直接投資とは海外生産を目的とした海外への企業進出など、海外事業を行う企業経営のための投資を指す。利子や配当、売却益を目的とした証券投資などの間接投資に対する概念である。IMF国際収支マニュアルでは、直接投資は、親会社が投資先の企業の普通株または議決権の10%以上を所有する場合、もしくはこれに相当する場合と定義している。

 毎年の世界の直接投資の動きについては、総額について図録0700、図録4900、各国別の推移について図録5055、図録8030に示したが、ここでは、主要国の直接投資残高(対外と対内)について示すこととする。

 IMFの国際収支統計によれば、海外への対外直接投資残高が最も大きいのは米国であり、フランス、英国、ルクセンブルクと続いている。日本は世界第11位である。

 海外からの対内直接投資残高についても対外直接投資残高の大きい国は概して大きくなっている。ただし、スイス、日本といった国は、対内直接投資は対外直接投資と比較して相対的に小さな規模となっている。

 逆に中国のように大きく対内投資が対外投資を超過している国もある。海外からの投資によって経済成長を目指す経済戦略を取っているからである。

 EU域内の諸国では商品取引の自由化(無関税)、労働力移動、資本移動の自由化が図られており、ルクセンブルク、ベルギーといった国では経済規模の割に直接投資の規模が対内、対外とも大きい。EU域内では日本国内で東京本社の企業が関西に工場をもち、大阪本社の企業が関東に工場をもつといったような経済環境になっているといえる。

 下の図では、対外直接投資残高から対内直接投資残高をひいた超過額をグラフ化し、その額の対GDP比を示した。また対外を対内で割った倍率も表示した。

 対外直接投資残高超過額の大きい国ほど投資の相互流動を越えて海外投資がさかんな国といえよう。世界1位は米国、2位はフランス、3位は英国とグローバル企業を世界に展開している国、戦前には植民地を多く抱えていた国が上位となっている。日本は世界第4位とこれら3カ国に次ぐ地位を占めており、国際的に見て海外進出の規模はやはり大きい。日本に次いでスイス、オランダ、ドイツ、イタリアといった有力な世界企業をもつ国が上位となっている(世界の多国籍企業ランキングは図録5409参照)。

 東アジアの中では韓国、中国は対内直接投資残高が対外直接投資残高を大きく上回っており、日本とは状況が大きく異なることが明らかである。ただし、最近は、韓国や中国も資源確保等のため海外への直接投資を積極化させており、このバランスにも変化が生じている可能性がある。

 最後に主要な海外直接投資国について直接投資の収益率を計算した図を下に掲げた。毎年の変動があるし、国によって対外直接投資残高や収益のデータカバー率の違いがどの程度あるか分からないので確定的なことは言いにくいが、日本企業の海外事業は儲かっていない訳ではないようである。


 最初のグラフで取り上げたのはOECD高所得国(世銀定義)と中国、ロシア、インドであり、対外直接投資残高の大きい順に米国、フランス、英国、ルクセンブルク、ドイツ、オランダ、スイス、スペイン、ベルギー、カナダ、日本、イタリア、オーストラリア、ロシア、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、アイルランド、ノルウェー、フィンランド、中国、ポルトガル、韓国、インド、ギリシャ、アイスランド、ニュージーランド、チェコである。

(2010年9月16日収録、9月23日グラフ要素追加)


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