世界186カ国の所得水準、経済発展度を示す人口1人当たりのGDPを上位から順に並べた図を作成した。資料はIMF, World Economic Outlook Database、およびこれにデータがない北朝鮮、キューバはCIA, The World Factbookで補った。

 1人当たりのGDPの指標には、現地通貨ベースのGDPをその時の為替レートで米国ドルに換算したものと、購買力平価(PPP)、すなわち一定の種類と量の財・サービスを購買するために各国の通貨がどのくらい必要かのレートで換算したものとがある。単純に経済力を測るためには前者が用いられるが、国民にとっての豊かさや富の量を実質比較するときは後者がしばしば用いられる。ここでは、前者を用いた。(後者を使った例としては平均寿命との相関を図録1620で、また貧富の格差との相関を図録4650で示した。)

 1人当たりGDPの世界1位はルクセンブルク、第2位以下はカタール、ノルウェー、スイス、オーストラリア、アラブ首長国連邦と続いている。米国は14位、日本は17位である。カタール、アラブ首長国連合といった産油国がトップ10に入っている。

 ルクセンブルクの1人当たりGDPランキングには過当評価の側面がある点については下のコラムを参照されたい。

 1人当たりGDPが1万ドル以上の国はマレーシアまでの64カ国である。2010年の中国のGDP規模が日本を追い抜いて世界第2位に躍進した(図録j006)。しかし、上図のように中国の1人当たりGDPの水準は、なお、日本の0.12倍である。

 1人当たりGDPが365ドル以下は1日1ドル以下の貧困国であるが、エチオピアからコンゴ民主共和国までの4カ国がこれに当たっている。

 GDPに計上されないシャドーエコノミーを考慮するとこのランキングはかなり変更を迫られる。例えばロシアやタイはシャドー率が50%以上なので1人当たりGDPも2倍以上ということとなる(図録4570参照)。

【コラム】GDPと国民所得

 GDP(国内総生産)は「国内」概念、国民所得(GNI)は「国民」概念である。日本のGDPには日本国内での経済活動があらわされており、外国人(及び外国企業−外国企業の日本子会社は外国企業ではない−)が日本で得た投資収益、雇用者所得なども含まれる。逆に、日本の国民所得には、日本人(及び日本企業)が国内ばかりでなく外国で得た投資収益、雇用者所得が含まれる。人口でいえば前者は昼間人口ベース、後者は夜間人口ベースに当たる。

 昼夜間人口比率に当たるGDP対国民所得比のランキングを以下に掲げた(IMFデータベースではGNIが得られないので世界銀行のデータベースを使用している)。ルクセンブルクの値が1.44と群を抜いて高くなっているのは、フランス人、ドイツ人といった周辺の国民の多くがルクセンブルクで働き、経済活動を行っているからである。

OECD高所得国のGDPと国民所得の比較(2010年)
  順位 実額(ドル) GDP対
国民所得比
1人当たり
GDP
1人当たり
国民所得
1人当たり
GDP
1人当たり
国民所得
1 ルクセンブルク 1 3 103,574 71,860 1.44
2 アイスランド 16 19 39,522 33,920 1.17
3 オーストラリア 5 11 51,086 45,850 1.11
4 ニュージーランド 20 21 32,407 29,140 1.11
5 アイルランド 10 14 45,873 42,370 1.08
6 カナダ 9 13 46,212 43,250 1.07
7 イスラエル 22 22 28,522 27,270 1.05
8 韓国 26 26 20,540 19,720 1.04
9 チェコ 27 27 18,910 18,390 1.03
10 日本 13 16 43,063 42,050 1.02
11 スロバキア 28 28 16,036 16,030 1.00
12 ハンガリー 30 30 12,863 12,860 1.00
13 エストニア 29 29 14,062 14,150 0.99
14 ノルウェー 2 1 85,443 86,390 0.99
15 ポーランド 31 31 12,303 12,450 0.99
16 米国 8 7 46,612 47,360 0.98
17 ポルトガル 25 25 21,358 21,810 0.98
18 ギリシャ 23 23 25,832 26,390 0.98
19 スウェーデン 6 5 49,360 50,780 0.97
20 スイス 3 2 70,561 73,340 0.96
21 オランダ 7 6 46,623 48,580 0.96
22 スロベニア 24 24 22,898 23,910 0.96
23 オーストリア 11 9 44,916 47,070 0.95
24 スペイン 21 20 29,956 31,450 0.95
25 イタリア 19 18 33,787 35,550 0.95
26 デンマーク 4 4 56,486 59,590 0.95
27 英国 18 17 36,256 38,430 0.94
28 ベルギー 14 10 43,006 45,990 0.94
29 フィンランド 12 8 43,864 47,130 0.93
30 フランス 17 15 39,170 42,190 0.93
31 ドイツ 15 12 40,164 43,280 0.93
(注)1人当たりGDPは、GDP per capita (current US$)、1人当たり国民所得はGNI per capita, Atlas method (current US$)。高所得国は世銀の定義による。
(資料)World Bank, World Development Indicators 2013.3.20


 NHKのBS番組の地球アゴラ「小さな国の世界一!」(2013.3.17)では、ルクセンブルクのコーヒーやぶどう酒の消費量世界一であるのは昼間人口の消費量を夜間人口1人当たりで計算するからだと紹介されていたが、GDP対国民所得比の高さも同様の理由による。従って、厳密には、国民の豊かさの尺度としては「1人当たり国民所得」の方が適切だといえる。生産に着目した場合はGNPよりGDPの方が適切なのでGDPが主とされるようになり、この結果、便宜上、所得水準も1人当たりGDPであらわされるようになったわけである。

 なお、NHKの上記番組では、ルクセンブルクは企業誘致のため消費税や法人税を周辺より定率にしており、この結果、立地した企業や店舗に周辺のベルギー、フランス、ドイツから働きに来たり、買物に来たりする者が多く、この結果、ルクセンブルク人は昼間は職場や店でフランス語を話し、夜は家庭でルクセンブルク語を喋るという生活が珍しくない状況となっているとも紹介されていた。

 取り上げている184カ国は、具体的には、1人当たりGDPの大きい順に、ルクセンブルク、カタール、ノルウェー、スイス、オーストラリア、アラブ首長国連邦、デンマーク、スウェーデン、カナダ、オランダ、オーストリア、シンガポール、フィンランド、米国、アイルランド、ベルギー、日本、ドイツ、フランス、クウェート、アイスランド、英国、ブルネイ、イタリア、ニュージーランド、香港、イスラエル、スペイン、キプロス、ギリシャ、スロベニア、オマーン、バーレーン、韓国、ポルトガル、バハマ、サウジアラビア、マルタ、チェコ、台湾、スロバキア、トリニダードトバゴ、エストニア、バルバドス、赤道ギニア、チリ、クロアチア、ハンガリー、ウルグアイ、ラトビア、ポーランド、リトアニア、ロシア、ブラジル、アンティグアバーブーダ、セントクリストファーネビス、セーシェル、カザフスタン、アルゼンチン、ベネズエラ、ガボン、トルコ、メキシコ、マレーシア、レバノン、ボツワナ、ルーマニア、コスタリカ、モーリシャス、パナマ、スリナム、南アフリカ、グレナダ、セントルシア、モンテネグロ、ブルガリア、コロンビア、アゼルバイジャン、ドミニカ、イラン、セントビンセント・グレナディーン、ペルー、モルディブ、ナミビア、ベラルーシ、セルビア、ドミニカ共和国、リビア、アルジェリア、中国、タイ、アンゴラ、ジャマイカ、マケドニア、キューバ、トルクメニスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ヨルダン、エクアドル、チュニジア、ベリーズ、フィジー、トンガ、東ティモール、アルバニア、エルサルバドル、パラグアイ、カボベルデ、コンゴ、ウクライナ、インドネシア、イラク、サモア、スワジランド、ガイアナ、グルジア、ツバル、グアテマラ、モンゴル、バヌアツ、モロッコ、アルメニア、エジプト、スリランカ、シリア、フィリピン、ボリビア、ホンジュラス、ブータン、モルドバ、スーダン、パプアニューギニア、南スーダン、キリバス、ガーナ、ソロモン諸島、ウズベキスタン、ナイジェリア、インド、サントメプリンシペ、ジブチ、ザンビア、ベトナム、イエメン、ラオス、レソト、ニカラグア、カメルーン、パキスタン、モーリタニア、北朝鮮、セネガル、キルギス、コートジボワール、コモロ、チャド、カンボジア、タジキスタン、ケニア、ミャンマー、ベニン、バングラデシュ、ジンバブエ、ハイチ、マリ、ネパール、ルワンダ、ブルキナファソ、トーゴ、アフガニスタン、ギニアビサウ、モザンビーク、タンザニア、ガンビア、ウガンダ、ギニア、シエラレオネ、エリトリア、中央アフリカ、マダガスカル、ニジェール、リベリア、エチオピア、マラウイ、ブルンジ、コンゴ民主共和国である。

(2006年12月4日収録、2008年10月29日更新、2011年1月22日更新、データ出所を世界銀行からIMFに変更、2011年10月7日更新、12月30日順位表彰を下から上に、2012年4月6日対数つづら折れ図から非対数棒グラフに変更、7月18日キューバ追加、11月28日更新、2013年3月23日コラム追加、3月27日同コラムOECDは高所得国のみである点を明確化)

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j006 時事トピックス:中国がGDP世界2位、日本が世界3位に
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