外国企業−外国企業の日本子会社は外国企業ではない−)が日本で得た投資収益、雇用者所得なども含まれる。逆に、日本の国民所得には、日本人(及び日本企業)が国内ばかりでなく外国で得た投資収益、雇用者所得が含まれる。人口でいえば前者は昼間人口ベース、後者は夜間人口ベースに当たる。

 昼夜間人口比率に当たるGDP対国民所得比のランキングを以下に掲げた(IMFデータベースではGNIが得られないので世界銀行のデータベースを使用している)。ルクセンブルクの値が1.44と群を抜いて高くなっているのは、フランス人、ドイツ人といった周辺の国民の多くがルクセンブルクで働き、経済活動を行っているからである。

OECD高所得国のGDPと国民所得の比較(2010年)
  順位 実額(ドル) GDP対
国民所得比
1人当たり
GDP
1人当たり
国民所得
1人当たり
GDP
1人当たり
国民所得
1 ルクセンブルク 1 3 103,574 71,860 1.44
2 アイスランド 16 19 39,522 33,920 1.17
3 オーストラリア 5 11 51,086 45,850 1.11
4 ニュージーランド 20 21 32,407 29,140 1.11
5 アイルランド 10 14 45,873 42,370 1.08
6 カナダ 9 13 46,212 43,250 1.07
7 イスラエル 22 22 28,522 27,270 1.05
8 韓国 26 26 20,540 19,720 1.04
9 チェコ 27 27 18,910 18,390 1.03
10 日本 13 16 43,063 42,050 1.02
11 スロバキア 28 28 16,036 16,030 1.00
12 ハンガリー 30 30 12,863 12,860 1.00
13 エストニア 29 29 14,062 14,150 0.99
14 ノルウェー 2 1 85,443 86,390 0.99
15 ポーランド 31 31 12,303 12,450 0.99
16 米国 8 7 46,612 47,360 0.98
17 ポルトガル 25 25 21,358 21,810 0.98
18 ギリシャ 23 23 25,832 26,390 0.98
19 スウェーデン 6 5 49,360 50,780 0.97
20 スイス 3 2 70,561 73,340 0.96
21 オランダ 7 6 46,623 48,580 0.96
22 スロベニア 24 24 22,898 23,910 0.96
23 オーストリア 11 9 44,916 47,070 0.95
24 スペイン 21 20 29,956 31,450 0.95
25 イタリア 19 18 33,787 35,550 0.95
26 デンマーク 4 4 56,486 59,590 0.95
27 英国 18 17 36,256 38,430 0.94
28 ベルギー 14 10 43,006 45,990 0.94
29 フィンランド 12 8 43,864 47,130 0.93
30 フランス 17 15 39,170 42,190 0.93
31 ドイツ 15 12 40,164 43,280 0.93
(注)1人当たりGDPは、GDP per capita (current US$)、1人当たり国民所得はGNI per capita, Atlas method (current US$)。高所得国は世銀の定義による。
(資料)World Bank, World Development Indicators 2013.3.20


 NHKのBS番組の地球アゴラ「小さな国の世界一!」(2013.3.17)では、ルクセンブルクのコーヒーやぶどう酒の消費量世界一であるのは昼間人口の消費量を夜間人口1人当たりで計算するからだと紹介されていたが、GDP対国民所得比の高さも同様の理由による(コーヒーの消費量は図録0478参照)。従って、厳密には、国民の豊かさの尺度としては「1人当たり国民所得」の方が適切だといえる。生産に着目した場合はGNPよりGDPの方が適切なのでGDPが主とされるようになり、この結果、便宜上、所得水準も1人当たりGDPであらわされるようになったわけである。

 なお、NHKの上記番組では、ルクセンブルクは企業誘致のため消費税や法人税を周辺より低率にしており、この結果、立地した企業や店舗に周辺のベルギー、フランス、ドイツから働きに来たり、買物に来たりする者が多く、この結果、ルクセンブルク人は昼間は職場や店でフランス語を話し、夜は家庭でルクセンブルク語を喋るという生活が珍しくない状況となっているとも紹介されていた。

 取り上げている190カ国は、具体的には、1人当たりGDPの大きい順に、ルクセンブルク、ノルウェー、カタール、スイス、オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、サンマリノ、シンガポール、アイルランド、米国、アイスランド、オランダ、オーストリア、カナダ、フィンランド、ドイツ、ベルギー、英国、フランス、ニュージーランド、クウェート、アラブ首長国連邦、ブルネイ、香港、イスラエル、日本、イタリア、スペイン、韓国、バーレーン、キプロス、マルタ、サウジアラビア、スロベニア、バハマ、台湾、ポルトガル、ギリシャ、トリニダードトバゴ、オマーン、エストニア、赤道ギニア、チェコ、スロバキア、ウルグアイ、リトアニア、ラトビア、バルバドス、セーシェル、チリ、ポーランド、セントクリストファーネビス、アンティグアバーブーダ、パラオ、ハンガリー、クロアチア、アルゼンチン、ロシア、カザフスタン、ブラジル、ガボン、パナマ、レバノン、マレーシア、メキシコ、トルコ、コスタリカ、モーリシャス、ルーマニア、スリナム、グレナダ、モルディブ、トルクメニスタン、セントルシア、ベラルーシ、アゼルバイジャン、コロンビア、ブルガリア、中国、ドミニカ、モンテネグロ、ボツワナ、キューバ、ベネズエラ、リビア、セントビンセント・グレナディーン、イラク、南アフリカ、ドミニカ共和国、ペルー、エクアドル、ナミビア、セルビア、タイ、マケドニア、アルジェリア、ヨルダン、イラン、アンゴラ、ジャマイカ、フィジー、アルバニア、ベリーズ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、チュニジア、パラグアイ、サモア、トンガ、モンゴル、東ティモール、スワジランド、エルサルバドル、アルメニア、ガイアナ、グアテマラ、カボベルデ、スリランカ、マーシャル諸島、インドネシア、ツバル、モロッコ、エジプト、ナイジェリア、コンゴ、バヌアツ、ウクライナ、ミクロネシア、ボリビア、フィリピン、シリア、ブータン、ホンジュラス、モルドバ、パプアニューギニア、ベトナム、ウズベキスタン、ソロモン諸島、スーダン、ニカラグア、ザンビア、サントメプリンシペ、ラオス、ジブチ、キリバス、インド、イエメン、ガーナ、コートジボワール、ケニア、カメルーン、モーリタニア、パキスタン、南スーダン、キルギス、チャド、ミャンマー、バングラデシュ、レソト、北朝鮮、タジキスタン、カンボジア、セネガル、ジンバブエ、タンザニア、コモロ、ハイチ、ベニン、シエラレオネ、マリ、ブルキナファソ、ウガンダ、ルワンダ、ネパール、トーゴ、アフガニスタン、ギニアビサウ、モザンビーク、エチオピア、エリトリア、ギニア、リベリア、ニジェール、コンゴ民主共和国、マダガスカル、ガンビア、中央アフリカ、マラウイ、ブルンジである。

(2006年12月4日収録、2008年10月29日更新、2011年1月22日更新、データ出所を世界銀行からIMFに変更、2011年10月7日更新、12月30日順位表彰を下から上に、2012年4月6日対数つづら折れ図から非対数棒グラフに変更、7月18日キューバ追加、11月28日更新、2013年3月23日コラム追加、3月27日同コラムOECDは高所得国のみである点を明確化、10月9日更新、2014年10月8日更新、2015年10月14日更新)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 経済・GDP
テーマ  
図録書籍 図書案内




既刊第1弾


既刊第2弾
アマゾン検索

 
(ここからの購入による紹介料を通じたサイト支援にご協力下さい)