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| 世界各国の貧富の格差(所得格差、消費・支出格差)への関心は高い。また、近年は日本の所得格差が増大している点が関心を集めている。そこで所得水準をX軸(ヨコ軸)にしてY軸(タテ軸)に貧富の格差(不平等度)をとり、なるべく多くの国を比較した図録を作成した。 なるべく多くの国とはいっても、人口規模の小さい国は人為的に格差をコントロールできる余地が大きいと考えられるので除外し、人口3千万人以上の比較的規模の大きな国だけを対象とした。対象国は、36カ国である。 X軸は米国ドル(PPP購買力平価換算)表示の所得水準(人口1人当たりの所得)を対数軸であらわしており、右の国ほど経済発展が進んでいるととらえられる。 Y軸は上位10%の富裕層の所得(消費)が下位10%の貧困層の何倍かという指標で貧富の格差をあらわしている。所得格差というと不平等度を比較的厳密に表現できるジニ係数が使用されることが多いが実感には訴えにくい。 貧富の格差を所得で取ったり消費額で取ったりしていることからも分かるとおり、ここでの指標はかなり大雑把なものである。しかし、格差が3倍と3.5倍ではどちらが大きな格差とはいえないが、5倍と10倍ではやはり差があると認められる。また多くの国を観察すればデータのバラツキはある程度克服され全体状況が見えてくる。厳密なデータでなければ意味がないわけではない。 貧富の格差は、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコといったラテンアメリカ諸国(及び南ア、ケニア)が20〜60倍と大きいのが目立っている。ラテンアメリカ諸国の貧富の格差は、次に述べる中所得国ゆえの格差の大きさというより、旧スペイン植民地特有の大土地所有制の影響の側面が大きいといえる。アジアの諸国の中ではラテンアメリカに似た特性を有するフィリピンで貧富の格差が大きい。 低所得国から中所得国へと経済発展が進むにつれていったん経済格差が拡大し、さらに高所得国まで達すると再度格差が低まるというクズネッツ(経済学者)の逆U字仮説がある。これは1国の経済発展について述べられる仮説だが、図中の低所得国から中所得国、そして高所得国の韓国までは、かなりおおまかには、そうしたカーブが存在すると考えられないでもない。 社会主義市場経済を標榜する中国では、貧富の格差がかなり大きい。上の図ではそれほど目立っていないが、前年の資料(人間開発報告書2008)では21.6倍とずっと大きかった。中国に関しては、ケ小平の「先富論」、すなわち「先に豊かになったものが、遅れたものを助けてやれば、みんなが豊かになる社会が実現する」という考え方をとっているが、クズネッツ仮説を計画として表現したものともとれる。 韓国から米国にかけての高所得国では、むしろ、所得水準の高い国ほど貧富の格差が大きいというようなレイアウトとなっている。橘木(1998)は、高度資本主義国では再度不平等化が進むという仮説を提示している。図からはむしろ高所得国では、国によって格差構造は多様化するともいえる。この図では日本が貧富の差の大きい国とはいえない。 高所得先進国の将来については、社会保障を含めて所得格差の問題を充分に議論する必要がある。日本の所得格差については多くの研究者が厳密な方法論で指標化を試みている。また先進国については、家計調査の内容・範囲が充実しており、厳密な指標で各国比較がなされている。日本の所得格差が徐々に大きくなりつつある点、あるいは先進国相互の時系列比較については図録4652、図録4660を参照されたい。 原データ
(資料)UNDP「人間開発報告書2009」(日本は総務省統計局「2004年全国消費実態調査」) (2004年7月28日収録、8月30日PPP基準の所得水準に変更、2009年12月11日更新) |
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