近年の世界経済、日本経済に多大な影響を及ぼしている原油価格の高騰の状況についてグラフ化した(データ出所:IMF一次産品価格データ)。

 原油価格の低落が続いている。2015年12月には1バレル37.24ドルと2009年2月の水準を下回り、2004年来の水準まで低落してきている。原油価格下落の影響による産油国のファンドの株式市場からの資金引き上げにより株価も下落傾向にあるといわれる。

 2014年6〜7月までは1バレル100ドル以上と高い水準が続いていたが、その後、世界経済の減速で需要が伸び悩む一方、米国などのシェールオイルの生産拡大で供給過剰との見方が強く、価格下落が続いている。中東などの産油国12カ国でつくる石油輸出国機構(OPEC)は11月27日、12カ国の生産目標をいまの日量3千万バレルで据え置くことを決めたため、原油価格はさらに急落した。原産の見送りは影響力の大きいサウジアラビアが静観の構えを崩さなかったためであるが、財政力に余裕のあるサウジなどが意図的に価格低下を放置し生産費用がかなり高いシェールオイルの生産の崩壊を待って、再度、値上げを図るためとのうがった見方も出ている。

 原油相場に影響のあった主な出来事については末尾の表参照。

(過去の推移)

 1990年代に原油が1バレル=10〜20ドル台まで下落したため、国際石油資本(メジャー)や中東諸国は油田開発への投資を抑制した。一方、中国経済の拡大を中心に途上国の経済発展が原油需要を急拡大させたが、原油の供給体制の制約、製油所の能力不足や中東情勢の不安定からこうした急拡大する需要にこたえるのが難しい状況にある。このため、投機資金の流入もあって、一時期原油が著しく高騰した。

 1990年代には1バレル20ドル前後で安定していた原油価格が、9.11同時多発テロ(2001年)、03年のイラク戦争開始の頃から持続的な上昇に転じ、2008年6月には6倍以上の134ドルに達したのだから大変な変化といえよう。

 こうした中、石油消費国では、運輸、漁業等の石油多消費型産業において、消費者に価格転嫁できない中小企業を中心に業況が低迷し、ガソリン代の値上げで一般消費者にも悪影響を及ぼした。

 その一方、原油を扱う石油会社は非常に大きな利益をあげ(図録5410)、ロシアを含む産油国の財政は絶好調となった。また原油代金を原資にした政府系ファンドの動きも注目された(図録5180参照)。

 その後、6月〜7月をピークに原油価格は低下傾向に転じ、9月のリーマン・ブラザーズの破綻を契機とした米国初の世界金融危機と世界的な景気後退の影響で大きく値が下がった。しかし、2009年2月からは再度上昇傾向に転じ、再度、かなり高い水準になっている。

原油相場と関連のある主な出来事
2001年9月11日 米中枢同時テロ
2003年3月20日 イラク戦争開始
2008年7月11日 投機資金流入しニューヨーク原油相場史上最高値、一時1バレル=147.27ドル
2008年9月 リーマン・ショックで金融危機拡大
2014年夏 新興国の景気減速強まり、原油需要の停滞予想から原油値下がりへ
2015年7月 イランと欧米6カ国などとの核問題協議最終合意、制裁解除とイラン産原油の輸出増の予想
2015年12月 OPEC総会で原産見送り→原油安に拍車
2015年末 米国が40年ぶりの原油輸出解禁を決定(新型原油「シェールオイル」生産増を見越し)
2016年1月7日 中東情勢緊迫化(3日サウジアラビア、イラクと断交)、産油国が原産を探る余地が狭まる予想
(資料)東京新聞2016年1月10日ほか

(2008年4月5日収録、5月14日・6月10日更新、6月11日データ出所を米国エネルギー庁からIMFに変更、2008年7/11以降毎月更新、2016年1/8、1月10日末尾年表追加、2017年1/12・2/9・3/12更新)


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